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ダンジョン協会をクビになってものすごいレベルが上がったけどヒーローにはなりたくないのでなんとかしたいと思います  作者: ほすてふ


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008.ボス

 5階のボスへの扉。

 土がむき出しの洞窟スタイルである疫病のダンジョンの扉は、傷んだ木製の戸板のように見えるが両開きの扉であることはよそのダンジョンと同様だ。

 見た目に反してやたら頑丈なことも。


 ダンジョンに入って、この扉を開けるとボスが出現する。

 その条件はパーティごとに適用されるので、ボスが一日に何度も倒されることもあるし、一度に複数のパーティがボスを討伐しようとした場合、順番待ちが発生することもある。


 さて。

 さすがに単独でボスを倒したことはないので、リュウイチは少し緊張していた。


「よし、いくか」


 リュウイチはつばを飲み込み扉にてをかけて。


 ガスマスクをつけ忘れていることを思い出して慌てて秘密のポケットから装着する。

「直接装備できるのか」


 思わずやってしまったが、新しい仕様を発見できた。

 少し気分が軽くなったリュウイチは、思い切って扉を押し開けた。



 ボス部屋も、コンセプトはこれまでの洞窟とさして変わらない。

 土がむき出しの壁。

 光源が見当たらないのに夕暮れ程度の明るさがある。

 そこは広い部屋だった。学校の教室よりは大きい。バスケコートを2面取れる体育館ほどではない。

 ところどころに枯れた木が生えており、10から20センチほどの枯れた下草が足元に。

 入り口の扉からみて正面にも扉がみえる。そしてその扉を守るように、餓鬼が地面から生えるように現れた。その数20ほど。


「大餓鬼」


 現れた餓鬼のうち一体だけサイズが違う。子どもサイズの餓鬼に対して、大柄な成人男性程度の大きさだ。

 そしてもう少し違うところがある。

 腐臭を伴うガスを排出するのだ。そしてそれを吸うと『毒』の状態異常を受ける。


 リュウイチは駆け出した。

 ここのボスはこの『腐った匂いの毒ガスを纏う大きな餓鬼』である。

 こいつを倒せばほかの餓鬼は消滅する。

 逆にほかの餓鬼を倒しても新たに地面から生えてくるだけだ。

 さらには経験値にもならない。ただのお邪魔ギミック。


「うおおおおおお!」


 雄たけびが漏れる。

 恐怖は感じない。それは『パーティ恐怖耐性10』と『サポータースキル強化55』の効果でもあった。


 リュウイチの突撃を妨げようと、餓鬼たちがとびかかってくる。

 リュウイチはこれに対し、走りながら戦鎚を横なぎに振り回して対抗する。

 位置エネルギーを伴わない雑な振り回し。

 しかし、これに接触した餓鬼たちは消し飛んだ。

 続いて左手の盾を振り回す。右、左のワンツーアタックだ。

 これに当たった餓鬼たちも消し飛んだ。


 そしてそのまま、雑に餓鬼を薙ぎ散らしながら突撃は続き、ボスの、『腐った匂いの毒ガスを纏う大きな餓鬼』のところまでたどり着く。


「オラァ!」


 戦鎚をボスにたたきつける。

 雑魚とは違って一撃で消滅しない。

 ボスがその手を伸ばしてくる。

 左の盾でぶんなぐって弾く。

 弾かれたのを見たボスは、今度は手を拳に握りしめて殴りかかってきた。


 それからはまるで子ども同士の殴り合いのようだった。

 足を止めて正面からぽかぽかタイム。

 リュウイチには餓鬼たちがまとわりついてくるがそれをものともせず、戦鎚を振るう。

 盾で殴る。

 殴られるがそれも無視して攻撃する。


 均衡はさほど続かなかった。


 時間にして20秒にも満たない殴り合い。

 その末に立っていたのは、リュウイチだった。


 『腐った匂いの毒ガスを纏う大きな餓鬼』は、地に伏し、雑魚の餓鬼たちとともに黒い靄となって消えていった。

 そして残ったのは大きな餓鬼玉。これ一つで餓鬼玉10個分の価値があるといわれている。鑑定というスキルによって暴かれた情報だ。


「これでレベル10か」


 リュウイチは大きな餓鬼玉を拾い、出口の扉へ向かった。





 ネタ晴らしをすると。

 5階までの敵から受けるダメージは、ダンジョン端末の数字にして最大でボスの50程度。

 『パーティ被ダメージ減少10』『サポータースキル強化55』の効果で受けるダメージを65減らせるリュウイチはダメージを受けない。

 さらに言えば攻撃面も同様で、『パーティ与ダメージ増加10』『サポータースキル強化55』の恩恵で火力が十分であることは、餓鬼の消えっぷりが証明している。

 毒の状態異常さえ対処していれば全く危険はないのだ。

 これまでは、切り札である生肉を持ち込んで戦闘開始時に投げることで餓鬼の注意を引き、そのすきにパーティ全員でボスをタコ殴りするという戦い方が確立していたが、もはやそれに頼る必要もなかった。

 コストが減って助かる。





 さて。

 扉の先にはほかの階と同様に階段がある。

 一つ違うのは、5階と6階の間には踊り場があり、そこに帰還の水晶と呼ばれる物体がある部屋があることだ。

 これを使うとダンジョンの入り口に移動できる。『帰還』スキルの限定版のようなものだ。


 リュウイチは、この踊り場でダンジョン端末を操作してスキルを取得し、スキルではなく水晶を使ってダンジョンを脱出した。


 ここまで約2時間。


 お昼にはやや早い時間である。





 ■新しく取得したスキル:盗賊

 『危険感知10』

 『隠密10』

 『急所狙い10』

 『罠探知10』

 『罠解除10』

 『敏捷性増加6』

 『バックスタブ1』

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