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ダンジョン協会をクビになってものすごいレベルが上がったけどヒーローにはなりたくないのでなんとかしたいと思います  作者: ほすてふ


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009.ガチャ

本日は2話投稿しています。

「あれー? 先輩。換金していかないんですか?」

「ああ。神社に行こうと思って」


 ダンジョンから出て、ロッカールームで着替えてからダンジョン協会の受付前を通りかかると、ミイナが声をかけてくる。

 若干大根だが、まあ許容範囲だろう。

 リュウイチは、人目があるこの場所で少しミイナと話をする。


「ガチャに手を出すんです?」

「偶にはそういうのもいいだろ?」


 安定志向のミイナとしては、ガチャ依存はよろしくないという意見であり、リュウイチもそれは同意である。

 排出率不明、排出内容も不明、ハズレも多い。そんな餓鬼玉ガチャ。

 ただし、絶対的にマイナスになるものは今まで確認されておらず、金でスキルを得られるのであれば、と挑戦する者は後を絶たない。


「ちゃんと働かないとだめですよ?」

「わかってるって。ははは」


 今のはちょっとさわやかすぎたかもしれないな、とリュウイチは思った。自分のキャラではない。

 一方ミイナはこの人演技下手だなあと思っていた。


 少々の間歓談して、昼食の約束をしてから近所の神社へ向かう。

 疫病除けで有名な神社はこの国の神話でも特に有名な神様を祭っている。

 祟り神の側面もあるのでしっかり祈っておく。ごめんなさい許してください。賽銭一万円入れますから。


 そして先ほど拾ってきた大きな餓鬼玉と餓鬼玉2つを供えてガチャを引く。

 餓鬼玉はすうっと何もなかったように消えていき、後には何も残らなかった。

 スキルを得た感覚もない。

 ハズレである。


 しかしリュウイチはまったく気にした様子もなく、適当に時間を潰して昼休みを見計らってミイナと合流した。




「ガチャどうでした?」

「残念ながら外れだったわ」


 ダンジョン協会の社食は部外者も入ることができる。

 ほとんどダンジョン付属の食堂といってもいい。

 とはいえ、味はまあまあ、社食として補助が出なければ若干割高な値段設定なので基本的にはダンジョン協会の職員が利用する。他にはよそに出向くのが面倒な探索者や仕事でダンジョン協会を訪れた人くらいであろうか。


 そんな中で、ガチャの話をしている。

 当然だが、社食に出入りしているのはほとんどが知った顔である。

 リュウイチを見かけて話しかけてくるものも多く、退職の理由を聞いてくる者もいた。

 それについてはごまかし濁し、餓鬼玉ガチャの話を織り交ぜる。

 仕事柄、皆それぞれに餓鬼玉ガチャについて耳にしたエピソードをストックしており、結構盛り上がった。

 あの探索者が大爆死しただとか。

 その探索者がスキルを引き当てたらしいとか。

 集めるなら依頼を出して買取するのが無難だよなとか。


 退職したリュウイチが、ガチャを試している。

 という事実が元同僚たちが知ることになった。


 ついでに、退職してもミイナと並んで飯を食う仲だということも。


「このあとどうするんです?」

「もうちょっと餓鬼を狩ってくるかな」

「もう、ほどほどにしてくださいよ?」


 昼休みが終わると、元同僚たちは仕事に、リュウイチは再び着替えてダンジョンへ向かう。

 ダンジョンに入るとすぐにクラスチェンジ。

 クラスチェンジ先は、


「サポーター、っと」


 リュウイチはサポーターレベル1になった。

 かつてレベル4016だったとは思えない頼りないレベルである。

 そしてステータスも、盗賊にクラスチェンジした直後と比べると半分ほどしかなかった。


 仮説がより確かになったことはもう関係ない。さようならチートステータス。いつか誰かが役立ててくれるだろう。それはきっと俺ではない、と考えながら、リュウイチは歩を進める。

 5階ボスへの階段までにレベル9になるように餓鬼を倒しておきたいが、それは1階である必要はない。

 どんどん進んでスキルポイントをため、大餓鬼を倒す。

 スキルポイントを使い切っておく。端数を何に使うかで悩む。


 ■新しく取得したスキル:サポーター

 『サポータースキル強化55→59』

 『健康5→10』

 『睡眠4→7』



 そしてまた着替えてダンジョン協会受付で職員と話をしてから神社へ向かう。

 はずれ。

 三度ダンジョンへ。向かう途中で職員と話をすることを忘れない。


 ダンジョンに入って大餓鬼を倒すまでにざっくり2時間かかる。

 実はもっと早くできる。ほとんどは移動時間なので。

 だが、非常識な速さは、まだ表に出さないようにしていた。

 姑息であるが、今は姑息で十分だった。


 今回は『魔法使い』にクラスチェンジした。

 なんだろうと1層の餓鬼相手ならダメージは受けないし、スキルによる追加ダメージだけで倒しきれる。

 やりたい放題だな、とリュウイチは自分でも思うが、必要なことだった。


 餓鬼玉を集めてガチャをする。そうしていることを見せる。

 だが、それだけではもったいないので並行してできる作業を一緒にやるのだ。

 6階以降で姿を見られてはいけない。

 5階まで、レベルも10まで。


 3度目の大餓鬼は、レアアイテムを落とした。

 これはかなり運がいいといえる。

 『腐った匂いの毒ガスを纏う大きな餓鬼』がレアアイテムを落とすのは1~3%程度だといわれているのだ。

 『毒除けのお守り』という、毒になりにくくなる装備品である。

 なりにくくなるだけで、完全無効というわけではないので過信はできないが、あったら毒消し系アイテムの節約になると『疫病のダンジョン』ではそれなりに有用である。

 とはいえ、リュウイチ自身では使いどころがない。

 ストックしておけば、この『疫病のダンジョン』で活動するならどこかで使いどころもあるだろう。


 リュウイチは魔法使いのスキルを取得してから脱出した。



 ■新しく取得したスキル:魔法使い

 『魔力感知10』

 『魔力隠蔽10』

 『ファイアボール5』

 『ファイアシールド10』

 『ディスペルマジック10』

 『テレキネシス10』

 『レビテーション5』

 『マジックミサイル3』

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― 新着の感想 ―
[一言] いくら魔法系スキルレベルが高くても、本体レベルが低いままだとMP不足でつかえなかったりしませんか?物理職の高レベル戦闘特技を無理に使おうとすれば体がついていかずに骨折したり腱が断裂したり。
[良い点] ジョブチェンジしたら魔法覚えられるんですね、4000レベ以上ファイアボール強そう(^∇^)ノ♪
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