表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹日記から始まる異世界侵略  作者: 遠野空
第七章 ゲーム世界?
65/85

二人乗り自転車で出発!


 ライフルも多種多様にあるし、マシンガンの類いまで壁に展示品のように掛けられている!

 当然、それぞれに適合する弾丸も、山積みで置かれていた。

「おいおい、バズーカまである上に、手榴弾が無造作にどさっと木箱に入ってる! 取り上げた時、他のと絡まってピンが抜けたらどうすんだよ! 危ないだろうがっ」


「お、お母様が敵に殺されたと聞きますし、ご用心のためでは」


 瑠衣がようやく、遅すぎるフォローをした。

 ただし、セリフが棒読みである。


「多分、近臣の者とかこの屋敷の使用人の過保護な用心だろ。ロザリーの好みは明らかにこっちだ」


 古風な武器が並ぶ右手の壁を見て、貴樹は頷いた。

 ……まあ、後でロザリーが喜ぶだろうから、刀くらいは借りていこう。しかし、どう考えても、自分に向いているのは左手の壁に並ぶ、銃器の類いの気がする。


「よし、決めた! 右手の壁から業物わざものの刀を一振り借りて、後は銃も一丁持っていく。どうせ、どっちも非常用だけど」

「では……瑠衣はマジックロッドをお借りしますわ」

 ようやく固まっていた瑠衣も動き出した。

 言葉通り、マジックロッドと……それから、各種魔法石を選んでいた。


「これだけで、とんでもない金額になります……あの方の財力はすごいですわ」

 手に山盛り持った魔法石を見やり、瑠衣がため息をついた。

「その杖と石をまとめて売ったら家が建つと聞いても、俺は驚かないな。あいつの金銭感覚は、庶民とは桁が違う」

 貴樹は確信を込めて応じた。


 昔、本人たっての希望で、夜でも営業してる駄菓子屋に連れて行ってやったことがあるが、その時チロルチョコを買うのに、ドヤ顔で一万円札を出した女である。

 当時、まだ八歳だったというのに。


「家どころか、地下を含めたこの屋敷が、丸ごと三棟は建ちますわ」

「……あ、ちょっと驚いたかも」


 生活費を除いた月の小遣いが七千円の貴樹は、脱力しそうになった。リア充か、あいつはっ。

 ちなみに、ロッドは要は魔法の杖で、魔法の指向性と威力を高める効果があり、青い魔法石には、魔力の元となるマナが多量に含まれているという。他のはあいにく、魔法使い初心者の貴樹には用途不明だ。


 武装が終わると、貴樹は最後は瑠衣に断り、一人で地下フロアのさらに奥へ走って、念には念を入れてきた。必要ないとは思うが、用心して悪いことはあるまい。


 今入手した最後の保険を使わなくて済むなら、それに越したことはないのだ。






「よ、よし! 準備完了だ」


 戻った貴樹は、瑠衣と二人で脱出口まで移動し、気合を入れた。

「……あの、この自転車はなんでしょう?」

 脱出口は、魔法陣のかかれたただっ広い倉庫のような場所だが、その隅に前夜から置きっぱなしの自転車を見て、瑠衣が首を傾げる。


「これ? これに乗って空飛ぼうかと」

「つ、つまり、魔力行使の媒体ですか?」


「いやぁ、俺は何もなくても普通に飛べるんだ。でも、これで瑠衣と二人乗りしたら、二人で仲良く飛べるだろ? それに、瑠衣は魔力を消耗せずに済む。飛ぶくらいなら俺はもう余裕だし、良いことばかりじゃないか」


 本当は抱き合って飛ぶのが貴樹的理想だが、それはさすがに恥ずかしい。

 あと、そんなことを持ちかけた挙げ句、瑠衣に「不潔ですっ」などとケーベツの目で見られた日には、死にたくなること請け合いである。

 そこで、ヨハンの買い物用自転車の出番というわけだ……これなら、抱き合って飛ぶよりは、だいぶ瑠衣もオーケーしやすいだろうと。


 考えてみれば、女の子と自転車で二人乗りした経験もないので、これはこれでドキドキするが。




「瑠衣だけ楽して、申し訳ないですわ」

「いや、本当に飛ぶだけならもう楽勝なんだって。気にせずに後ろへどうぞ」

 貴樹は率先して自転車に跨がり、さりげなく促してやった。

「わかりました。では、お言葉に甘えますね」 

 瑠衣が後ろの荷台に可愛く横座りして、遠慮がちに貴樹の胴に腕を回してきた。


「そ、そうそう……落ちないように掴まってくれな」

「はぁい」


 もういきなり、貴樹が腰砕けになるような返事が返ってきた。

 なに、今の可愛さマックスの声でされた返事っ。この子は天使かっ。昨晩、このアイデアを考えた自分を褒めてやりたい!


 脳内お花畑状態になってしまったが、もちろんやるべきことは忘れていない。

 自転車が、外出用の魔法陣の上にあることを確かめた後、貴樹は短いコマンドワードを発した。


「出発!」


 途端に、二人を乗せた自転車が、その場から消えた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