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第70話 大豪邸のプール

 せっかくだし、ご飯が出来るまで遊んで来たらどうかしら――


 流華さんの提案に、日和を除いた俺達は驚いたものの、せっかくだし遊びたいという事で満場一致したため、俺は水着に着替えてプールサイドに立っていた。


 家にプールがあるってだけでも驚きなんだが、外じゃなくて室内ってところも凄い。これならいつでも泳いで遊べる。


 プールはよくある四角形のタイプではなく、流れるプールみたいなドーナツ型だ。中央部分には、雰囲気づくりのための植物や椅子が置いてある。


 プールサイドにはふかふかのソファとテーブルがあっていつでも休めるようになってるし、執事やメイドの人がわざわざ準備してくれたのか、ジュースの準備までされている。


 ここまでくると、至れり尽くせりすぎて申し訳なくなってくるレベルだ。


「いやーダメ元でも言ってみるもんやな!」

「ダメ元だったのかよ」

「もしかしたらあるかも? って思うてはいたけどな!」


 俺の隣に立って女子の着替えを待っている猿石君は、何故か仁王立ちで高らかに笑っていた。


「ところで猿石君、俺は素朴な疑問がある」

「お、なんや?」

「……なんで水着がブーメランなんだ?」


 俺は無難に赤と黒を基調とした、ゆったりしたトランクスみたいな水着にしたんだけど、猿石君はまさかの真っ赤なブーメラン……これには流石に驚きを隠せなかったぞ。


「男といったらブーメラン一択やろ! これ常識!」

「常識が謎過ぎてついていけないんだが?」


 まあ何を思って何を着ようが、その人の勝手だからいいんだけどさ。ただ純粋に気になっただけだ。


 ちなみになんで水着があるのかって話だが、テニスの時の服や道具と同じように、事前にいくつも用意がしてあるようで、その中から選んだんだ。


 ……その種類が、三桁をゆうに超えていそうなくらいの数があったのには、流石に目を疑ったけどな。


「おまたせ~!」


 出雲さんの元気な声と共に、水着に着替えた女子達がやって来た。


 まず出雲さんの水着だが、黒くてスポーティな感じのビキニだ。体を鍛えているからか、僅かに割れた腹筋や引き締まった身体がとても健康的な印象を与えてくれる。


 山吹さんは水色の可愛い感じのワンピースだ。少し子供っぽいって思う人もいるかもしれないが、個人的には山吹さんにとても似合っていると思う。決して子供っぽいって思っている訳じゃないぞ?


 そして日和なんだが……白とピンクを基調としたビキニタイプで、水着の上下にフリルがついていてとても可愛い。それどころか、日頃から運動をしてるわけじゃないのに綺麗なくびれが出来てるし、胸もこの中で群を抜いて大きいからか、ばっちりと出てる胸の大きさや谷間がとても目立っている。


 まあ色々とご託を述べてはいるが、みんなとても似合っているのは間違いない。


 強いて言うなら……日和が飛びぬけて可愛いし色っぽいせいで、今にも気絶しそうだ。彼氏だからそう思うんじゃ無いかって? いいじゃないか! 日和はそれくらい可愛い!!


「えと、ヒデくん……似合ってる?」

「ああ、凄く似合ってる」

「……えへへ。ヒデくんもカッコいい」

「あ、ありがとな」


 互いを褒めながら照れ合っていたら、出雲さんと山吹さんにニヤニヤされてしまった。でも仕方ないだろ……日和の水着が可愛すぎるし、素直に褒められたら普通照れちゃうだろ?


「よかったね日和ちゃん! 沢山悩んだ甲斐があったね!」

「そんな事を言ってる咲ちゃんも、どれなら猿石君が喜ぶか悩んでたの……ウチ知ってるんだよ~?」

「そ、そそそそんな事ないし!」


 今までからかう立場だったのから一転して、いじられる側に回ってしまった出雲さんは、顔を真っ赤にしながら必死に反論する。


 必死に否定すればするほど肯定になってしまうと思うんだが……それよりも、そんな事を言われた猿石君はどんな反応をしているんだろうか?


