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第14話:危機回避へ

危機回避へ



「ほう。いい家だな」

『小さいけどね』

「うるさい。これでも一般の家よりは広いんだよ」


人の家を見てこれだ。

この小動物は口が悪い。

やっぱり始末するべきじゃないのか?


「ああ、そのとおりだ。バランスが取れている。コルペック族の走り回る平原など不要だ」

『ロウリィ族は寝て起きればそれで完結するからね。場所をとらないって便利だねー』

「種族のために尽くすのは当然だからな。必要なのは仕事をする場所があるかどうかだ」


ブラック企業の洗脳を見たが、俺は何も言わない。

これがロウリィ族だと思っておこう。


「とりあえず、テーブル席に座ってくれ。園田頼む」

「任せるでござる。飲み物は何にするでござるか?」


そう言って園田はエプロンを装備してメニューを取り出す。

喫茶店モドキなのでメニューは用意してあるのだ。

とはいえ、飲み物ぐらいしか用意できないけどな。

俺はその間に軽食を用意してテーブルに戻る。

向こうじゃ飲み物だけだったからな。

ここで軽く食事をしながら、話を聞く方がいいだろうと思ってだ。

だが……。


「おお、美味いな。これはなんだ?」

「え? ペペロンチーノっていうパスタ料理の一つだな」

『この小麦を解いて固めたものに野菜を挟んだものも美味しいよ』

「サンドイッチだな。中に何を挟むかで色々味が変わる。今食べているのハム野菜サンドだ」


意外と人が食べる飯に興味を持っていた。


「えーと、そんなに美味しいのかな?」

「ああ。私たちの種族はすでに食事をとらなくても生きて行けるようになっているからな。趣味で食べる者もいるが、それはあまりおいしいとは思わなかった」

『うんうん。僕の所もそうだよ。ここまで美味しいものがあるなんてびっくりだよ。こりゃ、地球のことを本当にちゃんと調べないといけないね』

「あ、そうだよ。2人とも問題の場所を調べるんじゃなかったの?」

「『あ』」


桜乃と小夜の言葉で正気に戻ったのか、食べるのを惜しそうにやめてしまう。

流石にそれを見て、今すぐ喋ろとは小夜も言わず。


「あ、食べてからいいよ。意外といけるでしょ。叶と英雄って料理できるんだよ」

「ほう。ここまで美味しいものを作れるとはな。このコーヒーも美味しい。先ほどの店と変わらないぞ」

『うん。と、そうだ食べながらで失礼かもしれないけど、とりあえず光点があった場所みてみる?』

「こら、行儀悪いぞ。地球では食事中に別の行動をしてはいけないのだ」

『いや、それ小難しい食事会のときでしょ? こういう友人関係の時っていいはずだよ? ね?』

「ああ、まあ今回はいいと思うぞ。みんな共通の話題だしな」


というか、この小動物ちゃんとこういう文化調べてるのか。

なんで食べ物のことは調べてないんだ?

いや、食事に興味がなかったからか?

まあ、いいか。

とりあえずロフィーが出してくれた地図を確認する。

とはいえ、地球儀の中で光点が光っているレベルなのでとりあえずこの町だろう?レベルでしかわからない。

そもそも俺にはその光点は視認できない。


「これ、もっと拡大できないか?」

『ああ、それスマホと同じだから』


スマホも知っているのかよ。

とりあえず触ってみると普通に拡大できた。

だが、この程度では見えない。

世界地図から日本地図になっただけだ。

さらに拡大をする。

あとは……。


「悪い、桜乃。俺には光点が見えない。もっと詳しい位置を拡大してもらえるか?」

「え? あ、そっか。えーと、大丈夫かな?」


桜乃は恐る恐る空中投影モニターに触れて拡大をする。

ちゃんと動いてさらに場所が拡大される。


「よ、よかった。やっぱりこの町だね」

「そうね」


桜乃と小夜が頷いた地図はやはりこの町だ。

だがしかし、やっぱり俺には光点は見えない。


「園田見えるか?」

「全然。誠子殿は?」

「いや、見えない。もぐもぐ」


俺と園田、誠子はやっぱり謎の交点は見えないようだ。

なんでだろう。

とりあえず、光点の場所をさらに拡大してもらおう。


「桜乃。俺たちにはやっぱり見えない。もうちょっと具体的な場所が分かるように拡大してもらっていいか?」

「あ、うん」


そう言って桜乃がさらに拡大をすると、そこは……。


「園宮公園か?」

「そうだよ。なんか園宮公園の地図の半分が光って見えない」

『だねー。公園全部が何か力があるんだよ』


桜乃とロフィーの話では公園の半分が光っているようだ。


「徳川の財宝でござるか?」

「いつの時代の話だよ。というか隠された財宝が見つかるシステムなら、きっと地球上沢山あると思うぞ」


忘れ去られた価値あるものなんて世の中きっとたくさんあるしな。

ああ、宝物の総額である程度絞れるか?

いやいや、宇宙人のスキャンシステムで地球人にとって価値ある宝物を見つけられるわけもないか。


「いや、条件を言ってくれれば探せるぞ?」

「「まじか!?」」


やべー、宇宙人スゲー。

ここはまず日本をスキャンしてもらって徳川の財宝を探すべきか?

