この命尽きるまで
1.ポポロンの森-女神像前
眼福だわ。
女神像の前に集まったパーティーメンバーを眺めて俺は目の保養に勤しんでいる。
少し話した感じ三人娘は普通の女って印象だ。それが演技なのかどうかまでは知らねえが、こっちとしてはキッチリ演じきってくれれば文句はねえ。
俺の周りに居る女どもは揃いも揃って個性が尖りすぎなんだよな。まともなのはシルシルりんくらいだ。
おっと木陰に身を潜めたブーンと目が合ったぜ。禍つ鳥か。ふん……。だが関係ねえ。俺は宿命を打ち破る男。定められし運命が死だというなら俺はそいつを覆してみせる。
俺はブーンを睨み返した。
「な、なに?」
俺の正面に立っている女が妙にそわそわしている。俺の視線を勘違いしたようだ。
さすがに死鳥に付き纏われていることを正直に打ち明けるほど俺は空気を読めない男じゃない。俺は適当に誤魔化した。
いえ、何でもありませんよ。フォーメーションの話でしたね。俺たちは新参ですから、皆さんの指示に従います。できることだけ言っておくと、俺もジャムも何度か実戦は経験してます。俺は生きたまま食われたこともあるので肝は座ってるつもりです。ジャムジェムはスピンと剣で渡り合ったことがあります。俺なんかより才能ありますよ、こいつは。
まぁ実話である。前にサトゥ氏からちょろっと聞いたんだが、赤カブトはオールラウンダーの才能がある珍しいタイプであるらしい。
直感タイプのサトゥ氏が戦士に向いてるように。受信タイプのリリララが魔法使いに向いてるように。人には向き不向きがある。赤カブトにはそれがない、ように思える。珍しいタイプだとサトゥ氏は再三口にしていた。
サトゥ氏お墨付きの地味ガールはじっと俺を見つめている。
「三人とも美人だね、ペタさん。地味でゴメンね」
そんなこと思ってないよ。俺は赤カブトの被害妄想を正した。
何が地味だ。髪、真っ赤じゃねーか。目ぇピンクだし。まぁ配色は置いておくとしても、お前は愛嬌あるから。人間味があっていいと思うぞ。
「…………」
赤カブトは無言だ。
感情を捨て去った冷徹なマシーンのような目をしてやがる。
俺、出発前に殺されるのかなぁ。諦観にも似た思いをぼんやりと頭に浮かべていると、赤カブトがにぱっと笑った。
「えへへ。そーお? ありがと」
少しは人間らしい感情が残っていたらしいな。俺は安堵して美少女戦隊の茶髪に視線を戻した。
美少女戦隊の編成は戦士、僧侶、魔法使いの三人だ。リーダーの茶髪は戦士で、まだ【スライドリード】の二段階目は体得していない。
ゆくゆくはクランを立てるつもりであるらしく、メンバー探しと経験値稼ぎを目的に野良パーティーを回しているようだ。【目抜き梟】に憧れでもあるのかね。クランは男女混合が望ましい。バンシーに身をやつした俺が怒鳴ってもあんまり迫力が出ないんだよな。
リーダーの茶髪は俺と赤カブトの遣り取りを楽しそうに見ていた。
「ペタくんは将来女の子で苦労しそうだね」
いえ、残念ながら現段階で既に。
俺が手遅れである旨を報告すると、茶髪はくすくすと笑った。
「二人はヨロダンは初めて?」
俺は何回か。ジャム、お前は?
「初めて。普段はずっとフィールドで狩りしてる」
まぁチームポチョだからな。
ウチの元騎士キャラはフィールド戦を好む。地形を把握することは重要なので俺もとやかく言うつもりはない。ただ、発想が完全にPKer寄りなんだよな。ポチョさん怖いわ。
常設ダンジョンを徘徊するモンスターはフィールドには居ない。少なくとも現時点で開放されているマップには居ない。
もしかしてリビングアーマーを見るのも初めてか?
