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第49話 隠し撮りされた写真

 週明けの月曜日、今日も雨が降る中、俺は日和と一緒に登校していた。隣を歩く日和の表情は、どこか浮かない感じがする。


 それもそうだよな……俺も経験があるからよくわかる。今日は何をされるのか、どんなイヤな思いをさせられるか……そんな事を考えちゃうんだよな。


 わかってるからこそ、俺が日和を支えてあげないといけない。


「あ、おはよう桐生君、日和ちゃん」

「おはよう山吹さん」

「おはよう」


 学校へ向かう途中、山吹さんとばったり出くわした。すると、山吹さんは日和の前に移動すると、ジッと顔を見つめ始める。


「あ、綾香ちゃん……? どうしたの?」

「ちょっと目の下にクマがある。もしかして、昨日寝れなかった?」

「……うん」

「やっぱり! 女の子がそんなクマがあるとかダメ! 可愛い顔が台無しだって! ウチはそんなの許しません! 桐生君! ちょっと日和ちゃん借りるよ!」


 そう言うと、山吹さんは日和を自分の傘に入れてずんずんと歩き出す。向かった先は、近くにあった公園の公衆トイレだった。


 急になんでこんな所に? もしかして、めちゃくちゃトイレを我慢してたけど、誰かと一緒じゃないと外のトイレを使えないとか? そんな訳ないよな。


 とりあえず、トイレの前で待ってるか……。


「はい! じっとしてて!」

「綾香ちゃん、なんかくすぐったい」

「ガマンガマン! 桐生君にクマのある顔よりも、可愛い顔を見せてあげたいでしょ!」

「が、頑張る」


 ……中で何が行われているんだろうか? もしかして、山吹さんが日和に何か変な事をしているとか……流石にそれは無いか。もし何かされてたら、多分大声を出すだろうし。


 まあ……時間がかかるようだったら突入しよう。誰かに見られたら怒られるだろうけど、日和が傷つくよりは何億倍もマシだ。


「おまたせ!」

「おかえり。って……え?」


 トイレから出てきた日和の姿に、俺は思わず言葉を失った。


 なんていうか……いつもよりめちゃくちゃ可愛く見える。目の下のクマも無くなってるどころか、肌がより綺麗に見えるし、唇はいつもよりプルプルしてるし……。


「…………」

「ヒデくん……?」

「………………あ、すまん。可愛すぎて見惚れてた……」

「……あ、あうぅ……恥ずかしい」


 マズい、俺の語彙力が無さ過ぎて、日和の可愛さをどう言葉で表現すればいいかわからないくらい可愛い。


「クマを消すついでっていうのもアレだけど……メイクしてみたんだ! 日和ちゃん、元が可愛いからナチュラルメイクにしてみたんだけど……もうお人形さんみたいだよね!」

「そ、そんな事無いよ……」

「山吹さんの言う通りだ。芸能人とかアイドルなんか、足元にも及ばないくらいの可愛さだ」

「だよねー! さすが桐生君わかってる!」

「あぅぅぅぅ……」


 俺と山吹さんに褒められて恥ずかしいのか、日和は顔を赤くして俯いてしまった。


 ホントいくら言っても足りないくらい可愛い……ここが外で良かった。家の中だったらどうなってた事やら……。


「結構簡単にできるから、今度やり方を教えてあげるね」

「うん、ありがとう」

「これで桐生君を更にメロメロにしちゃおう!」

「メロメロ……うんっ」

「それじゃいこっか!」


 日和にメイクをして満足したのか、山吹さんは学校に向かって歩き出していく。それに続くように、俺も日和を同じ傘に入れて歩き出す――前に、少しだけ屈んで日和の唇を奪った。


「んうっ……!? えっ……ヒデくん?」

「ごめん、可愛すぎて我慢できなかった」

「そ、そうなんだ……はうぅ」

「や、山吹さんが待ちくたびれる前に行こう」

「うん」


 完全に不意打ちのキスだったせいか、日和は顔を真っ赤にしながらも俺の傘の下に入る。


 ……既にこんなにメロメロになっているのに、これ以上メロメロにされてしまったら、俺はどうなってしまうのだろうか?


