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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第46話 社会人剣道大会ー2回目の告白ー

季節はすっかり秋になった

スポーツの秋ともいいますよね

そう、兄たちが参加する全国社会人剣道大会です

えりたちも応援に来ると張り切っていた

山崎さんは医療チームとして大会を支援する

今回、大久保社長も40代の部で出るらしい!

だからマネージャーとしてサポートに徹します


必要になりそうな物は揃えた 歳兄さんを起こさなきゃ


「歳三兄さん!起きて下さい」

「ん…、あ?何だ早いな」

「よく眠れましたか?少し早く起きて体を整えましょう」


歳三を引っ張り起こし、リビングに連れてきた

しぶしぶ顔を洗いに行く 朝食は和食だ


「お前が張り切ってどうする」

「今日は完璧にサポートしてみせます」

「お、おお」


総合体育館に着くと、左之兄と総司も来ていた

えりたちも少し後からやって来た

会場は社会人の試合なのに熱気で溢れている


「あれ、歳三さん。思ったよりスッキリしてますね」

「お疲れモード全開で来るのかと思ってたぜ」

「瑠璃のやつが煩せえからな、早く寝かされて早く起こされた」

「羨ましいなぁ、次から僕たちも前日から泊まりに行こうかな」


なんだかんだ言って、兄たちには余裕がある

えりと眞子は3人の剣道着姿を見てフリーズしたままだ


「二人とも起きてる?」

「起きてるもなにも、鼻血出そう」

「え・・・(そこまでっ?)」

「瑠璃、心臓がもたないかも」

「眞子まで・・・」


そのうち慣れると思うので、二人とも耐えてください

試合は順調に行われ、60代~40代の部は午前中に終わった

もちろん大久保社長は40代の部で優勝した

20代、30代は参加人数が多いせいもあり午後に持ち越し

兄たちも当然勝ち進んで残っている 

歳三兄さんは次の次が決勝

左之兄と総司はこのまま行けば決勝でご対面だ


「マッサージとかしましょうか?疲労している筋肉は適度に解しておかないと」

「瑠璃、そんなことも出来るの?」

「うん、簡単だよ。ちょうど3人だから、えりたちも解してあげてよ」


そう言った途端、二人はまたフリーズした

まだ、慣れていないようだ

固まる二人をけしかけて

左之兄と総司のマッサージをさせてみる

面白い・・・まるでロボットだ

歳三兄さんから「おまえ、遊んでるだろ」

と突っ込まれる始末


そんな時だった

「土方瑠璃さん!」

「!?」


その呼び方は・・・まさかと思いつつ振り向くと

甲斐陸曹が剣道着姿で立っていた

そうか、自衛隊も参加しているのか!名簿見てなかった


「こんにちは、瑠璃さんも参加されているのですか」

「えっ、あ、いえ。私は兄たちの応援で」

「お兄さん?ま、まさかっ。こちらの3人が瑠璃さんの?」

「はい」


ほんの少し顔が青ざめたように見えた甲斐陸曹

でもすぐに気を取り直したのか

今度は高揚させてこう言った


「知らなかったな、今俺、ものすごくやる気が湧いて来ました!」

「そ、そうですか」

「もし、瑠璃さんのお兄さんに勝ったら交際を考えてください!」

「え、ちょっと待ってください」

「君、僕たちに勝てると思ってるの?」

「それは、やってみなければ分かりません!いや、勝ちます!」

「そう。じゃあ勝ったら瑠璃を好きにしていいよ」

「総司!」


私の承諾なしに勝手に話を進めないで!

甲斐陸曹は意気揚々と自分の待機場所へ戻って行った

総司はいったい何を考えているの?


「瑠璃、大丈夫だよ、土方さん達が負けるわけないし」

「・・・」

「瑠璃?」


えりと眞子は察したように私の気持ちをなだめようとしていた

私は怒りに似た何かが込み上げて来るのを必死で抑えていた


「瑠璃、あいつが例の自衛隊員なのか?」


左之兄が心配そうに聞いてきたのに

「うん」と一言だけ返した

歳三兄さんと顔を見合わせて何か言っている

総司はへらへらしている

もしかしてワザと負けたりするかもしれない


試合はどんどん進み、準決勝となった

神様は意地悪だ、準決勝の対戦相手は甲斐陸曹と総司

左之兄だったらよかったのにと内心落ち込んだ


総司がチラリと私の方を向いた、目が笑ってる!!


(瑠璃、どうしたらいい?勝った方がいいのかな)

(っ・・・)


突然、そう交信してきた 

他の兄二人には聞こえていないようだった


甲斐陸曹の私に向けられた真っ直ぐな気持ちに悪意はない

総司を応援すれば甲斐陸曹は諦めるかもしれない

でも、総司が手を抜いてわざと負けたら身も蓋もない


どうする、私っ!


試合直前の独特な静寂が辺りを包み込む

二人が畳の淵を移動しはじめた もおぉぉ!!


「総司!手を抜いたら、二度と口きかないからっ。ご飯も作ってあげない! 甲斐さん!賭けで人の心は動かない!正面から総司を叩き斬るくらい真剣に勝負してください!話はその後ですっ!」


そして最後に

「二人とも遊んでんじゃねー!!」と叫んでいた


違う意味で道場が静まり返ったのは言うまでもない


「始めっ!」


審判の掛け声で、二人の試合が始まった


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