俺は気になって赤カブトに尋ねた。
「うん、初めて。可愛い?」
可愛いかなぁ。俺は可愛いと思うけど。
見た目はポンコツだけどモグラさんに匹敵するパワーファイターだぞ。しかし動きは単純だ。攻撃手段はパンチとロケットパンチ。
「ロケット……? え? リビングアーマーの話してるんだよね?」
この流れで何でいきなり他の話をせにゃならんのだ。リビングアーマーの話だよ。
足は遅いが、ジェットで空を飛ぶ。油断はしないようにな。
「ロボですか?」
ロボではないよ。魔法効くし。いやクソ虫にも効くけど。むしろスライムに近いって言われてるな。人間で言うところの脊椎にコクピットがあるからそこを狙え。
「コクピットを」
鸚鵡返しに呟く赤カブトに俺は頷いた。
独特の動き方をする。惑わされるなよ。混乱するなと言っても難しいだろうが。そうだな……一度やってみせよう。大体こんな感じだ。
がしんっ、ぎゅいーん。
俺はロボットダンスを披露した。
「侵入者ヲ排除シマス」
「ロボじゃん!」
一斉に突っ込まれた。
パーティーメンバーの心が一つになったようだし、そろそろ行きますかね。
2.常設ダンジョン-青の洞窟
ヨロダンは鍾乳洞マップだ。
週末ということもありプレイヤーで賑わっており、怪しい商売に手を出すものが後を絶えない。
「ポーション。ポーションだよ〜。ドリンクポーション要らんかね〜」
野良アンパンがヤバいクスリを売っている。ちっ、敬遠されてるじゃねえか。だから市場に流すのは待てって言ったんだよ。
アンパンが作ったポーションは静脈注射キメるのが一番キク。口から飲んでも効果はあるが、それだと原価と効果が釣り合わない。
静脈注射の絵面がやべえことは分かってるんだよ。だが有効だ。じっくりと時間を掛けて浸透させれば間違いなくヒット商品になる。その筈だったんだ。
ったく、仕方ねえなぁ。俺はパーティーメンバーに一言断って隊列を離れると、アンパンからポーションを一つ購入した。
おい、ちょっと耳貸せ。ハイポーションは売ってねえな?
「な、何の話かな? ……いや、あれ不味いんだもん」
打つだけなら味は関係ねえからな。
「それが嫌なのっ。俺は健全に商売したいんだよっ」
だが一度打てば病み付きになる。お前のポーションはその可能性を秘めている。
俺はアンパンの肩に腕を回して耳元で囁いた。
なあ、アンパンよ。俺たち友達だろ? 今後も仲良くやっていこうや、なあ……。
コイツは俺の金づるだ。誰にも譲るつもりはない。アンパンは小動物のようにふるふると震えていた。
くくくっ……。まぁ今後もよろしく頼むわ。
アンパンくんと旧交を温めた俺はパーティーメンバーと合流して先へ進む。
赤カブトは俺とアンパンの仲が気になるようだ。
「あの薬屋さん、知り合い?」
まぁな。腐れ縁ってやつだ。いや……雁字搦めだな。アイツは危ねえ……。
ジャムジェム。俺と知り合いだからってアイツには近付くなよ。
俺は赤カブトに警告した。
かつてネフィリアが引き起こしたバイオテロの大半にはアンパンが関わっている。アンパンの野郎は口では嫌がっていたが、与えられた仕事はキッチリとこなした。いや、それ以上だ。そしてこうも言えるだろう。もしもPKにランキングがあるとすれば、国内サーバーで最も多く人間を殺したプレイヤーはアンパンだ。
俺は静かに暮らしたいんだ。一人の鍛冶屋として真っ当に生きて、平穏に日々を送りたい。それだけなんだよ。
だから俺は……。
ダンジョンを進んでいくと、人はどんどん疎らになっていく。混雑を避けるために何らかの処理を施されている、というのがプレイヤー側の見解だ。