「おほー!! ゴリラは置いておいて、二人共めっちゃ可愛くて似合っとるな!」


 ……うん、いつも通り過ぎて清々しさすら覚える。出雲さんも照れじゃなくて怒りで顔を真っ赤にさせてるし。


「おいそこのクソザル、どういう事だ?」

「あはは、猿石君らしいね~」


 出雲さんを赤くした元凶である山吹さんは、大満足そうに顔をほっこりさせながら言う。喜んでもらえたようで何よりだよ! 全く山吹さんの恋愛沙汰好きには困ったものだ。


「はぁ……まあ期待してなかったからいいけどさ……気を取り直して、さっそく遊ぼう! あたし一番乗りー!」

「待て待て、泳ぐ前に準備運動しないと」

「んー……桐生君の言う通り、準備運動は必要だよね……おっけー!」

「え、ちょ――」

「死にさらせおらぁぁぁぁぁ!!」

「ぎょええええええ!?!?」


 出雲さんは猿石君を背中から胸元に手を回してホールドすると、雄叫びを上げながら、プールへ目掛けて猿石君を投げ飛ばした。


 お、おう……人間離れし過ぎて、やっぱり出雲さんはゴリラなんじゃないかって思ってしまうくらい凄いな……あと猿石君は無事なんだろうか。


「あースッキリした! よーし、準備運動はこれで完璧! 出雲咲! いっきまーす!」


 出雲さんは高らかに宣言しながら、とても綺麗な飛び込みでプールに入って泳ぎ始める。


 うわっ、めっちゃ速いな……フォームも綺麗だし、出雲さんの運動能力の高さが改めてよくわかる。


「う~! ウチも我慢できない!」

「あ、おい!」


 山吹さんも準備運動をせずにプールへと飛び込んでしまった。


 ったく……ワクワクする気持ちはとてもわかるけど、小学生じゃないんだから少しは我慢して欲しいんだけどな。


「俺達はちゃんと準備運動をしような」

「うん」


 俺と日和が仲良く準備運動をしていると、初老の執事さんが可愛いイルカがデザインされた浮き輪を持ってきてくれた。


 俺は泳げるから別に浮き輪はいらないんだけど……あ、日和のかな?


「よし、体操終わりっと」

「じゃあいこっ」


 浮き輪を持った日和に手を引っ張られた俺は、一緒にプールにゆっくりと入る。入った感じ、少し水温が高めなのか、使ってるだけで気持ちが良い。


 あと、思った以上に深さがあるのにはちょっと驚いた。小柄な日和だと、首まで余裕で浸かってしまうくらいだろう。


「とりあえず山吹さんと合流しようか」

「うん。よいしょっ……よいしょっ……」


 浮き輪に捕まってプカプカと浮く日和は、少し先にいる山吹さんの所に頑張っていこうとバタ足をしているが、ほとんど前に進んでいない。


 ……なんだろう、この保護欲をくすぐられるっていうか……守ってあげたいって気持ちがメチャクチャ湧いてくる。あと可愛い。


「俺が引っ張るから、しっかり捕まってな」

「ありがとう、ヒデくん」


 浮き輪を引っ張りながら山吹さんの所に行くと、先程プールに投げ込まれた猿石君が目を回しながら、仰向けで浮いていた。


 んー……いくら自業自得とはいえ、このまま起こさないでおいたら流石に可哀想だよな……よし、さくっと起こしてあげるとしよう。


「大変だ猿石君、あそこで山吹さんの水着が流されて胸が丸見えに!」

「え、ちょっと!?」

「なんやてぇぇぇぇ!!」


 伸びていたはずの猿石君は、とんでもない勢いと声量で起き上がると、山吹さんの事をじっと見つめる。


 だけど、当然山吹さんの水着は流されていない。それがわかったのか、猿石君はジト目で俺の事を睨みつけてきた。


「…………流されてないやん」

「そりゃそうだろ。そもそも山吹さんはワンピースタイプの水着なんだから、流れようがないだろ」

「おのれ桐生英雄! ワイを騙したな!!」

「桐生君! ウチをダシに使わないでよ!」

「いつもふんすふんすされてる仕返しさ」

「ふんすふんすってなに!?」


 俺と日和がちょっと仲良くしてると、すぐにふんすふんす言いながら迫ってくる山吹さんに仕返しできて満足って思ったのに、まさか自分でふんすふんすって言ってる自覚ゼロなのは想定外だった。


「む~……なんか悔しい! あっ……そうだ。日和ちゃん!」

「なに?」

「ごにょごにょ……」


 山吹さんはいたずらっ子の様に怪しく笑いながら、日和に何か耳打ちをする。


 なんだろう……凄く嫌な予感がする……俺のこういう勘って結構当たるんだよな。


「どう、やってくれる?」

「それくらいなら」

「やったね! という事で……二人にお話がありま~す! 二人に泳ぎで競争をしてもらいます! 勝った方には、日和ちゃんからすっごいご褒美があります!」

ここまで読んでいただきありがとうございました。次のお話は火曜日の朝に投稿予定です。


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