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ダンジョン協会をクビになってものすごいレベルが上がったけどヒーローにはなりたくないのでなんとかしたいと思います  作者: ほすてふ


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70/70

070.エピローグ

本日62~70部分を投稿しました。

 全世界に激震が走った。



 ダンジョンの真実についての記者会見が行われた。マスコミだけでなく、主要な動画配信サイトやSNSなどを通じて生配信され、アーカイブでも繰り返し配信された。R社のアカウントだけでなく、政府のアカウントからも配信され、また事前に政府から重要なお知らせがあると通知されていたこともあり、国内外できわめて多くの人間がこれを目にすることになった。


 ダンジョンがチュートリアルであり、100階を超えた先に神々の領域としか思えない世界が広がっていたこと。ダンジョンによってたどり着く領域は違うが、同じものもあるらしいこと。

 神々の領域では、不老不死に近い状態になり、勇者として扱われるが本番のダンジョンに挑み続けることを求められること。

 あくまで疫病のダンジョンの先にある領域でのことであり、他のダンジョンから行きつく先にある領域については不明であること。


 交渉の場については公開されなかった。

 政府の最高機密として扱われることとなった。

 にもかかわらず、R社が襲撃を受けたのは御察しだろう。幸い被害者は出ていない。


 世界中でダンジョンの真実について議論がなされ、嘘だと否定する者も数多く出た。

 しかし、R社による『1か月100階攻略プラン』が発表されたことで風向きが変わる。

 不老不死になってダンジョンに潜りたい人向けとして提供されたこのプラン、報酬は地球上での保有財産すべてという頭がおかしいものだった。

 誰もが鼻で笑い内心様子見するこのプランに有名な人物が名乗りを上げた。

 世界の長者番付に名を連ねていた老人で、財産のほとんどを生前分与してからの参戦だ。

 彼が100階を攻略、一度若返った姿で戻ってきて「マジだったわ。今後はこっちで暮らすから死んだと思って幸せになってくれ」とのメッセージを残して神々の領域に消えた。定期的に親族との面会が行われていることまで公開されていた。


 これはいよいよ事実なのではないか。

 そんな意見が増えてきたころ、新たに別の領域へとつながるダンジョンが攻略され、世界はますます混乱していくのだった。








「マリカちゃん大変ですねー」

「なんか申し訳ないよな」

「あのー、そんなこと言いながら目の前でイチャイチャするのやめてくださいよ」


 リュウイチとミイナは同じソファにぴたりとくっついて。

 マリカはその向かいに一人で座っている。


 リュウイチとミイナの家にお呼ばれしているマリカは、近況報告に適当な返事を返す二人に苦言を呈した。


「普段いつもリュウイチさんと一緒にいるんだから今くらい許してよマリカちゃん」

「私のは仕事ですから! もう」


 ミイナは引退して念願の専業主婦になっていた。

 ただし今はあまり動いてはいない。

 そういう時期なのだ。

 退職は妊娠が理由であり、マリカも心から祝福したものだが、結果仕事が増えるし、自分にしかできないこともあるしで大変だった。

 会社が襲撃されたときなどなんでこんなことになったのかと神様を恨んだ。

 しかし、警備員さんやピーチガールズ、リュウイチなどによってあっさり鎮圧されタナカ氏とその仲間たちに連行されていったのを見て何かを悟った。ような気がした。


 そんなマリカは卒業間近で今のところ順調、卒論はダンジョン論で、忙しい中、今回の件について論文を書きあげた。またR社の社員として、そして疫病のダンジョン担当の人類代表として活動している。

 世界最強の護衛に守られながら。

 R社代表と、R社所属で世界最初の100階突破パーティが、マリカの護衛である。

 ついでに、と言っては失礼だが、R社の従業員には何かあった場合マリカの身柄を最優先で守るという規則が定められていた。正確には代表及び秘書、関係者を、だがこの場合リュウイチたちが目くらまし、実際に守られているのはマリカである。

 すでに上位者と交渉の実績があり、残された家族と会える時間を作るという提案を通してあった。

 国としてもマリカを失うわけにはいかず、R社の警備を様々な手管で固めている。それでぎりぎりまで攻め込まれたのは相手の数とやり口のせいだ。民間に潜伏している大量の工作員を総動員されるとは思っていなかったらしい。

