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ダンジョン協会をクビになってものすごいレベルが上がったけどヒーローにはなりたくないのでなんとかしたいと思います  作者: ほすてふ


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066.帰ろう

本日62~70部分を投稿します。

 愛の絆中継で状況を知らされている99階組。


「聞き捨てならない事実が次々と」

「このダンジョンがチュートリアルで、その先にはさらにたくさんのダンジョンが。不老不死に、神々の尖兵化ときたか」

「神かどうかもわからんが、まあ似たようなものか」


 ダンジョンの存在にかかわる超越者の存在が確定となり、さらに見過ごせない情報が積み上げられていく。

 スキルポイントの大量獲得による影響は大きなものでこれからも波及していくだろうが、それに劣らぬ爆弾が、いまこのとき投げ込まれてきている。


「まだ、リュウイチさんが、あるいはわたしが、何らかの干渉を受けて欺瞞情報を受け取っている可能性もあります」

「そりゃあ考えすぎだと思うがね」

「いいえ。戻ってくるまでは」


 ミイナは慎重だった。いっそ病的といってもよいかもしれない。

 今のところ、こちらの都合よく状況が動きすぎている。

 新情報なんてものはおまけで、ミイナにとって大事なのは、皆が、リュウイチが、無事帰ってくることだった。

 なのでリュウイチがその可能性に言及した時、止めたのだ。


『それはリュウイチさん、試すにしてもこちらに戻ってからにすべきです』

『可能な限りそうする』


 可能じゃなくてもそうしてください、とは言えなかった。











 リュウイチたちは、あまり時間がないという仮定の下で、仮称“神々の領域”で動き出した。

 まずはピーチガールズおよびもう一つのパーティとの接触、および復帰だ。

 だまし討ちのような真似をして飲み食いさせる領域の住人からすれば、桃による復帰はその逆を行くこととなる。つまり敵対とみなされる可能性が高い。

 速やかな行動が求められると判断し、手分けすることになった。

 この地の情報を持つモモが指揮して探索者たちを取り戻す行動を開始。

 リュウイチは真っ先に別行動を指示され、資料室とモモが呼ぶ建物へ。


 そこにいたのは。


「こんなところでもデスクワークしてるのか、リンゴ」

「仕事を持ってくる側の人のセリフではないかと。リュウイチさん、お久しぶり、というほどでもないですね」


 リンゴである。

 高床式の建物の中には様々な物品があり、その隅に机と椅子とリンゴが居る。

 宴会の様子からして机と椅子の存在に違和感があるが、みたところ地球から持ち込んだもののようだった。

 リンゴはそこで書き物をしていたらしい。


「皆さんが持って帰る情報をまとめたり、ここのアイテムを調べたりしていました」

「面白いことはわかったか?」

「面白いかはともかく、新しい場所ですからね。新しいことばかりです。例えばこの世界に居ると性欲が極端に薄くなるとか」

「それいま必要?」

「仮説ですが、不老不死に近くなると繁殖の必要がなくなるからではないかなと」

「スルーか」


 いつも以上にマイペースなリンゴだが、感情の浮き沈みはあまりなく平坦な印象を受ける。

 リュウイチはなんだかさみしい気分になったので桃を喰らわせた。


「ん……! 桃ですか。モモだけに?」

「そんなキャラだっけ」

「そんな日もあります。ヨモツヘグイの逆ですか?」

「そう期待して持ってきたんだがモモに試したらよく効いてな」

「やはりモモだけにじゃないですか。いえ、私たちみんな連れて帰ってもらえるんですか?」

「そうだけどそうじゃないけどそうだよ」

「どっちですか」


 モモのように涙を流しながらも、さも別に平気ですけどと言わんばかりのリンゴを見て、リュウイチはリンゴの調子が戻ったことを感じ取った。


 ヨモツヘグイという単語がモモから出てきた時点で予想はしていたが、ピーチガールズはそのような可能性は想定していたらしい。

 だからと言って認識をいじられては対応のしようもなかった。

 100階攻略後迎えてくれる領域の女性たちに魅了され流されるのはリンゴたちも同じだったらしい。性別、嗜好に関係ない干渉だったようだ。

 そして『帰還』を制限された結果、ここのこと、先のことに注意を向けることになった。

 来たばかりの場所、なにをするにも新しい情報となる。

 まずは情報収集だと手分けして行動していたとのこと。


「グリーンアイズの皆さまはさっそくダンジョンに挑戦しているようですが」


 『グリーンアイズ』とはピーチガールズの次に100階を攻略したパーティのことである。

 サイトー達が桃を食わせに向かっているが、遭遇できない可能性もあるなとリュウイチは危惧した。


 悪い想像は当たるもので、リンゴとともに合流に向かったリュウイチたちは、グリーンアイズがダンジョン内に居り、接触に失敗したことを知らされる。



「どうする、このまま脱出するか?」


 領域内、ピーチガールズの拠点として提供された建物に集まった12名。

 サイトーが皆の顔を見回して問う。


 情報はそれなりに手に入り、ピーチガールズが見聞きし、集めたものもある。

 偵察としては十分すぎる成果。

 現状からいつ帰ってくるかわからないもう1つのパーティの奪還まで行おうというのはさすがに高望みしすぎではないか。


 99階組とも相談し、ここはいったん撤退を選ぶことになった。

 グリーンアイズの帰還がいつになるかわからないという点が決め手だった。


 皆で一斉に『帰還』を使用する。

 指定する帰還ポイントはダンジョンの入り口。

 念のため、パーティは3人ずつ入れ替える形で組み替えた。

 ピーチガールズも無事、帰還先として認識できたようなので杞憂だったようだ。


 しかし、別の問題が起きた。


「ここは、どこだ?」


 『帰還』の移動先が、すり替えられていたのである。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりシステム作ってる側は強い
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