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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第39話 はい、副社長は私の兄です

「はい、揃いましたね。食べましょう!」


笑いを堪えて、歳三兄さんをいつもの席に誘導した

二人は兄の正面に座っている 私は兄の隣です


「こ、こ、こんにちは」

「お邪魔、しており、ます・・・」


なんとも消え入りそうな声で

二人は辛うじて歳三兄さんに挨拶をした


「ゆっくりしてくれ。こいつの我儘に付き合ってもらって悪いな」


とんでもないと言わんばかりに

二人は大きく首と手を横に振った

もう我慢の限界で私はとうとう噴き出してしまった


「ぷっ、ふははっ。二人とも、もっと、ははっ。普通に、ふふふ」

「ちょっと、瑠璃。そんなに笑わなくても」

「だって、驚くでしょう?まさか一緒に住んでいるお兄さんが・・・」


そう、左之兄か総司だと勝手に思い込んでいた

だから一瞬何が起きているのか分からなくなったんだと思う


「おい、瑠璃。言ってなかったのか」

「ふはは、だって。聞かれなかったし、二人とも勝手に左之兄か総司だと思って、ふふ」

「おまっ、そうい所は総司と同じだな。まったく・・・」


私が腹黒いとでも言いたげに

ため息をつき二人に「すまん」と謝っていた

二人は目を真ん丸にして驚いていた


「それにしても、瑠璃って料理できたんだね。私はてっきり家事は苦手な子だと思ってたから、今もの凄く裏切られた気分」


「そうそう、浴衣の着付けも出来るし。ちょっと抜けていて不器用なのかなって思ってたから」


「おまえ、会社で何かやらしてるのか」

「業務に差し支えるようなミスはしてないはずですけど」


「副社長!だ、大丈夫ですよ。瑠璃は仕事上では本当にきっちりしていますから」

「そうです。ただよく机に腰ぶつけるとか、社員証をコピー機に挟むとかその程度ですから」


「ちょ、それは言わなくても」

「くくっ、そうか。なかなか、だな」


「でも4人兄弟って今時珍しいですよね。こんな頼もしいお兄さんが3人もいたら楽しいでしょ?子供の頃にキャンプとかしなかった?瑠璃はきっとお転婆娘てんばだったでしょう」


「キャンプ?したのかな?野宿ならけっこうしたけど」

「野宿!?」

「ぶっ、おまっ!」


汚いですよ、お茶噴き出さないでくださいっ


「なんだかワイルドなご家族ですね」


二人も初めよりは緊張が解けたのか

いろいろな話をしてくれる

怖いと恐れられている兄だけど

仕事から離れればただの人

外では肩書きとか威厳とかを持ち出すことは決してない

彼女たちは理解してくれただろうか



瑠璃の意図はよく分からなないが

こうして普段の瑠璃の話を聞いたり

社内の様子を知ることができた

勇さんが築いてきたこの会社の方向は間違っちゃいねえ

そう確認もできた

たまにはこう言うのもいいもんだな


「今度、気の知れた仲間を誘ってバーベキューでもするか」


気が付いたらそんなことを俺は口走っていた

案の定3人とも口を開けて驚いていたが

ガラじゃなかったか?


「面倒臭いか?」

「いいえ!大賛成です!秋になって過ごしやすくなってきていますし」

「誰が声掛けとか、仕切ったりしますか?」

「歳三兄さん、誰かいます?」

「あ?永倉に言えばすぐだろ。あいつはそういう事に長けてるぞ」

「ああ!永倉さんか。なるほど!適任ですね」


少しずつ現代らしい生活を楽しめるようになってきた

今自分は何をすべきなのか

あの頃と違って明確な目標が見えない

それでも、これが当たり前なんだ

目標や目的は与えられるものじゃない

自分で見つけるものなんだと


そんなこんなで、次はバーベキューです!

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