第百十一話「達成と別れ」
「働きたいですッ! 働かせてください、お願いしますッ!」
ジン君はリンネさんに勢いよく頭を下げる。
それを見たリンネさんはニッと笑みを浮かべた。
「ああ、いいだろう。そもそも、それを伝えるためにここにきたのだからな」
「…………え?」
リンネさんの言葉にジン君はピシリと固まる。
そしてジン君は確認するように尋ねる。
「それは本気ですか……?」
「ああ、本気だとも。ジン、お前には今日からこの魔族の国ネーシス王国の王立音楽隊に入隊してもらいたい」
その言葉にジン君は目を見開く。
そして驚きで声が出ないジン君をリンネさんは抱きしめた。
「そこから先、私の側まで来られるかはお前次第だ。期待しているぞ」
「……ありがとうございます! 頑張ります!」
こうして誕生日会は終わり、俺は村人たちとの約束を果たした。
次の日、俺はアーシャとともに王都の門に来て、旅立とうとしていた。
「ありがとうございました、アリゼさん、アーシャさん」
見送りに来てくれたジン君がそう頭を下げる。
その頭を俺はガシガシ撫でると言った。
「いいってことよ。それにまだここがゴールじゃないからな。スタート地点に立っただけだからな」
「……分かってます。絶対に自分の力でリンネ様の隣を勝ち取ってみせます」
決意のこもった表情でジン君は言った。
それから俺はアーシャに視線を向けて言う。
「アーシャはリンネさんに別れはいいのか?」
「はい、大丈夫です。もう済ませてあるので」
「そうか、それならよかった」
そして、もう一度ジン君の方に視線を向け、俺は言った。
「じゃあ、またな。またいつか会おう」
「はい。……寂しくなりますね」
そう言うジン君の頭を、俺はもう一度撫でて後ろを振り向いた。
「それじゃあ、今度こそまたな」
「はい、また」
そう言って俺は歩き出す。
ある程度歩いたところでアーシャが聞いてきた。
「今度はどこにいくんですか?」
「ああ、どうやらみんな獣人の国ビーミト王国にいるみたいだから、そこに向かおうか」
「はい! 久々にみんなに会えるの、楽しみですね」
そうして俺たちは魔族の国ネーシス王国を離れ、新天地へと旅立つのだった。
これにて『第八章:魔族の国・ネーシス王国編』は終わりです!
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