岩肌は湿っていて、青く輝いているかのようだ。絶えず水が流れる音がする。
天然の大鍾乳洞。それが青の洞窟。金属にまつわる魔石が採掘できる鍛冶屋の聖地だ。
「わっ! 凄い! きれい!」
瞳を輝かせた赤カブトが感嘆の声を上げて俺を追い抜いた。くるりと振り返って楽しそうに笑う。
「ワクワクしてきたっ。一緒にがんばろうね、ペタさん!」
おい、急に走り出すな。足元に気を付けろ。滑るぞ。
不意に学校のプールの授業を思い出した。プールサイドは滑るから走るなってよく言われたっけな。クッ、確かにな。見てて危なっかしいったらねえ。
早く早くと手を振って急かしてくる赤カブトに、俺はハイハイと適当に返事をして慎重に足を早めた。そして胸中で呟く。
ああ、俺も楽しみだよ。
3.初戦
赤カブトがいい。赤カブトの動きがとてもいい。やはりトップクランの教えを受けたのは大きかったようだ。短い期間ではあったが、基礎の作り方を学ぶくらいの時間はあったようだな。
「先制します」
ポンコツのロケットパンチを躱した赤カブトが濡れた地面を蹴って跳躍する。
駆動音を鳴らして迫るポンコツが迎撃に動く。
空中で【スライドリード(遅い)】を発動した赤カブトが大きく旋回して慣性を捻じ曲げた。【敗残兵】仕込みの多段ジャンプだ。ポンコツは赤カブトの動きに翻弄されるばかりで、まったく付いて行けていない。しかしポンコツの装甲を貫くのは困難を極める。赤カブトの連打にもまったくひるんだ様子がない。
赤カブトには首の付け根の後ろを狙えと教えてはおいたが、動き回る相手の弱点を突くのは難しいようだ。なかなか進撃の巨人みたいには行かねえな。
どけ。俺は赤カブトの肩を掴んで押しのけた。
魔眼・鳥獣戯画の型!
パーティーに僧侶が居るなら俺も相当な無茶が利く。
おら、はわわだろ? 優しくしてやるよ。掛かってきな。俺の這いずり回るような視線にハッとしたポンコツが殴り掛かってくる。
リビングアーマーは俺と相性がいいモンスターだ。厄介なのはロケットパンチとジェット飛行だが、行動パターンは把握している。ブーメランのように大きく弧を描いて戻って来たロケットパンチを、俺は首を傾げて躱した。見えるぞ。どうした。その程度か?
俺に釘付けになっているポンコツを美少女戦隊と赤カブトがタコ殴りにする。群れと遭遇するまで魔法は温存するという取り決めだ。
リーダーの茶髪がポンコツのコクピットに全体重を乗せた刺突を叩き込んだ。それが決定打になったようだ。両膝を屈したポンコツが沈黙し、駆動音が停止する。
くるりと槍を回して大きく息を吐いた茶髪がニコッと笑った。
「二人ともいいね! 初心者とは思えないよ!」
そう言って貰えると嬉しいです。
残りの二人も口々に俺たちを褒めちぎってくれる。
「ジャムジェムさんはくるくる動くね。見てて楽しい」
「ペタくん、何かした? 途中で鎧の動きが鈍ったような」
気合いスよ。気合いと根性です。
俺はしれっと嘘を吐いた。あまり人前で目は使いたくないんだが、ここで赤カブトに脱落して貰っちゃ困る。……司祭が居るパーティーに潜り込むべきだったか。まぁ過ぎたことだ。
目の充血くらいなら誤魔化せる。思春期の多感なボーイを装うんだ。今の俺は大人ぶって背伸びしているけど女の人の前では緊張してしまうピュアタマくんだ。
俺はポンコツがドロップした魔石を拾ってリーダーの茶髪に手渡した。戦闘直後ということもあり頬を紅潮させて浅く呼吸しているエロい女から目を逸らして小言を付け加えておく。
