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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第19話 変わらない笑顔

ここ1年は円安ドル高の影響で輸出部門は好調

反対に輸入部門は苦戦を強いられている

旅行部門に関しては円が安いため海外は伸び悩んでいる

その分、外国人の訪日はかなり増えた


株式会社誠の旅行部門はアウトバウンドと言って

送り出す専門なので、ちょっと暇だった


「うぅ、終わらないかも〜。今日も残業だわ・・・」


えりは貨物を取り扱う部門だから忙しそうだった

朝からずっとパソコンとにらめっこ

眞子は通関書類を何度も修正していた

円が安い!今のうちにと言わんばかりに

追加の貨物が通関ギリギリまでくるからだ


「何か手伝えることがあるなら言って」


ちょっと、勇気を出して言ってみた


「ありがとう、でも私は大丈夫よ。マシーンのように無になって打ってればいいからさ。眞子は?」

「うーん、もし頼めるなら倉庫で現物の写真撮ってきて欲しい」

「いいよ!それで何の写真?」


商品の規格書を渡された

新規輸出なので通関士が画像を求めてくるらしい

勿論、その画像は税関職員に送られるもの


「これ建設部の資材なの。倉庫でこれ見せたら分かると思う。正面と裏からの両方お願い!」

「了解」


私はデジカメを首から下げ、画像確保の為倉庫に向かった

・・・ん?倉庫って、何処にあるの!!

エレベーター前でフロアガイドを凝視した 無い!?

取り敢えず建設部に行って聞いてみよう


「建設部は、3階か」


一度も降りたことのないフロアだ

雰囲気も匂いも違う気がして、緊張する


「すみません、運輸部の者ですがお尋ねしても良いでしょうか」

「え、運輸部?・・・少しお待ち下さい」


いや、倉庫の場所を聞きたかっただけなのです

偉人(えらいひと)連れてこられたら、困るのですが…


「運輸部が何のようだ?」

「うわっ」


突然パーテーションの向うから現れたのに驚いた


「悪りぃ、驚かしたつもりはねえんだけどな」


頭をボリボリ掻きながらバツが悪そうにしている

その男の人を見て更に驚いた


「こちらこそ、すみませっー!!えっ!?」

「うおっ!何だぁ?」

「ながっ、ながっ、永倉さん!!新八さん!!」

「なっ!」


そこに居たのは新八さんだった、間違いない


「お、おい。俺たち何処かで会ってたのか?」


ああ、記憶がないパターンだ


「・・・」

「大丈夫か?あと、俺は永倉だけど新八じゃなくて新一(しんいち)なんだけとよ。もしかして、あんたも歴女か?」

「へ?あ、いえ違いますけど・・・すみません」


取り乱しかけた心を落ち着かせる為、深く頭を下げた

事情を話すとニカッと笑って、連れて行ってやると言われた

永倉さんはあの頃と変わらない笑顔で優しかった


「ところで、名前は」

「すみませんっ、運輸部・運営課の土方瑠璃と言います」

「まさか!左之の妹か!!」

「っ!は、はい」

「かぁー、噂には聞いてたけどよ。そうか!そうか!」


うん、うんと頷いていた。どんな噂なのかが気になるけれど

永倉さんを見ると、大間(おおま)で別れた時の事を嫌でも思い出す


「あの、兄とは仲が良いのですか?」

「ん?いいも何も、悪友だな」


思わず吹き出してしまった

懐かしくて、切なくて、でも心がじんわり温かくなる

そんな気持ちにさせられた


もしかしたら平助も何処かに居るかもしれない

そんな期待までしてしまう自分がいた


因みに倉庫は、車で20分も行った海の近くだった

此処でコンテナに積む作業までするらしい

トレーラーが何台か待機していた


「うわぁ、凄い」

「けど、信じられねえな」

「何が、でしょうか」

「だって、左之の妹って事は土方さんや総司の妹って事になるだろう?本当に土方家ってキャラ強いよな」

「・・・すみません」


何故かつい誤ってしまった

確かにいろいろと振り回してご迷惑を掛けたので


「けどよ、瑠璃ちゃんがいい()で安心したぜ」


こうして無事に眞子からの任務は完了した

それにしても車がないと行けないなんてっ!聞いてない!


そして、倉庫の担当者から言われた


「電話もらえたらこっちで撮ってメールで送ったのに」


なんと!そう言うの何で思いつかなかったんだろう

少し落ち込んだ私を見て、永倉さんまで落ち込んだ


「いや、俺が気付くべきだったんだよなぁ。いつもやってる事なのによー。ごめんな」


って、謝られてしまったのです


永倉さん、貴方と再会できて嬉しかったです

と心の中で呟いた


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