第55話 守ってくれたお礼
「ひ、日和!?」
ウソだろ、カーテンの向こうに日和がいるっていうのか!? しかも入るって……!?
俺が咄嗟に持ってきていたタオルを腰に巻くと同時に、シャッという音と共にカーテンが開けられた。そこには、以前見た事があるバスタオル一枚の日和が立っていた。
「な、ななな……なんで日和が!?」
「ヒデくんがトイレに行った時に、寝室に隠れてた」
俺は日和に背を向け、強く目を瞑りながら聞くと、いつも通りの調子の日和が答えた。
あ、あの時に寝室にいたのか……そうじゃなきゃ、俺が風呂に入ったタイミングなんてわかるわけないよな。
「ていうか、なんで日和がここに来た!?」
「さっき言った通り、腕が痛いヒデくんのお手伝いがしたい。あと……守ってくれたお礼っていうのもある」
俺の事を想って行動してくれるのも、お礼をしたいって気持ちも嬉しいけど、それならもっと他の事でして欲しかったぞ!
「や、やっぱりマズいって。日和もそんな姿を見られたら恥ずかしいだろ?」
「……どうして? バスタオルを巻いてるから見えない」
「なんか前も聞いたなそれ! ていうか、もし俺の反応が遅れてたら……普通に俺のが見えてたぞ!」
「……あ! 確かに……!」
ホントにギリギリ間に合ってよかった! そうじゃなきゃ、日和にとんでもないくらい恥ずかしい思いをさせてしまうところだった!
いやまあ……最初から風呂に入ってこないでほしいんだけどさ! イヤってわけじゃないぞ! むしろ嬉しいけど!
「で、でも……ヒデくんだったら大丈夫」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど……」
「むぅ……いいから私に任せて」
そう言いながら、日和は強引に俺の身体をシャワーのある方に回転させてから、少しだけ後ろに下げた。
マジで何なんだこの状況……ドキドキするなって方が無理がある!
「頭を洗うから、少しお辞儀して」
「お、おう……」
日和に言われるがままに頭を少し下げると、勢いがあまり強くないシャワーが頭にあたり始めた。
「熱くない?」
「だ、大丈夫……」
そう言いながら、日和は俺の頭を優しく洗い始める。
あっ……やべえ……想像の何十倍も気持ちいい……頭を洗ってもらうのなんて、子供の頃に母さんと風呂に入ってた時以来だと思うんだけど……これは癖になってもおかしくないくらいの気持ちよさだ。
「かゆい所は無い?」
「ない……」
「わかった」
「あー……気持ちいい……」
「えへへ、よかった」
「……っ!!?!?!」
気持ち良すぎて気が緩んでしまった俺は、無意識に目をうっすらと開けてしまった。そんな俺の目に飛び込んできたのは……バスタオルを思い切り押し上げた、日和の大きな胸。
こ、ここ、こんなに日和の胸が近くにある!! 頭をちょっと動かせば普通に埋もれられるくらいだぞ!? いくらバスタオルで隠れてるとはいえ、破壊力が凄まじすぎる!!
「ひ、ヒデくん?」
「だ、だだ、大丈夫!!」
すぐに正気に戻った俺は、再び目が潰れるんじゃないかって思うくらい強く瞑る。
元々日和の胸は大きいってわかってた。それに、バスタオル姿を見たのも今回で二回目……とはいえ、こんな至近距離で見た事は無いせいか、俺の中の煩悩が一気に溢れそうになっていた。
俺の目の前には、大好きな日和の大きい胸が……ちょっとだけ動けば……って! 鎮まれ俺の煩悩……! 日和は好意で俺の事を手伝ってくれてるんだ……! そんな日和を変な目で見るのなんて……!
