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第12話:お互いの主張

お互いの主張



「「……」」


とりあえず、記憶をいじる前のことを思い出して呆然としている園田と小夜。

最初に記憶をいじられているというと、笑って流してそのあとに記憶を戻すという手順を取っている。

そうでもしないと叫びだしそうだったからな。

こうして先手を打ったわけだ。


すると、先にもとに、正気に戻った園田が席を立ったと思ったら、俺に手招きをする。

俺はそれに従ってトイレといって席を立って話を聞くと……。


「どういう状況でござるか? 察するに桜乃殿が持っているイタチに似た小動物がマスコットで、あの小さいロリが敵怪人ということでござろうが……」

「おー、話が早くて助かる。その通りだ」


流石生粋のオタク。

俺が事前に説明しておいたことと現状を照らし合わせて見事的中した。

オタクってスゲーなと思う。

日本は最強だ。


「いや、なんでその二人がそろって一緒にいるでござるか?」

「その説明をまとめてする予定だからまて。まあ、簡潔に言うと、バトルになる前に話し合いしませんかで同意した」

「それで話し合いになるでござるな……」

「俺も不思議だ。まあ、戦争になるよりましだ。というか戦争は些細な行き違いが原因ってよくあるからな」

「言っていることはわかるでござるが、納得はできないでござる。というか、その状況下でよく動けたでござるな」

「それは当然、俺の城を守るためだ」

「オタクってスゲーでござるな」


俺と同じ感想をもっているでやんの。

まあ、そういうことで園田を連れてテーブルに戻ると、すでに注文を済ませたのかのんびり雑談になっている。


「誠子って私たちと同じ年なんだ」

「ああ、そうだ。というか小夜もそうだが、春香も育っているな。こういうのも種族差なのか?」

「あはは、種族って何よ。あれエルフとかいうつもり?」

「エルフではないな。とはいえ、あいつらのように魔法は使えるぞ」

「いいねー。そういうノリがいいよ。かわいい」


なんか小夜は子供特有のノリだと思っているようだ。

しかし、記憶がいじられていることを不思議に思わないのか?

それとも意外と受け入れているのか?

そんなことを考えていると、園田が……。


「叶殿。エルフと言ったでござるよ! あのロリ。つまり、世界は幸せということでござろうか!?」

「落ち着け。俺たちが出会えるというわけでもないし、エルフというのは名前だけが同じで中身はどこかの寄生生命体の可能性もある」

「おおう。確かにそうでござるな。まずは話を聞いてからでござるな」

「そうだ。普通に話すことに集中しよう。下手をすると俺たちもぴかっとやられて終わりだしな」


そう、相手には記憶や記録をいじる必殺技がある。

そんなことをされるとどうしようもない。

だから話し合いは慎重にやらなければいけない。

改めて覚悟を決めてテーブルに近づく。


「あ、叶、英雄おかえり」

「お帰りなさい」

「戻ったか、先にいただいているぞ」

『お帰り』


小夜と桜乃はともかく、ロリ型宇宙人やイタチ型宇宙人に出迎えの言葉を受けるとちょっとなんだろうと思ってしまう俺は間違ってないだそう。

とはいえ、返事をしないわけにはいかない。


「ああ、お待たせ」

「待たせたでござる」


何とかそう言って席に付く。

そして、少し沈黙する。

このまま黙っていてもらちが明かないのは事実。

何より、対話を求めたのは俺のほうだ。

俺が仕切るべきか。

いやー、人生二度目で宇宙人と話し合いの場を設けることになるとは思わなかったよ。


「では、改めて」


俺はそう言って、みんなの視線を集める。

そして……。


「お二人というのが適切かはわかりませんが、この話し合いに応じていただき心より感謝しております。また、そちらの文化に関しては私たちは無知ですので、何か不快な発言があればその都度言っていただければ訂正いたしますので、無礼に関しては多めに見ていただけるとありがたいです」


