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第73話 乙女達のナイショの話

「ふ~~~~! きっもちいぃ~!」


 トラブルもあったけど、楽しくプールを楽しんだ私達は、夕食を食べた後に大浴場で疲れを癒していた。


 いつもなら他のメイドが何人か入っていてもおかしくない時間なんだけれど、みんな私達に気を使ってくれているのか、私達以外に誰もいない。


「日頃の疲れが取れるわ~~~~」

「咲ちゃん、ちょっとジジくさいよ?」

「うっ……それ言わないでよ綾香ちゃん……」


 いくつかある浴槽の中で一番広い浴槽に浸かっていると、咲ちゃんが深く息を漏らしながら言った。


 そんな、ジジくさくなんか……ごめんなさい咲ちゃん……私もちょっぴりそう思っちゃったかも……。


「この大きなお屋敷だったり、プールだったりで驚きっぱなしだけど、さっきのご飯も凄かったね~ウチ感動しちゃったよ」


 さっきのご飯を思い出してるのか、綾香ちゃんは両頬に手を当てながら、うっとりとした表情を浮かべる。


 今日は前回ヒデくんが来た時とは違い、お父さんも帰ってきてないし、お母さんもまだお仕事が残ってたらしく、お部屋に籠らないといけなかったみたいで……なら、凄く広い部屋よりも、そこまで広くない私の部屋で食べた方がいいんじゃないかってお母さんに提案されたから、私の部屋で食べたの。


 料理に関してだけど、今日は和食中心の料理が出てきたの。みんなおいしいおいしいって言いながら食べてくれて、すっごく嬉しかったなぁ。


 あ、でも……私もおいしいって思ったけど、やっぱりヒデくんのごはんには勝てないって思っちゃった。やっぱり大好きなヒデくんと一緒に作ってるからなのかな?


「…………」

「咲ちゃん? ジッと見て……どうしたの?」

「いやぁ……水着を見た時も思ったけど、改めて何も遮るものが無い状態でみると存在感が半端ないっていうか……ホント日和ちゃんのおっぱいって凄い大きいよね」


 咲ちゃんはそう言いながら、私の胸を下から優しく持ち上げる。ちょっぴりくすぐったい……。


「ふわふわなのに、弾力もしっかりある……なにこの神おっぱい……無限に触れる……」


 今度は指先でツンツンと触り始める。そんなに触ってて面白いものなのかな……?


「咲ちゃんが更にジジくさい事を言ってる!」

「だって羨ましいんだから仕方ないじゃん! 綾香ちゃんもおっぱいあって羨ましいよ~」


 こう言うのは凄くごめんなさいなんだけど……咲ちゃんはぺったんこなおっぱいだから、膨らみのある私や綾香ちゃんが羨ましいのかな。


「ウチのは中途半端だからなぁ……最近ついちゃいけない所にお肉がついちゃうことがあるし……日和ちゃんみたいに出る所は出て、引っ込む所は引っ込む体型とか、咲ちゃんみたいにスラっとしてる方が羨ましいよ!」