武器の損耗はできる限り抑えてください。換えの武器を作ることはできますが、質は保証できません。レベルあんまり高くないんで。ぶっきらぼうに告げると、僧侶っ子に頭を撫でられた。
「偉い偉い。よく出来た子だなぁ。見た目も女の子だし、可愛いっ」
俺は器用だからな。この程度の演技は訳ねえさ。
俺はニヤけそうになる口元を引き締めて鼻の下を伸ばした。キリッ。
「ペタさん……?」
いつの間にか俺の背後に回った赤カブトが俺の耳元で囁いてくる。
「やっぱり美人が好きなの?」
当然でしょと言い掛けて俺は慌てて口を噤んだ。愛想笑いを浮かべて振り返る。
どうかな。あんまり意識したことないから分からないや。
赤カブトはじっと俺を見つめている。しかしすぐに機嫌を直してニコッと笑った。
「ロボット硬いね。びっくりしちゃった。刃こぼれしてないかな……」
魔石産の武器は単なる鉄製じゃない。そう簡単には折れないが、やはり限界はある。特にリビングアーマーは高い硬度を持つモンスターだからな。武器の負担は大きい。
かと言って弱点のコクピットだけを狙えるかといえば、それは難しいだろう。人間なんて一発殴られたらおしまいだからな。襲い掛かってくるスズメバチを素手で迎え撃つ感覚に近いかもしれない。
しかし俺たちは無傷で初戦を制した。美少女戦隊の腕も悪くない。
リーダーの茶髪がぱんと両手を叩いた。
「よし、休憩終わり! 先に進もう!」
はーい。俺たちは従順に頷いた。
4.青の洞窟-深部
俺たちは順調に洞窟を進んでいった。
赤カブトの活躍は目覚ましく、連携が噛み合っていくにつれてリーダーの茶髪に見劣りしないほどの戦果を上げていく。レベルも上がったようだ。三人娘と手を叩き合って喜ぶ赤カブトは見ていて微笑ましかった。
俺も赤カブトほどではないが、要所でリスクを防げるよう立ち回る。僧侶っ子は視野が広いタイプであるらしく、俺の地味な働きぶりがお気に召したようだ。何かと俺の頭を撫でてくる。
いいパーティーだな。素直にそう思った。バランスがいい。窮地に陥った時の反応も見ておきたかったが、高望みはすまい。俺にはあまり時間がない。
悪くない時間だったよ。けど、お遊びは終わりだ。
リビングアーマーの群れに襲われ、俺たちは分断された。突然の出来事だった。魔法で駆逐するには味方との距離が近すぎた。
俺は赤カブトの手を引っ掴んで叫んだ。
逃げろ! 距離を置けば何とかなる! さっきの場所で落ち合おう!
俺は赤カブトを連れて湖に飛び込み、流されるまま地下空間に逃げ込んだ。
ぽっかりと空いた大きな空洞だ。小さな島に泳ぎ着いた俺は、赤カブトを引き上げて一息つく。
ここは、青の洞窟に幾つか点在する地下湖だ。俺は普段から青の洞窟にソロで潜っていたから、この辺りの地形に詳しい。
呼吸を整えていた赤カブトが剣を掴んで立ち上がる。
「早く戻らなくちゃ……!」
いいや、その必要はないな。
俺は振り返って赤カブトを見た。
「ペタさん、なんで……」
赤カブトは悲しそうに俺を見た。
「なんで、目から血が出てるの?」
分かってるんだろ?
俺が魔物の群れを誘き寄せたんだ。片目を潰すつもりで使ったんだが、多少はマシになって来たらしいな……。
脱落が始まった視界の中、赤カブトは俯いて目線を落とした。
「どうして、そんなことしたの……? さっきまで、みんな、あんなに楽しそうにしてた、のに……」
邪魔をするつもりはなかった。お前があいつらと仲良くなるのを待ってたんだ。
「……分からないよ。ペタさんが何を言ってるのか……」
一石二鳥だ。そう言っただろ?
