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【web版】拾った奴隷たちが旅立って早十年、なぜか俺が伝説になっていた。  作者: AteRa
第七章:ドワーフの国・ガンジア王国編

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第九十一話「聖鉱石ジニア」

 しばらく迷宮内を歩いていると、魔物に出くわした。

 スケルトンだ。

 かなり高品質そうな鎧と武器を身に纏っている。

 二体が剣を持ち、後ろの一体が弓矢を持っていた。


 果ての迷宮というだけあって、スケルトンでもかなり強そうだ。

 後ろの弓兵はニーナとナナの魔法に任せ、俺とルインとアカネで前方のスケルトンと戦う。


 剣を引き抜き、《筋力強化》を使う。

 ルインも《宝剣エクスカリバー》を手に取り、アカネも身の丈ほどの大剣を構える。


 次の瞬間、ニーナの魔法が背後から弓兵に向かって飛んでいく。

 しかしスケルトンの弓兵はそれをなんとか避けると、弓矢をニーナに向かって放った。


 戦闘開始だ。


 俺は剣を握り直し、前方のスケルトン一体に向かって駆け出す。

 それに対して、スケルトンは剣を正中線に構えて待ち構えるだけだ。

 腰を低く落とし、接近すると同時に、下から上へと剣を振り上げる。

 それに合わせるように、スケルトンも剣を振り下ろした。


 剣が松明の光を反射して、鈍色の尾を引く。

 ガキンッと剣がぶつかり、火花が散った。


 そして、俺の真後ろからルインが飛び出した。

 俺が対峙しているスケルトンの横を取るように、大回りで攻め込む。


「やぁあああぁあああああ!」


 声を上げ、気合いを込めながら、ルインは剣を斜めに振るう。

 スケルトンはそれに反応しきれず、簡単に引き裂かれた。


 目の前のスケルトンが倒れたことを確認すると、アカネの方を見る。

 すでにそっちは大剣の一撃で、スケルトンを叩き潰していた。

 ニーナとナナの魔法で弓兵も倒されており、ここにいた魔物は全滅していた。


「案外、あっさりだったな」


 俺が思わず言うと、アカネが大剣を背の鞘に収めながら答えた。


「まだ第一階層ですしね。普通のスケルトンよりも強かったと思うので、もっと下ると苦戦するはずです」

「確かにそうかもな。気を抜きすぎない感じで進んでいこう」


 俺の言葉にみんな頷く。

 そして警戒しながら迷宮を下っていき、呆気なく最下層に辿り着いてしまうのだった。



   ***



 最下層にはボスはおらず、大広間に煌びやかな水晶が敷き詰められていた。


「これが聖鉱石ジニアなのかな?」


 チラチラと光を発している水晶を見て、ルインが呟いた。

 近づくと、より一層光が増す。

 軽く触れてみると、若干の熱を帯びているのが分かった。


「温かいな……」

「本当ですか? ……本当だ、なんか温かいですね」


 俺のつぶやきを聞いたアカネも近づいてきて、触れる。

 それを見ていた他の子たちも、みんな水晶に触れ出した。


「さて、早くこれを持って帰ってあげよう」

「うん、そうだね! アレバさんが待ってるもんね!」


 ナナが元気にそう言って、小さめのツルハシを鞄から取り出した。

 そしてサクサクと水晶っぽい聖鉱石を掘削していく。


 しばらくして——。


「まあ、このくらいでいいだろう」


 袋に詰まった鉱石を見て、俺は言った。

 俺がその袋を背負って、みんなと来た道を戻ることになった。

 迷宮を出て、再び雪原へ。


「ううっ、寒い……」

「これ持ってると少し温かいぞ」


 俺は寒そうにしているルインに聖鉱石を手渡した。

 まだ若干の熱を帯びている。


「おお、確かに温かい」

「えっ!? じゃあ私にも貸してください!」

「……私も欲しいです」


 ルインの反応を見たナナとアカネも聖鉱石を欲しがる。

 そんな様子を見ていたニーナが一言。


「そこまで寒くないと思う」


 そんなこんなで、来たときよりかは楽に雪原を歩くことができ、俺たちは聖鉱石を無事に持ち帰ることに成功するのだった。

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