「あたしは運動してるからね~。でも、あたしの家系はみんなぺったんこだから……運動をしてなくても、結局ぺったんこかも……」


 二人共、色々と悩んでいるんだなぁ……私ももっと身長があったらとか、胸が重くて走るのが辛かったりするからもっと小さくならないかなとか、色々思う事がある。


 でも……。


「私、二人は今のままで凄く素敵だと思う。だからあんまり自分を悪く言わないで欲しい、かな」

「日和ちゃん……」

「ありがとね!」


 二人はアタシの両隣に来ると、優しくギュッとしてくれた。ちょっと苦しいけど、すごく暖かくて安心する。


「ホント日和ちゃんっていい子だよね~。こんないい子、ウチ会った事ないよ」

「そ、そんな事……」

「綾香ちゃんの言う通り! 自信を持っていいよ!」

「私よりも、ヒデくんの方が何百倍も優しいし、いい人だし、カッコいいよ?」

「惚気話ごちそうさまでーす! ところで日和ちゃん、ウチもおっぱい触ってみたいんだけど……いいかな?」

「うん、いいよ」

「やったぁ! じゃあ失礼しま~す……ほわぁ……ふっかふか……マシュマロみたい……」


 い、いつまで触ってるのかな……? 私は別にいいんだけど、ちょっぴりくすぐったい。


「ていうかこれ、重くないっ!?」

「うん、凄く重い。だから走るときとか凄く大変なの……揺れて痛いし……」

「やっぱりそうだよね。これだけ大きいと、男子共もイヤらしい目で見てくるだろうし」

「……そうなの?」


 イヤらしい目ってなんだろう? 確かに男の子が私の胸を見てる事は多い気はする。


 でも、ヒデくん以外の男の子に興味が全然ないから、見られても何とも思った事がない。もしかして、それがイヤらしい目なのかな?


「ま、日和ちゃんをそんな目で見てる男がいたら、桐生君がどこからともなく飛んできて、その勢いのままぶん殴りそうだけど!」

「あはははっ! ウチもそれについては同意見かな~! 桐生君、日和ちゃんの事になると目の色変わるし! ホント愛されてるよね~」

「愛されてる……えへへ……」


 ヒデくん、私の事を愛してくれてるのかな……もしそうなら凄く嬉しいな……私もヒデくんの事は大好き……ううん、愛してるから。


「ウチさ、ずっと気になってたんだけど、日和ちゃんって桐生君とどこまで進んでるの?」

「どこまでって……?」

「そりゃもちろん手を繋いだ……はいつもしてるか。ハグしたとか、キスはしたとか! もしかしてそれ以上……!? ふんすふんすっ!」

「えっと……ぎゅーはした。ちゅーも付き合ってから、ほぼ毎日おはようのちゅーとおやすみのちゅーしてる」

「毎日!? それはあたしもびっくりだって!」


 こう改めて聞かれるとちょっぴり恥ずかしい。でも二人には隠し事はしたくないし……うぅ~……。


「ラブラブキター!! それでそれで!?」

「あとは……週末とかは一緒に寝てる」

「ほわぁぁぁぁ!? 爆弾発言ありがとうございま~す!」


 あ、綾香ちゃんはどうしちゃったんだろう……凄い鼻息が荒いし、顔も真っ赤……もしかしてのぼせちゃったとか?


「それでそれで? もちろん寝て終わりってわけじゃないよね!」

「……? 終わりだよ?」

「…………もう一回言ってくれないかな?」

「終わりだよ?」

「えー……」


 あ、あれ? なんで綾香ちゃんはそんなにがっかりしちゃったんだろう……私、なにかいけない事を言っちゃったのかな……?