 少し怖くなりながらも、俺は日和と一緒に、改めて学校へ向けて歩き出すのだった――



 ****



「さて……日和はここで待ってろ。山吹さん、日和を頼む」


 昇降口に着いた俺は、日和を山吹さんに任せてから日和の下駄箱を開けてみる。もしかしたらまた嫌がらせをされていて、何か変なものでも入ってる可能性があるからな。


 そんな予想なんて外れる方が良いんだが――見事に予想は的中した。下駄箱の中には、日和の上履きと一緒に、ティッシュや紙パック、ビニール袋といった、いろんなゴミが詰め込まれていた。


「ふざけた事を……!」


 俺は溢れ出る怒りを抑えながら、ゴミの中に混じっていたビニール袋の中にゴミを全部ぶち込んでから、日和の上履きを取り出す。


 うん、とりあえず汚れてはいなさそうだな……中に画びょうも入っていない。


 どうやら今回の嫌がらせは、適当にゴミ箱に入っていたゴミを、下駄箱の中に入れただけのようだ。


 この前もそうだけど、やる事が低レベルっていうか……いや、陰湿って言った方が良いか?


 俺の時もこういうのはあったけど、大体が俺を殴ったり金と奪ったりと、直接的ないじめだったからな……。


「はい、上履き」

「……ありがとう」

「あ、それと……靴は俺が預かっておくよ。普段教科書とか入れてある、鍵付きのロッカーにしまっておくから」

「え……それだとヒデくんのロッカーが汚れちゃう」

「気にすんな。こんなくだらない嫌がらせのせいで、日和の靴が汚れる方が問題だ。そうだ、上履きも鍵付きロッカーに入れておいた方が良いか……?」


 向こうが何をしてくるかとか、誰がしてくるかとかわからないし、こっちが出来る事で対策をしないといけないからな……。


「ホントにむかつく! なんで日和ちゃんにこんな嫌がらせするんだろ!? 何も悪い事してないよね!」

「まあな……今はとにかく情報を集めないと、どうしようもないな」


 まるで自分の事の様に怒る山吹さんに、心の中で感謝をしながら教室に向かう。


 さて今日は落書きは……無いみたいだな。でも俺の経験上、外見上に問題が無くても、机の中に何かがあるというのが定石だ。


「日和、ちょっと入口で山吹さんと一緒に待っててくれないか」

「うん、わかった」


 俺は日和の机の中に手を突っ込むと、一枚の紙のようなものが手に当たる。何かのプリントにしては、やたりと小ぶりだけど……なんだこれ?


「……うわっ」


 紙を取り出してみると、それはどう見ても隠し撮りしたと思われる、俺と日和の写真だった。


 しかも、日和の顔が黒く塗りつぶされていて、周りには机の落書きと同じような、幼稚な悪口が殴り書きされている。


「くそが……!」


 俺はこんな事をする奴への怒りせいで、写真を握りつぶしてしまった。


 一体誰がこんな事をしているんだ……クラスの誰かが? それとも別のクラスの奴らか? もしかしたら上級生の誰かがやってるかもしれない。


 ダメだ、どいつもこいつも怪しく思えてきた。でも、今はこの怒りに身を任せている場合じゃないよな……あくまで冷静にならなくちゃな。


 ……よし、今日の放課後にみんなを家に呼んで、これからの事を相談しよう。


 見てろよ犯人め! 絶対に見つけてやるからな……覚悟しておけよ!

ここまで読んでいただきありがとうございました。次のお話は火曜日の朝に投稿予定です。


少しでも面白い!と思っていただけましたら、モチベーションに繋がりますので、ぜひ評価、ブクマ、レビューよろしくお願いします。


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