俺は赤カブトに命じた。
ジャム。あいつらを殺せ。
「……なんで? なんで、そんなこと言うの?」
詳細は話せねえ。話したら意味がないからな。
ただ……。ジャムジェムよ。俺は今ちょっとヤバい状況に居てな。信用できる味方が欲しい。
もちろんポチョとスズキは俺の味方をしてくれると思っているが、あいつらは俺寄り過ぎるからな。
俺が欲しいと思ってるのは、俺が間違ってる時に俺を殺せる味方なんだ。少なくとも他人の目から見てそう思わせるようなやつじゃなきゃダメだ。そう、ジャムジェム。お前のことだよ。
だからよ、ジャム……。あの三人を殺せ。俺のために。
赤カブトが顔を上げた。
「分かんないよ! なんで? やばいって、何がやばいの?」
言えねえな。お前が俺の味方になると、まだ決まった訳じゃねえしよ。
「り、理由。理由を教えてよ。もしも本当に、ペタさんが危ないなら、わ、私は……」
それを言ったらテストにならねえんだ。
お前は理由も分からないまま俺のために人を殺せるか? そう聞いてる。
……本当はしばらく大人しくしてようと思ってたんだがな。お前に外に出ようって誘われて気が変わった。ジャムジェム、お前は正しい。守ってるだけじゃ勝てねえ。
もう一度だけ言うぞ。ジャム……。
あの三人を殺せ。俺のために。お前自身の手で。
赤カブトは答えなかった。俯き、地面に視線を落としている。
そうか。俺は諦めた。お前には無理か。
じゃあ仕方ねえな。俺はここで抜けるぜ。ちやほやされるっつー目的は果たしたし、これ以上長居する理由がねえ。
あばよ。
立ち去ろうとする俺に、赤カブトが叫んだ。
「あの人たちをどうするつもりなの!」
ああ、気付いたのか。鋭いのか鈍いのかよく分かんねえやつだな、お前は。
あの三人か。当然殺すよ。この程度のダンジョンで俺が死ぬのは不自然だからな。中規模の群れを作って殺す。そうすれば今日は運が悪かったねで済むだろ。俺と合流できなくても不思議には思わねえさ。
ジャム。お前は帰りな。あの三人は手遅れだ。俺に気を許した時点で……っ。
おお。俺の腹から剣が生えてる。
ジャム、ジェム……お前は……。
「はぁっ、はぁっ」
赤カブトは浅い呼吸を繰り返している。軽度の興奮状態。
うっ……。俺に後ろから抱きついて来た赤カブトが、俺の首筋に噛み付いた。何してる、お前……。
赤カブトはいやに艶っぽい声で囁いた。
「嘘つき。私のこと、生かして返すつもりなんてない癖に。本当に……悪い人」
くそっ。ダメか。手足から力が抜ける。
だが……。
ああ、そうだよ。赤カブト。お前にもここで死んで貰う予定だった。後を追って来られたら面倒だからな……。
赤カブトが俺の腹から剣をゆっくりと引き抜いた。倒れ伏した俺を、赤カブトが仰向けに寝かせる。俺の頬を撫でて、うっとりとして呟いた。
「ペタさん。凄く綺麗だよ。お人形さんみたい。もう、死んじゃった?」
いや、まだだよ。けど長くは持ちそうにねえな……。
俺は最後の力を振り絞って片手を持ち上げると、ぎゅっと拳を握り締めて吠えた。
「殺せっ……!」
ざんっ、と地下湖に幾つもの人影が立つ。
命の火を身に纏った死兵たちだ。
俺の可愛い部下ども。査問会の連中は本当によく出来た部下だ。
俺が消えると同時に俺のキャラクターネームを確保して俺の帰りを待っていてくれた。自分の名前を捨ててまで。
だからコイツらは、自分の姿を捨てることも躊躇わなかった。
コタタマシリーズが武器を構えてゆっくりと赤カブトに迫る。
「それがお前の正義なのか」
「何故、赤の他人を救おうとする」
「室長を殺したな。何故だ」
「室長はお前に期待していたのに」
「どうしてそれが分からない」
死兵に囲まれ、逃げ場はない。
しかし赤カブトはひるまなかった。ゆっくりと剣を突き出し、静かに宣告する。
「正義とは絶対不変のもの。大切に思っている人を犠牲にしてもいい。正義とはそういうことです」
赤カブトの絶望的な戦いが始まる。
これは、とあるVRMMOの物語。
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