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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第26話 総司に話す

あの後、祭りの片づけが終わると

私は総司と自宅マンションへ戻った

歳三兄さんは相変わらずいろいろと忙しく不在


「ごめん、汗かいてるからシャワーだけ浴びてくるね」

「うん、ごゆっくり。適当に寛いでおくよ」


浴衣をハンガーにかけ、急いで浴室へ向かった


総司は瑠璃が掛けた浴衣をじっと見ていた

裾の部分が埃で汚れている


「なんか変な感じ」


瑠璃の浴衣の着こなしと足捌きは昨日今日のものじゃない

それに一人で着れたっけ?同僚の浴衣も着付けたって聞いたけど

瑠璃は未だに以前の事を思い出せていないみたい

なのに前は出来なかった事が出来て、少し古風になった

まるで違う世界から戻ってきたような、そんな空気を漂わせる


総司は無言で立ち上がると

ハンカチで浴衣のすその汚れを落とす

よかったただの土埃で、これが返り血だったら・・・

返り血?なんでそんな事、考えちゃったんだろう


「お待たせ」

「ん?ああ、すっきりした?」

「はい」


僕たちはソファーに向かい合って座った


「で、なんの面白い話を聞かせてくれるの?」

「あっ、えっと・・・けっこう真面目な話です」

「うん、分かってるよ。黙って聞くから全部話してみて」


私はゆっくりと言葉を選びながら

自分が持っている記憶について話した

目が覚めたら幕末に居た事、みんなが新選組だった事

得体の知れない力を授かった事

歴史の流れとは別に悪魔と言う信じがたいものと戦った事

ただ、北海道で最後にどうやって悪魔を倒したのか

その後どう過ごして、何が起きて今の時代で目を覚ましたのか

それだけが抜けている事を話した

そして、あえて一さんの事には触れないようにした

一さんの存在を否定も肯定もしたくなかったのかもしれない

想えば胸が締め付けられるように苦しく

会いたいと言う思いに

押しつぶされるのが分かっていたから


「そっか、瑠璃はその時代から帰ってきたんだね。僕たちは瑠璃より先に戻ってきていたのかな。よく分からないんだけど、そういう事なのかな」

「信じてくれるの?」

「正直、信じがたいよ。だけど嘘をついてないのは分かる。それに、僕も時々違和感を感じるんだ」

「違和感?」

「うん、古いものを見ると懐かしく思ったり。あと僕たちの関係」

「どういう事?」

「普通兄妹って他人みたいなものでしょ。大人になると出来るだけ接したくないし、ましてや同じ会社で働くなんてどんだけ仲が良いの」

「確かに、ちょっと違うかも」

「兄妹愛にも限度があるでしょ。でも、瑠璃が話したような事があったならそうなのかなって。何て言えばいいのかな、絆?とても強い絆で結ばれている」

「絆・・・」

「あと、僕にも分からない事があるんだ」

「何?」

「僕たちの出生について」


総司が言うには、物心ついた時には両親はいなかった

一応、事故死となっているらしい

兄たちもそのあたりは曖昧らしく

誰も答えることが出来ない

両親の死後、親戚に連れられて瑠璃が3人の元にやってきた

歳三9歳、左之助7歳、総司5歳、瑠璃は3歳になったばかり

その時、初めて妹がいることを知った

長男の歳三が大学に進むと親戚の家を出て兄妹で4人で暮らした

生活は両親の事故死で出た保険金と

兄たちのアルバイトでなんとかなった

しかし、その記憶が瑠璃にはない

歳三が道場で知り合った大久保さんの会社に就職が決まると

それに続くように他の兄弟も就職した


「確かに、父親の事も母親の事も何も知らない・・・」

「そうなんだよね、恋しいとも思わなかったんだけど変だよね」


二人で黙り込んでしまった、私たちの親って・・・


「なんだ、総司来てたのか」


歳三兄さんが帰ってきた、全然気が付かなった


「歳三さん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」


総司がそう切り出した


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