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福音希望短編集

異世界から聖女が来たので婚約破棄されて追い出されました

作者: 福音希望
掲載日:2025/06/07

聖女系?書いてみました。


「アイリス、貴様との婚約を破棄する」

「はい?」


 王子のいきなりの宣言に私は呆けた声を漏らす。

 現在、パーティーの真っ最中である。

 周囲も呆然とした反応をしていた。


「どういうことでしょうか?」


 とりあえず、意図を聞くことにする。

 あれだけはっきり言われたので、聞き間違いの可能性は低いだろう。

 まったくこの馬鹿王子は何を考えているのだろうか?


「お前のような役立たずはいらない、ということだ」

「役立たず、ですか?」


 いきなりの役立たず扱いに内心イラッとしてしまう。

 だが、ここで怒ることはしない。


「毎日毎日部屋に閉じこもって、何をしているのかもわからない。どうせぐーたらでもしていたのだろう」

「・・・・・・」


 私は何も言わない。

 例え説明しても、この馬鹿には理解できないだろう。


「だが、このカレンは違う。多くの民を癒してきた、まさに【聖女】にふさわしい」


 馬鹿王子は横にいる少女を褒め称える。

 彼女は先日、異世界から召喚された【聖女】である。

 回復魔法の才能があり、大抵の怪我は治すことはできる。

 流石に欠損や死者の蘇生は無理らしい。


「俺はお前との婚約を破棄し、カレンと添い遂げる」

「・・・・・・なるほど」


 ようやくこの男の目的が分かった。

 そういえば、城内でも馬鹿王子と異世界の【聖女】が恋仲だと噂になっていた。

 正直、まったく気にしていなかった。


「だが、俺も鬼ではない。お前が謝罪をするのなら、側妃にしてやってもいいぞ」

「どういうことでしょうか?」


 意味が分からない。

 婚約破棄をしようとしたのに、どうしてそんな提案をしてくるのだろうか?


