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第20話 鬼塚美織の策略

 ヒーロー君が例の女、そして他二名とお昼を食べているのを目撃した日の夜、私は自分の部屋にあるベッドに横になって雑誌を読んでいると、スマホがピロピロと音を鳴らし始めた。


 相手は……黒鉄? 電話してくるなんて珍しいわね。そういえば、昨日も今日も見かけなかったけれど、サボってたのかしら?


 正直あいつがサボろうがどうしようが私には関係ないけど、ヒーロー君をいじめる仲間を見つけるまでは、ちゃんと来て欲しいのよね。


「もしもし」

『美織か? ちょっとお前に話があってな』


 ……何故か嫌な予感がする。聞きたくないけど、変な事を言ってヘソを曲げられたら困るし、適当に話を合わせてあげましょう。


 もし付き合えとか言い出したら即断るけど。私の一番はヒーロー君だからね。


「話って?」

『それがよ、ヒーローとの一件があった日の帰り道、イライラしてゲーセンで喧嘩したら停学くらってな』


 は……? 停学? だから昨日と今日学校にいなかったって事? 随分イライラしてるとは思ったけど……何やってるのよこの馬鹿は。


『美織に伝えるのすっかり忘れててよ。何日か俺がいなくて寂しいと思うけど我慢しろ』

「なにやってるのよ馬鹿じゃないの? ていうか、あんなに痛がってたのにゲーセンに行く元気あったのね」


 そんな元気があるなら、もっとヒーロー君を痛めつけて欲しかったんだけどね。ホント扱いにくい男だわ。


 あと、別に黒鉄がいなくても寂しいわけないでしょ。むしろヒーロー君をいじめさせる仲間が他に見つかれば、速攻で縁を切ってやりたいくらいよ。


『うっせーな。帰り道で痛みは引いたし、イライラしてたからストレス発散しに行ったんだよ! そうしたら俺の事をジロジロ見てる奴らがいたから、ムカついてボコそうとしたら、店員に通報されたんだよ!』


 電話の向こうから聞こえてくる黒鉄の怒声がうるさすぎて、私は思わずスマホを耳から遠ざけた。


 普通に考えてそんな事をしたら通報されるでしょ……今まではイライラしたらヒーロー君をいじめさせてストレス発散させることで、あの馬鹿をコントロールしていたけど、今回は上手くいかなかったから暴れたって事ね。


 勉強はそれなりに出来るくせに、馬鹿過ぎて呆れるわ。知力が高いイコール頭が良いとは言えない実例ね。


「まあこれに懲りて少しは大人しくする事ね。もしまた問題を起こしたら、今度は退学になるわよ。そうなったら、私と一緒にいられなくなるし、ヒーロー君をいじめるという娯楽が無くなるわ。それでもいいならお好きに暴れてきなさい」

『うぐっ……わかった』


 あら、随分と聞き分けがいいわね。そんなに私と離れるのが嫌なのかしら。それともヒーロー君をボコボコに出来なくなるのが嫌とか。


 私としては後者の方を強く望みたいわね。前者の考えだったら気持ち悪くて寝込んでしまうかもしれない。


「まあ終わった事をとやかく言っても仕方ないわ。もう一度言っておくけど、変に騒ぎを起こさないように、家で大人しくしてるのよ」

『お、おお……美織、そこまで俺の心配をするなんて、さすが俺の女だぜ』

「冗談はその顔と汚い見た目だけにして頂戴。それじゃ私忙しいから」


 黒金の盛大な勘違いに嫌悪感を覚えながらも、なんとかスマホを操作して通話を終了させた。


 あそこまで勘違いというか、思い込みができるのってある意味才能よね……確かに付き合い自体は小学校の頃からあるけど、別に好きとか言った事はないし、素振りも見せた事もないんだけれど……。


「それにしても、どうしたものかしら」


 はぁ、と溜息を漏らしながら呟く。


 ヒーロー君を支えてると思われる女と、友人と思われる二人の登場に加えて、黒鉄の身勝手な行動による停学……私が思ってる以上に面倒な状況になってきてる気がするわ。


 だからといって、ヒーロー君を痛めつけるのを止めようとは思わない。彼は私の全て……絶対に諦めてたまるものですか。必ず大好きなヒーロー君を絶望に叩き落としてやるわ。 


 そのためには、現状ヒーロー君を痛めつけるという同じ目的を持つ黒鉄を大事にしないといけないのだけれど、ストレスに身を任せて勝手に動くあいつは、役に立たないどころか、邪魔になる可能性が高い。


「さっさと縁を切ったほうがいいかしら」


 でも普通に距離を置いたら、いちいち突っかかってきそう。それは流石に面倒ね……それなら、本格的に学校から排除するしかないわね。


 正直、私が何かしなくても黒鉄は勝手に問題を起こして学校から消えそうな気はするけど……せっかくなんだから、最後までヒーロー君を追い詰める駒になってもらわないと損というもの。


 そうと決まれば、良い案は何かないかしら……うーん、ヒーロー君を苦しめるのには、彼女に何かするのが手っ取り早いのよね……。


「そういえばあの馬鹿、彼女の容姿を気に入ってたわね。何かに使えないかしら……あら?」


 頬に手を当てながら考えていると、机に出しておいた、一枚のプリントが目に入った。確か……林間学校のプリントだったわね。


 林間学校……そういえばスケジュールの中に……ふふっ、良いこと思いついちゃった。これがうまくいけば彼女の心に深い傷を残せるし、黒鉄を排除するのも可能ね。失敗したとしても、排除自体はおそらくできるでしょう。


 案が浮かんだのは良いけど、どうやってそれを黒鉄に納得させて、実行に移させるかが問題……って思ったけど、あいつは馬鹿だから、適当に言いくるめればなんとかなりそう。こういう時だけは、あいつが馬鹿なのに感謝しないとね。


「ふふっ……婚約者でもある彼女が傷ついたら、ヒーロー君はどんな顔をするかしら……考えただけでゾクゾクするわ……!」


 ああ今から楽しみだわ……早く林間学校の日が来ないかしら……ふふっ……ふふふふっ……。

ここまで読んでいただきありがとうございました。次のお話は火曜日の朝に投稿予定です。


少しでも面白い!と思っていただけましたら、ぜひ評価、ブクマ、レビューよろしくお願いします。


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