 結果無事ですんだのは僥倖だった。


 ともあれ、マリカは今後もダンジョンにかかわって生きていくことになるだろう。目下の悩みは上司と友人の夫妻がいちゃついているのに自分は独り身であることだ。素敵な相手と出会いたいが、護衛される身分となってしまったせいで出会いが限られ過ぎている。

 なんとか自分も、と悶々とする日々である。


 リュウイチはR社代表として以前よりは忙しくない日々を送っている。

 多くの仕事を部下に任せることに成功し、主な仕事はマリカの護衛であった。

 現在人類最高レベルであることは限られた仲間に知られてしまった。具体的な数字まではまだだが、いろいろとつつかれながらも誤魔化している。

 確保した神の酒によってスキルと合わせておそらく地上の兵器では傷つかないほどの耐久力を得るリュウイチは、壁としては世界一だろう。

 最近は自衛軍式の戦闘技術を教わっている。

 R社代表としても、マリカの護衛としても、悪意にさらされることがあると、本人も国や自衛軍からも判断され、協力体制をとることに成功したのだ。おかげで日々ひいひい言いながら訓練している。


 R社の事業も順調だが、世間が大騒ぎ続きのため、『健康』取得事業は保留が続いている。



 実家と、ミイナの実家にもあいさつに行った。

 どちらもミイナの手で根回しはとうに終わっており、入籍のだいぶ前からまだかなと待っていたらしく。

 リュウイチは妻の恐ろしさを改めて知った。


 しかし、リュウイチの妹との会話の中で、リュウイチがミイナとの初対面のことをミイナの就職当時から覚えていたことが発覚、ミイナが謎の奇声を上げて真っ赤になって丸まったことで引き分けとなった。判定は妹が出した。


「兄の、よろしくね」

「え?」


 という妹とミイナのやり取りを見て友達と義姉妹になるのはどんな気分なのだろう、などとのんきに思っていた。

 ミイナは兄の情報をよこせと要求する妹に戦慄していた。



 リュウイチが当初掲げた目標までは未だ道半ばである。

 しかし、世界が混乱していく中でひとまず幸せと落ち着いた生活を手に入れた。

 なのでここで一区切り。

 つづきはきかいがあったら、ということで、おしまい。

面白かったと思ったら、いいねと評価をお願いします。


 はい。ええここまで読んでいただいてありがとうございます。

 当初10万字30話くらいを想定して書き始めたのですがちょっと長くなりました。

 伏線がまだ残っていますが書きたいところは大体書いたしもう満足したかなという感じです。

 今回想定より伸びて筆者としては少々焦ったのですがどうでしょうか、ご満足いただけていれば幸いです。すでに不満を告げられている方もいらっしゃいまして、ご満足いただけませんでしたら申し訳ありません。

 このお話はやきにくやというスキルを持ったスキルもののハイファンを考えていた時に思い付きで書き始めて3話書いたところで投稿し始めたものです。

 考えていたものと全然違う話が出力されたので自分でも驚きました。

 それ以上にジャンル1位を取らせていただいて恐縮するばかりです。ちょうどおでかけしているときに伸びまして、同行者に不審に思われましたのもいい笑い話です。


 いいね、感想、誤字報告などありがとうございました。とても励みになりました。また今回誤字がいつもより多かったので助かりました。自分で気づいたものでも、頭では「やきぶた」と打っているのに「やぶきた」となっていたみたいなのが頻発したのでそろそろやばいかもしれません。


 今後の予定ですが未定です。以前から応援してくださっている方はうさみかけよとお思いでしょうが頭がうさみになっていないので申し訳ありません。


 それでは暑いですので皆様気を付けてお過ごしください。最後までありがとうございました。


 ほすてふ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くて、3日で一気に読んでしまいました。 ここで終わっちゃうの?!と少し物足りなく感じたので、ぜひ外伝かパート2お願いします笑 「気功使いカリンの憂鬱」みたいな感じで、技の名前はほとんど…
[良い点] 良い感じで余韻がのこる終わり方はいいですね。 [気になる点] 神さま!報酬でリンゴにいい出会いを!(笑)
[一言] チュートリアルと異世界への招聘と答えは古事記に載っていると考えると何度が起きてる歴史なんだろう、何かの理由で表的に葬られて歴史が空想や伝記になってるとかダンジョンではない別の形でのチュートリ…
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