「カレンの優しさに感謝しろ。俺に婚約破棄されたことで貰い手のないお前を助けようとしているんだ」

「・・・・・・」


 【聖女】の入れ知恵らしい。

 まあ、この馬鹿王子にそんなことを考える頭はないはずだ。

 大方、異世界出身の彼女に王妃の仕事は難しいから、それを私に丸投げしようとしたのだろう。

 そんな面倒なことはごめんである。


「お断りします」

「なんだと?」


 馬鹿王子は怒りの表情を露わにする。

 断られると思わなかったのだろう。

 私としては受け入れる選択肢など端からなかったが──


「何が悲しくて、婚約破棄するような馬鹿の世話をしないといけないのよ」

「なっ⁉」


 私の暴言に馬鹿王子の顔が真っ赤になる。

 公衆の面前で馬鹿扱いすれば、流石に恥ずかしく思ったようだ。


「出て行け。お前は国外追放だ。二度とこの国の土を踏めると思うなよ」

「はいはい、わかりましたよ」


 馬鹿王子の最後の命令なので、私は素直に従う。

 振り向かずに片手を振り、パーティー会場から退出した。



◇ ◆  ◇  ◆  ◇


「はぁ、やっと終わった」


 廊下を歩きながら、私は背中を伸ばす。

 ずっと堅苦しい雰囲気の中にいたので、体中が凝っていた。

 ようやく解放されたのだ。


「さぁて、どこに行こうかしら?」

「帝国に来ていただけますか?」

「っ⁉」


 いきなり話しかけられ、私は振り返る。

 そこには一人の男性がいた。

 黒髪の男性で頬に大きな傷がある。

 少し怖い雰囲気があるが、ナヨナヨしたイケメンよりこちらの方がタイプである。


「これは帝国の第一皇子様ですね。どのようなご用でしょうか?」


 流石に敬語を使ってしまう。

 馬鹿王子にはまったく敬意を払えないが、目の前の男性は違う。

 この大陸最大の国家の次期皇帝である。

 話すことすらおこがましい。


「先程の口調で大丈夫ですよ」

「いえ、そんなわけには──」

「そちらの方がはなしやすいので、お願いします」

「・・・・・・わかったわ」


 そこまで言われたので、口調を崩す。

 まあ、私としてもこちらの方が話しやすい。


「さて、先程の質問の答えですが、私は貴女をスカウトしています」

「スカウト?」

「帝国でその【聖女】の力を使っていただけませんか?」

「・・・・・・そういうこと」


 彼の目的は理解できた。

 結局、私の力が目当てだったのか。


「お断りするわ」

「どうしてでしょうか?」

「私はようやく自由になったの。それなのにまた暗い部屋に閉じ込められて、国中を覆う決壊をはり続けろというの?」


 私の【聖女】としての力は結界を張ることだ。

 害意のあるものを弾き、内にある者を守る力である。

 私はずっとこの力を使い続けてきた。

 だからこそ、この国は平和だったのだ。


「何やら勘違いされているようですが、私は貴女を監禁するつもりはないですよ」

「どういうことよ」


 私は首を傾げる。

 疑問に思う私を見て、彼はさらに説明を続ける。


「この国程度なら貴女は相当力を使う必要があるでしょうが、我が帝国は違います。あくまで貴女の力は補助です」

「そもそも私の力は必要ないんじゃ・・・・・・」


 帝国の軍事力は大陸最大である。

 私の結界がなくとも、自分の力で国を守れるはずだ。


「いえ、必要です。たしかに自分たちの力で守ることができますが、多少なりとも犠牲は出てきます。私はそれをできる限り減らしたいのです」

「それは立派な考えですね」


 彼の言っていることはもっともである。

 被害は出ないに越したことはない。


「でも、私が犠牲になってるわよね?」

「たしかに貴女の力を当てにしていますが、犠牲にするほど使い潰すつもりはありません。その力を使っていただく見返りに貴女に自由を保障するつもりです」

「今も自由だけど?」

「たしかに今も自由ですが、現状ではこの国に居場所はありません。そんな状況で自由を謳歌できますか?」

「む・・・・・・」


 言葉を詰まらせてしまう。

 たしかに彼の言う通りかもしれない。

 売り言葉に買い言葉だが、第一王子に喧嘩を売ってしまった。

 報復として、この国に居場所がなくなるだろう。


「ですが、ウチに来れば、貴女の居場所を用意できます。自由を謳歌するための資金もお渡しできます」

「その分、仕事をしろってことでしょ」

「まあ、そうですね。ですが、我が国にはこんな言葉があります。「働かざる者、食うべからず」と」

「・・・・・・わかったわ。帝国に行くわ」


 悪い条件ではないので、受け入れることにした。

 先立つものが必要なのも事実である。


「では、すぐに出発しましょう。何か準備は必要ですか?」

「私物は大して持ってないから必要ないわ」

「・・・・・・帝国に戻ったら、いろいろと準備させますね」

「気にしないで」


 この国での私の扱いを知り、彼は怒っている様子だ。

 思わず宥めてしまう。


「わかりました。それより貴女の帝国での立場を確固たるものにするためにある提案をしたいんですが」

「何かしら?」

「私の妻になってくれませんか?」

「お断りよ。せっかく自由を謳歌するんだから、皇妃の立場は必要ないわ」


 いきなりの提案をあっさり断る。

 婚約破棄されたばかりの私に提案することではないだろう。

 だが、彼は堪えた様子はなかった。


「私のことが嫌いなわけではないですよね」

「ええ、そうね。むしろ感謝しているぐらいだわ」

「なら、まだチャンスもありますね」

「それは自由よ。私が受け入れるのも自由だけど」


 私に彼の告白を止める権利はない。

 受け入れるかどうかはまた別の話だが・・・・・・


「今後も告白させていただきますね。いつか頷いていただけるように男を磨きますよ」

「頑張ってね」


 自分を高める努力をすることは良いことだ。

 それを否定するような行為はしない。


「では、行きましょうか」

「ええ」


 彼に促され、再び私は歩き出した。

 これから自由になると思うと自然とその足取りは軽くなった。






王国の今後はどうなってしまうのか?

巻き込まれる異世界の聖女は可哀想に・・・・・・


作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

★5でも★1でもつけていただけると幸いです


他の短編作品よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
>それなのにまた暗い部屋に閉じ込められて、国中を覆う決壊をはり続けろというの? 節子!決壊やない結界や
元々の身分この舐められ具合からして平民だけど帝国に行って皇族に結婚できるのかっていうと無理だろ。聖女って身分も帝国だと補助程度でなくても構わないぐらいだから貴族が養子にってするにも本人が自由を望んでる…
召喚聖女…楽したかっただけじゃない?(笑)仕事したくないから、側妃に仕事させてとか考えてそ… 無能な元婚約者と略奪聖女…どうなるんだろ…
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