「ヒデくん、洗い終わったよ」
「お、おお! ありがとな!」
悶々としている間に頭を洗い終わったようで、日和は俺の頭を優しく撫でながら言う。
あーよかった……なんとか耐えきったぞ……お疲れ様、俺。
「あっ……」
「ど、どうかしたか?」
「ヒデくん、頭を洗った後って髪をそうするんだね」
髪……? 洗い終わったから、いつも通りにオールバックみたいな感じにして水気を切ってるだけなんだけどな。そんなに珍しいものではないと思う。
「オールバックのヒデくん、カッコいい」
「っ……あ、ありがとう」
「えへへ。じゃあ次は身体を洗うね」
「い、いや! 身体くらい自分で洗えるって!」
「ダメ」
くそっ! こんな時に頑固な日和を出さないでくれ!
「さっきから気になってたんだけど……ヒデくん、なんで目を瞑ってるの?」
「だ、だって日和の裸を見るわけにはいかないだろ!」
「さっきも言ったけど、バスタオルを巻いてるから見えないよ」
「そういう問題じゃないから!」
「……? 変なヒデくん……」
いやいや、普通は裸もバスタオル一枚も恥ずかしいものじゃないのか!? もしかして俺の考え方が変? それとも日和の恥ずかしいポイントがずれてるだけなのか!?
「はい、ゆっくり右腕を前に出して」
「あ、ああ」
日和の指示通りに右腕をゆっくりと前に出しながら、少しだけ上にあげると、ボディタオルで腕を擦られる感覚を感じた。
何ていうか、洗い方に性格が出てるっていうか……凄い優しい洗い方だな。いつもゴリゴリと洗う俺とは凄い差だ。
「ちょっとだけ腕を動かすね。痛かったら言ってね」
「わかった」
――ふにょん。
「きゃっ!」
「…………?」
え、今……手の甲にめちゃくちゃ柔らかい物が当たったような気がしたんだが……ま、まさか日和の……!? ま、まさかーそんな事無いよなー! ハハハ!
「ひ、ヒデくん……今の気づいた?」
「気づいてない! 全然! 全く!」
「あうぅぅ……」
こ、この反応……やっぱり今のは……! マズイ、俺だって健全な思春期男子だ……流石にここまでされると我慢の限界が来るぞ!
「つ、続き洗うね!」
「お、おう……!」
日和は言葉通りに右腕から肩、首、胸と順番に優しく洗ってくれた。一方の俺は洗ってもらう気持ちよさを感じる余裕は一切無く、必死に外に出ようとする煩悩を抑え込んでいた。
「じゃあ背中を洗うから、背中向けて」
「…………」
「ヒデくん?」
「あ、ああ! 頼む!」
危ない危ない……声をかけられているのに全く気が付かなかった。
「ヒデくん、背中大きいね」
「そ、そうか?」
背中を擦られる感触を感じたと思った矢先、急に背中にめちゃくちゃ柔らかい感触を感じた。しかも腹には日和の手が回されている。
こ、これって……もしかしなくても、日和に背中から抱きつかれてるのか!?
「ひ、日和!?」
「あっ……ご、ごめんなさい……大きくてカッコイイからつい……」
「~~~~っ!! 日和!!」
「んむっ!? はむ……ちゅっ……」
ついに我慢の限界になった俺は、日和の方を向いて勢いよく唇を奪い、口の中に舌をねじ込んだ。
小さいユニットバスのせいか、いつも以上にキスの音が辺りに反響し、それが俺の理性を更に奪っていく。
「くちゅ……あ、ん……ヒデくん……」
「ひよ、り……」
「んっ……ちゅっ……じゅる……はぁん……はむっ……んうっ……」
一旦顔を離すが、日和は俺を逃がさないように、首に手を回して俺に抱きつきながら、もう一度唇を重ねてきた。
唇の柔らかさと舌を絡ませる感触が気持ち良すぎて、もう何がなんだかわからなくなった……頭がボーっとする……もっと……もっと日和が欲しい……。
「んちゅっ……んんっ……ぷはっ……」
「日和……」
トロトロな表情になった日和の肩に手を乗せて少しだけ身体を離すと、そのまま俺は右手を下へ——
ここまで読んでいただきありがとうございました。次のお話は火曜日の朝に投稿予定です。
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