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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第31話 新入社員研修-自衛隊入隊体験②キレる-

2日目の朝を迎えた

ああ、腹が立つほど天気が良い


「おはよう、早く仕度しないと怒鳴られるよ」

「そうだった、急がなきゃ」


皆もう必死です あちこちで体が痛いと悲鳴があがる

普段こんなにハードな運動はしないので

全員が筋肉痛になってしまったのです

私は今のところ大丈夫みたいですが


「土方さん何かしてるの?筋肉痛になってないって凄いよ」

「え?あ、まあ、ね」


何とか時間までに廊下に整列した

さすがに怒鳴ったりはしないだろう、と思いきや


「何だこれは!!やり直しっ!」


畳んだシーツや毛布を投げ飛ばした

えっ!投げなくても良いのでは?


「このベッドは明日も君たちが使えるとは限らない!いつ死ぬか分からないんたぞ!次の人の為に皺一つ残すな!いいか!」

「っ!?は、はい!」


なんと、そういう意味も含まれていたのですか?

平和な日本だと思っていましたが、此処は違うんですね

確かにそうですよね、妙に納得した


それから直ぐに、ランニングをさせられ

声出しと言うものをし、日の丸国旗掲揚

胸に手を当て想いを馳せる…な、何に?


そこまでやって、朝食です


そしてまた地獄の訓練再開となるわけです

だけど誰一人文句も言わずに頑張っている

それは私にとっても予想外だった

女同士だから、グチグチ、ネチネチが有りそうだけど


事件は起きてしまったのです

そう、ついカッとなって楯突いてしまったと言うか…

ある同僚に、例の如く鬼教官が毒を吐く


「お前はトロいんだよ!死ぬぞ!いちいち涙を流すな!心が弱いからそうなるんだ!お前が足を引っ張ってるんたぞ!」


ちょっと待って、何かおかしくないですか!


「ちょっと!彼女の何を見て心が弱いと決めつけるのですか!それぞれ能力に差はあるでしょ!全員が同じように動いて文句ないなら、自衛隊なんてロボットにしてしまえばいいんですよ!!」


「貴様、今なんと言ったぁ!上官に逆らう気か!」


「上官か何か知りませんが、自分の物差して他人の能力を計らないでください!」

「俺は命を預かっているんた!貴様にこの者たちの命を守れるのか!」


もう、売り言葉に買い言葉とはこの事で

私は何を言われても引く気がなかった


「守れます!私は仲間の命を守ります!!」


何がどう言う流れで、こうなったのか分からないけれど

道場らしき所に連れてこられた

根性を入れ直すとか何とか言っていたような・・・


私の前に胴着が置かれた

柔道、空手、剣道、好きなものを選べと言われた

柔道はやった事がない


「柔道以外なら、どちらでも」

「ほう、偉そうに。では、両方だ!」


何なんだこの鬼教官はっ!

なぜが男性陣も連れて来られている

きっと私は見せしめにされるのだろう


「分かりました!」


空手では女子隊員の有段者が連れてこられた

でも、全然相手にならなかった

むしろ、怪我をさせるのが怖くて全部寸止めをした

周りは静まり返っている


そして、剣道着に着替えた

同じく相手にならない


「あのっ!ここで一番腕のある人をお願いします」

「なんだと!!俺が行く」


鬼教官が出てきた 皆、固唾を飲んで見ている

竹刀を握り直すと同時に、私は利き手を変えた


相手は言うだけあって、気迫が凄い

かなり怒らせたので本気で来ると思う


「はぁぁっ!!」


ドン!と強く踏み込むと上段から面が振り下ろされる

私はそれを竹刀で受け止める


「っ!」


さすがに力が強い、気を抜くと潰されると思う

歳三兄さんに少し似たタイプに思える

でも、歳三兄さんの足元には及ばない


私は素早く身を交わし、篭手を狙うも弾かれる


「おらぁ!」


突きを狙って来た、突きを出してくるなんて

そう思ったら身体が素早く反応する

瑠璃はスッと腰を落とすと、目に見えない速さで

相手の胴を スパーン!!と斬った

斬ってはいない、が、周りからはそう見えたのだ


「なっ!!」


鬼教官は胴を打ち抜かれたままの状態で止まっていた

審判は驚きで判定を忘れている

暫くして 「一本!」と、私の旗が上がった


静かに礼をして、その場から離れた


「土方さん・・・凄すぎる」


その後の訓練はあの鬼教官ではなく、別の人が担当した

私は少し後悔をしていた 

あの教官のプライドをズタズタにしたからだ

そう彼の部下が見守る中で はぁ・・・


なんだかんだと、全員が研修の最終日を迎えた


「これより、修了式を行う!敬礼っ!」


号令が掛ると勝手に体は敬礼をしていた

本当に私たちは上手いこと仕込まれましたね

一人一人に修了証が手渡された

しかも、あの鬼教官に 自分の番が来た、気不味い


「土方瑠璃!貴殿はこの訓練を優秀な成績で終えた。よって、貴殿を我が陸上自衛隊における、予備自衛官に任命する!」


はい、修了証って!ええ!!

今、なんと言いましたか?予備自衛官ってなんですか!

驚きで固まる私にその鬼教官はニヤリと笑った

そして、誰にも聞こえないようにそっと


「気に入った」 と、言った・・・


えぇ!勝手に任命して、私は何も了解していないのですが!

周りからは盛大な拍手が送られた

待って下さい! 嫌ですよっ!


帰りのバスの中で、私のあだ名が「姉さん」になってしまった

皆は新卒者だったので必然的に年上ではあるけれど


「土方姉さん、今度呑みに行きましょう」とか

「土方姉さんが男だったら絶対に惚れてますっ」とか


知らない人が聞いたら、ヤ◯ザの姐さんだからね

はぁ、結局帰りもテンションは低かったのです



タイトルを修正しました

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