「ち、ちなみに寝てる時は何かしてる!?」

「うーん……ぎゅーってしてもらったり、撫でてもらったり……それが嬉しくて、いっぱいくっついてる」

「えー……そこまでしておいて、なにも無し……? 桐生君って鋼のメンタル? それとも既に枯れてる……?」

「あたしが思うに、桐生君って日和ちゃんを溺愛してるから、結婚するまでは絶対に変な事をしないで耐えてそう」

「あ~……なるほど。それならウチもイメージできるね……必死にえっちな事をしないように、自分の理性と戦う桐生君……それはそれでちょっと面白そうだけど!」


 えっちな事……ヒデくんの中では、多分後五年はしないつもりなんだろうけど……私はそんなに待てる自信はない。


 だってヒデくんともっとイチャイチャしたいもん。ホントは一日でも早く恥ずかしさを克服して、ヒデくんに初めてをあげたいくらい。


 でも……やっぱりまだ裸を見られるのは恥ずかしい……バスタオルで見えなければ大丈夫なのに……はぁ……私ってダメダメだなぁ……。


「そうだ、桐生君が腕痛めた時あったよね? あたしずっと心配してたんだけど……もう大丈夫そうなの?」

「うん、大丈夫。でもあの時は数日の間は使えてなくて苦労してたから、私がヒデくんの生活をお手伝いしてたの」

「ほう……日和ちゃん……そのお手伝いとやら、ウチに教えてごらん……」

「え、うん。いいけど……ヒデくんの代わりにご飯作ってあげたり、お風呂を一緒に入って身体を洗ってあげたり……」

「よっしゃああああ!! お風呂いただきましたああああ!!」


 ど、どうしよう。綾香ちゃんが私の知らない綾香ちゃんになっちゃった……いつもはこんな元気が爆発したような子じゃないのに!


「咲ちゃん、綾香ちゃんをどうすれば……」

「多分放っておけば落ち着くと思う。それで日和ちゃん、一緒にお風呂って? 詳しく聞かせて」


 咲ちゃんは私にずいっと近づくと、目をキラキラと輝かせながら聞いてきた。


 二人の変わり様に、私ついていけないよ……。


「えっと、腕が痛くて頭とか身体が洗うのが大変だと思ったから、ヒデくんがトイレに行ってる隙に別の部屋に隠れて、お風呂に入ったのを見計らって私も入ったの。あ、もちろんバスタオルは巻いて」


 だってバスタオルがないと、恥ずかしさで死んじゃう……。


「ダメだよ日和ちゃん! そこはその破壊力抜群のおっぱいを最大限活かさないと! さりげなく押しつけたり、背中からギュッとしたり、触らせたり! 生まれたままの姿を見せたり!! じゅるり」

「そ、そんなの……恥ずかしい……」

「まあゆっくりやればいいんじゃない? 焦る必要は無いし。あと綾香ちゃんはヨダレを拭きなさい」


 咲ちゃんに言われて気づいたのか、綾香ちゃんはハッとしながら口元を拭った。


 絶対恥ずかしい事なのはわかってるけど……それをやったら、ヒデくんは喜んでくれるのかな?


「そうだ、咲ちゃんは猿石君の事はどう思ってるの?」

「どうって……只の腐れ縁だよ?」

「え~? 熟年夫婦の間違いじゃないの~?」

「そ、そそそそんな訳ないじゃん! あんなエロザルなんか好きでも何でもないし!」

「いやいや、さすがにそれは無理があるって……あんなに気合入れて水着を選んでたくせに~」


 私が考え事をしていると、咲ちゃんは顔を赤くしながら口元までお湯に浸かりはじめる。


 咲ちゃんは猿石君と仲良しさんだし、別に隠す必要は無いと思うんだけどな……。


「でもでも、今日助けてもらった時とか、実は嬉しかったりしたんでしょ?」

「……………………」


 耳まで赤くした咲ちゃんは、コクンと小さく頷いた。咲ちゃん、凄く可愛い……。


「咲ちゃん、告白……しないの?」

「その、もう一緒なのが当たり前になりすぎてるから、告白してこの関係を壊すのが怖いっていうか……それに、あたしみたいなガサツな女、間猿の好みじゃないだろうし」

「そうかな? 嫌いな人だったら、あんな血相変えて助けたりしないよ!」


 私も綾香ちゃんの意見に賛成、かな。猿石君はきっと咲ちゃんの事が大好きだと思う。だから気軽に言い合えてると思うんだ。


「う~……! あたしの話はおしまい! それより綾香ちゃんこそいい人いないの!?」

「ウチ? ウチは漫画の中に推しという名の彼氏が沢山いるから!」

「はぁ……まったく、綾香ちゃんらしいというか……」

「あはは……」


 ざばんっ! と音を立てながら立ち上がり、形の綺麗な胸を張りながら自信たっぷりに言う綾香ちゃんに、私達は苦笑いをする事しか出来なかった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。次のお話は火曜日の朝に投稿予定です。


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