それは捜索動画としてベイチューブにあげて、視聴者数爆上げ!!


「こら、そこの馬鹿共。誠子たちのことを悪用しようとするんじゃないわよ。ロマンがあるのは分かるけど、まずはこの公園のことでしょう。というか、私にはぼやけて見えるのよねー」

「あ、そう言ってたな。なら、どこが中心点かわかるんじゃないか?」

「「「あ」」」


俺の指摘でその事実に気がついたようで驚きの声を上げる。


「でも、中心点が原因って決まったわけじゃ……」

「何もないよりはまずはそこを調べるべきだろう?」

「まあ、そうね。えーと場所は……」


そう言って誠子が指を刺した先は……。


「広場か?」


そこは衛星写真から開けた場所が映っていた。

というか園宮公園って……。


「ここは山でもござるからな。この位置を考えると山頂でござるな」

「そうだね。でも、山頂って何かあったっけ? 30分もあれば登れる場所だよね?」

「あ、知ってる。ほらこれ」


小夜が指さした先には長方形の何かが映っている。


「私って兄弟おおくてさ。ちびたちの遊びに付き合ってこの前登ってさ。これは記念石碑だったかな? 園宮公園ができた記念」

「「「あー」」」


そういうのってあるよな。

とはいえ……。


「なんでコレが中心なんだ?」

「「「さぁ」」」


やっぱり何もわからない。

そもそも俺には光っているようには見えない。


「やっぱり、現場に行って調べてみるしかないよな」

「それが確実でござるな」

「でも、もう遅いよ?」

「もう、いい時間だしね。低い山とはいえ、夜に行くような場所じゃないよ」


桜乃と小夜の言う通り、夜に山に行くなんて自殺志願者だ。

山をなめているやつは死ぬ。

気がつけば18時を回っている。

行って山を登ったときには真っ暗になっているだろう。


「じゃ、今日はここまでで、明日続きって所か?」

「そうでござるな。幸い、明日から夏休みでござるしな」

「そうだね。みんなで行ってみよう」

「そうね。色々面白そうだし。で、それはいいとして、誠子にロフィーはどうするの? 宇宙船とかにもどるの?」


あ、そういえばこいつらってどうするんだろう?


「先に調べたりするか?」

「いや、私はその光点を確認できないからな。光点が確認できる桜乃と小夜の協力は欲しい」

『そうだね。逆に見えない叶と英雄もいると何かわかるかもしれないし、明日一緒に行こうと思う。で、僕はよければここにおいてくれないか?』

「私もだな。一応このコルペック族を探して地球に降下しているからな。戻ると怪しまれる。そして監視の必要があるから、私もここに置いてもらえるとありがたい」

「よし、なら部屋に案内する」


幸い、俺の家は客人も泊まれるように客室も4部屋ほど用意している。

まあ、俺の家族用なんだが。

なので泊まる分は問題ない。


「「ええー!?」」


なぜか驚く女性2人。


「どうした?」

「え? えーっと、ロフィー君はともかく、女の子の誠子ちゃんと一つ屋根の下って……」

「でも、よくよく考えれば宇宙人だし、そういう心配いらないのかな?」

「あ、そっかな?」


なるほど、男女の倫理観として駄目といっているのか。

とはいえ、宇宙人であるという言葉が二人の首を傾げさせている。

そう思っていると。


『僕も女の子だぞ』

「人型じゃないからカウントされないでござるよ」

「というかメスだったのか」


ロフィー実は女の子だった。

ただし獣。

これでハーレムか?

馬鹿らしい。


「このまま放りだすわけにもいかないだろう。家にいてもらった方が俺たちとしても楽だ。桜乃や小夜が預かるわけにもいかないだろう?」

「うーん、ロフィー君……ちゃんがギリギリかな? でも飲食店だし……」

「私のところはどっちも無理。よくよく考えれば叶の所が一番いいわよね」

「そうでござるな。この叶殿。女に手を出すわけがないでござる。二次元が一番でござるからな」

「ああ。それは間違いない。二次元で想像する分ただだしな。現実は色々大変だからパス!」


あっ。失言した。

つい脊髄反射で言ってしまった。

これって、桜乃と小夜にお前らの魅力はないといってしまったに等しい。


「すまん。2人に対して失礼なことを言った」


即座に俺は頭を下げて謝る。

これが世の中うまくやるためのコツだ。

というか桜乃が魔法少女になったのは間違いないからちゃんと付き添わないと知らないところで世界がピンチになって家が崩壊とか絶対阻止しなければならぬ。

で、2人の反応はというと……。


「あはは、気にしてないよ。むしろ……」

「叶らしいわ。趣味につき走るって感じで」

「うん。でも、ほかの人に言っちゃだめだよ?」

「そうね。絶対誤解受けるわよ。いや誤解でもないのかな?」


うん、誤解ではありません。

事実です。


とりあえずこうして、俺の知っている物語はルートを外れつつあるようだ。

しかし、一体これからどういう流れになるんだ?



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