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彼女に好きな人が出来たからと別れたが、どうやらその好きな人は俺の事らしい?  作者: nayaminotake
想いを募らし抑えた想いを解放する者

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第22話 一人きりの帰り道 信一Side


♠信一side



今日も無事授業が終わり、何時もの様に俺の回りにはクラスメートが集まり他愛も無い話で盛り上がる


(何時もなら愛が迎えに来る時間だが・・・流石に来ないよな)


「あ、わりぃ俺用事思い出した、先帰るな」


そう言うと「お疲れー」「またなー」の声に手を上げて答えると教室の入り口でいつも愛が来た事を伝えてくれる女子生徒が俺の方を見て首を傾げる


「あれ?織田君、瀬川さんまだ来てないよ?」


「あぁ――、愛は来れないって聞いてるから気にしないでね、何時もありがとね」


そう笑顔で答えると、女子生徒は顔を赤くしてコクコクと頷いていた一緒に話をしていた友人らしき子に何度も肩を揺すられていた


久しぶりの一人での下校


「あ、あれ?今日は織田君一人?」「瀬川さんお休みなのかな?」「喧嘩したとか?w」


今日は挨拶してくれる人よりも一人で居る俺を見てコソコソと憶測で陰口を言う人が多かった


(なんなんだ?一人で帰るくらいで皆コソコソと・・感じ悪いな・・)


下駄箱で上履きからスニーカーに履き替えてると背後に気配を感じ振り返る


「なんだ?愛も今から帰・・・あ、ごめん・・勘違いで・・石川さんは今から部活?」


背後に立って居たのはテニスウェアに身を包んだ、銀髪で青い瞳がとても綺麗な愛の親友の石川 安祐美さんだった


「信一君は、今から帰り?」


「うん、そうだけど・・石川さんは部活頑張ってるね」


「そうなの~、大会も近いし今が頑張り時かな」


心なしか何時も愛の影に隠れて前に出てこない石川さんの距離感が妙に俺に近い気がする、石川さんからの甘い香りと息遣いにドキドキする


「そ、そうなんだぁ・・頑張ってね俺も応援してるよ、それじゃ!」


「あ、ちょっと待って!!」


家に帰ろうと床に置いてたカバンを手に取り肩に担ごうとする手首を石川さんに捕まれる


「え?ど、どうしたの?」


「そ、その・・・信一君・・中学2年の大会の時・・私を助けてくれたじゃない・・そのせいで・・私その時のお詫びが何も出来てなくて・・」


「いやいや、石川さんはその後、何度もお礼もお詫びもしてくれたじゃない、それで良くない?」


「でもっ!そのせいで信一君は・・・・」


俺は石川さんに首を振りそっと掴んでる手を外して石川さんに向き直ると軽く首をふり優しく微笑む


「あれは俺の実力だよ、君のせいではない・・だから、もうこの件で気に病むのはやめて、石川さんの好きな事に全力で向き合ってくれたら良いよ、お詫びと言うならそれが俺へのお詫びかな?」


「信一君・・・・」


石川さんの青い美しい瞳が潤んで俺を見つめる・・・


「うわぁぁぁ」「えっ?」


俺はさっき石川さんの手を外す為に握った手が、そのままになっていてずっと手を繋いだ状態だった事に気付いて慌てて手を離す


「ご、ごめん、これはつい・・・そ、それじゃテニスの練習頑張って!!」


そう言うと駆け足で校舎から走り去った


『好きな事に全力で向き合ってくれたら良いよ、お詫びと言うならそれが俺へのお詫びかな』


「ふふ、私、信一君の言う通りこれからは好きな人に全力でアピールしていくから、愛の事を私が忘れさせて私だけの信一君にして見せるから・・・まっててね♡」


一人きりの帰り道、何時もは通らない古びた商店街に寄り道して少し遠回りしながら帰っていると、ふと目に入った古本屋の前で立ち止まる


(少し本でも見て行こうかな・・・)


昔、商店街には何度か来た事が有るが、駅前に出来た大手のショッピングモールで事足りるので、最近はここには来ることも無い

目の前の古本屋も外見は見知っていたが中に入った事は無く、実は今日が初めての入店だ


店に入ると、古本屋独時の香ばしく焦げた様なクラシックな香りが鼻をくすぐる


店員らしき、お祖母さんは店のカウンターで腰を丸めて目を瞑ってる


(寝てるのか?不用心だなぁ・・・・)そんな事を思いながらも極力音を出さな様に店の本を物色する


そして画集のコーナーで中世ヨーロッパの古城特集というタイトルに目が行き手を伸ばすと


「あっっ」「きゃっ」


「あ、すいません、どうぞ・・」


「いえ、此方こそ横から割り込んでしま・・・て、信一君?」


「美空先輩?・・・御無沙汰してます・・」


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