まずはお礼。

次に失礼があった際には訂正をしてほしいと頼む。

悪気はないと伝える。

これ以上の言葉は思いつかないが、さてどう反応するかと思うと……。


「気にするな。そういうことは理解している。だからこそ、こうして話し合いに応じている」

『僕も大丈夫だよ。何かあれば注意させてもらうからいいよ。あと、敬語とかはいいよ』

「ああ、そういうのは私たちの所では存在しないからな。この日本にはあるようだが私たちは気にしないから問題ない」

「ありがとうございます。では、改めて自己紹介させてもう。恋乃宮叶だ」


俺がすぐにため口になると、園田と桜乃がびっくりした表情をするが、いいというんだからいいんだよ。

対して小夜は……。


「あはは、いいじゃん。叶。じゃ、次私ね。静紀小夜っていうんだよろしくね。ほら、春香」

「あ、はい。桜乃春香です」

「拙者は園田英雄と申すものでござる」


とりあえず、改めて俺たちが自己紹介をすると、小動物とロリ怪人も自己紹介をする。


『僕はロフィーだよ。コルペック族って言っては君たちにわかりやすく言うとイタチ型知的生命体って所かな?』

「私は和野誠子だ。この名前は元々からこちらの調査をしていたときに使っている名前だな。種族は……ロウリィ族だな。見た目は地球人と同じタイプだ」


誠子はロリ族なんだねと言いたくなったがちゃんとこらえる俺は偉い。

園田も口を一文字にきつく閉じているから何とかこらえたんだろう。


「ありがとう。じゃあ、ロフィーに誠子。2人はなんであの交差点に来たんだ? ぱっと見た感じ誠子がロフィーを攻撃していたように見えたが?」


大事なのは一つ一つの事実を確認することだ。

あれは攻撃なのか、それとも事故なのか。

そこをはっきりしよう。


「ああ、間違いない。私はそのロフィーを攻撃していた。条約違反でな」

「「「条約違反?」」」


俺たちが首をかしげていると、ロフィーは顔を背けて……。


『条約違反だからって攻撃していいわけないだろう』

「何を言っている。この地球の経過観察の権利は私たちにとなっている。警告はした。それを無視して地球に降下をしたのはお前たちだ」

『事故における不時着だから仕方ないさ』

「何が事故だ。航路をこの区域、太陽系に取ったこと自体違法だ」

『いやー、船が故障してねー。爆発しちゃったしー』


だんだん話が見えてきた。

なるほど、どちらかというとロフィーが意図的にわざと地球にやってきたように見えるが……。

そこを言及してものらりくらりという感じか。

そうなると……。


「すみません。えーと、条約などはよくわかりませんが、話から察するに、偶然の事故と勘違いで街中での戦闘になったということでしょうか?」

『そうだよ。叶わかってるじゃないか』

「ふん。今の所はそうだな」

「では、ロフィーさんが退去してしまえばそれで終わりですね。誠子さんはそういう事故の救助をしてはいけないというのはあるのでしょうか?」

「『!?』」


俺の言葉に2人が驚く。


「地球には遭難者というか困った人には手を差し伸べるというのがあります。そちらの条約に抵触しなければそういった行動は出来ないのでしょうか?」


あくまでも事故と言い張るのなら、救助の名目が立つはずだ。

何より、本当に事故なら喜んで退去するはずだよな?


「可能だな。なるほど、そこのコルペック族が事故で不時着したというなら送り届けるのが筋だな」


誠子も俺と同じ結論に至ったようでうんうんと頷きながらそう呟く。


『え? いやだよ。危害を加えようとしたロウリィ族に保護なんてされれば船で死体になっているさ』

「そのようなことをするわけがないだろう。多種族間の戦争を避けるために条約があるのだ。それを無視した場合基本的に攻撃してもいいという約定だろうが。それを事故として処理をして送り届けるといっているのだ。普通はこの場で処分だ。文句を言うなら先ほどの続きだ。今度は春香を巻き込むようなことはさせない」

『ふ、ふん。信じられないから仕方ないだろう!』


ロフィーの言っていることは分からないでもないけど、宇宙のルール的に即時撃墜が当たり前でこの話は温情でもあるわけだ。

それを拒否するっていうのはますます怪しい。

が、強固に言っても拒否するか逃げるかするだけだしなー。

こいつを野放しにすれば、ロフィーと誠子の地球バトルが再開されるわけだ。

それは絶対に避けなくてはいけない。


「じゃ、誠子がロフィーの仲間に連絡を取って迎えを頼むのはどうだ。それでしたら信用できるだろう? できるか、誠子?」

「問題ない。私が信用できないというのもわかる。仲間に連絡をしてやろう」

『あー、それなら。でも……』

「でも、何か問題があるのか? 拒否ってなるとわざとここに来たってことになるけど?」

『叶。このロウリィ族が本当のことを言っていると思うのか? 騙されている可能性があるんだぞ?』

「いや、判断する材料がないしな。確かに暴行を加えていたことは事実だが、こうして話し合いに応じているし、誠子の話の方が信ぴょう性があるな。そっちのルールは知らないけど、誠子と戦闘するよりも協力できた方が色々いいんじゃないか?」

『ぐ……』

「ふん。こうして地球の原住民にすら正論を言われているんだ。大人しくしていうことを聞いておけ。しかも春香を徴兵しようとしていたんだからお前の違法は明らかだ。それに目をつむってやるから大人しくしておけ。協力に関して上がどう判断するかだが、お前の頑張り次第だろう」


そう誠子がいうとロフィーはようやくあきらめたようで……。


『はぁ、分かったよ。出直すことにする。でも、僕は君たちロウリィ族だけがこの地球を観察のには納得していない。だから春香にはそのまま力を持たせておく』

「ふえ?」


いきなり話題にされた桜乃は首をかしげる。


「あれだろ、桜乃が魔法少女になったやつ」

「……うう~!!」


俺が指摘してようやく思い出したのか顔御真っ赤にさせる。

今の今まで忘れてたのかよ。

そう思っていると……。


「えーと、叶。この2人の話を信じるの?」

「そりゃー、喋るイタチとか見たこともないしな」

「あー、そっか。これって現実なんだ」


小夜の方も小夜の方で、いままで夢かと思っているようだ。


「しかし、これからどうするつもりでござるか? ロフィー殿の迎えも連絡してすぐというわけでもありますまい? 何より、誠子殿のいう観察というのはどういうことでござろうか?」

「そうだな。差し支えなければそこらへんも答えてもらっていいか?」


2人の事情は分かったけど、今度はなぜ地球に来たのかを聞かないといけないよな。

何やら目的があるようだし。



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