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ダンジョン協会をクビになってものすごいレベルが上がったけどヒーローにはなりたくないのでなんとかしたいと思います  作者: ほすてふ


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047.会議3

本日2話投稿しています。これが2話目です。

半分今までのまとめなので2倍投稿しました。


 ・ダンジョン氾濫対策

 ・サポーター育成

 ・他のダンジョンへの派遣

 ・『健康』取得

 ・『疫病のダンジョン』混雑

 ・新人探索者研修マニュアル作成

 ・幹部希望者がこない

 ・新人従業員育成

 ・内勤従事者雇用育成

 ・ダンジョン協会への対応

 ・web対応

 ・自衛軍への対応

 ・国への対応

 ・サポータークラス取得、うち所属でもできるんじゃないか問題




「『健康』取得事業は手を出すかどうか」

「直接受けなくとも、ダンジョン協会から協力を求められると思います。それなら直接受けたほうが利益が大きくなるのでは?」

「できればダンジョン協会とはずぶずぶでいたいんだよな」


 利益を分け合うことで、何かあったとき守ってもらえる。

 重要な業務を請け負うことで見捨てにくくなる。

 致命傷までなら守ってくれる関係になるのが理想だ。


「共倒れになるときはこっちが切り捨てられるけどね」


 世界にとってどちらが重要かということである。

 R・ダンジョン支援合同会社はダンジョン協会の代わりはできないが逆は可能。もちろん無理は出るだろうが。

 成り代わるつもりもない。面倒な部分を任せられるのは助かるのだ。向こうも同じように思ってくれればいい。住み分けだ。


「まあ、数カ月は猶予があるでしょう。派遣と『帰還』交通業でほかのダンジョンに展開するのであればちょうどいいんじゃないですか? あ、リュウイチさん、これがあるから言い出したんです?」

「まあ順番はこっちが先だったな。増える人手を活用する方法は考えていたけど」


 ミイナが、まるでリュウイチが計算ずくだったかのように指摘するがちょっと違う。

 想定外に人手が増えて、採用を制限するか迷ったとき、すぐには思いつかなかったが人手を確保しておけば絶対に何か役に立つという確信があっただけだ。

 ブレイクスルーの後には勢力の再編がある。その中で生きる道を確保するには落ち着くまで乗り切るだけの力が必要だ。

 だが思いついていなかった以上賭けだった。

 今回表に出た案も問題課題が出てくるだろう。すべてうまくいくとも思えない。

 現段階ではできることをできる限りやっていくしかない。

 そう考えて悩みながらも前のめりの選択をしたのだ。

 今ここにいるメンバーには買いかぶられすぎてもマズいので、リュウイチはやんわり否定しておいた。


「とはいえ、まだ実現するかわからないから。ただ、その前段階として、治験のようなことを求められるかもしれない」


 重病に『健康』スキルが有効かどうかなど、実現に当たって検証されるべき課題は多いだろう。

 今のところ窓口を依頼ネットワークと一部の組織に限定しているが、そのうちうわさを聞き付けた金持ちが札束で殴りかかってくる可能性もある。まあR・ダンジョン支援合同会社に入らなかった者を捕まえるほうがおそらく楽なので野良の金持ちはそちらを追うだろう。

 R・ダンジョン支援合同会社が備えるべきは国を介した斡旋に対してだとリュウイチは考えていた。


「そうなった場合の担当を決めておこう」

「代表」「リュウイチさん」「リュウイチさんですよね」「カミは言います。代表ガンバ!」

「嫌なら対応できる人を育てるすよ」


 圧倒的多数による圧力だが、会社の経営権はリュウイチしかもっていないので対抗は可能だ。

 やらないが。


「そのうちマリカもできるようになってもらうからね?」

「え゛っ」


 偉い人から持ち込まれる厄介ごとへの対処、それなりの立場と経験が必要だ。

 立場があるのはリュウイチとマリカ。経験があるのはリュウイチとリンゴとかろうじてミイナ。カミエとコウジはあるかもしれないが、裏方に押し付ける案件ではない。

 初めから決まっていたようなものだった。


「重職を早く選出しないと。希望者がいないってどういうこと?」

「様子見でしょう。皆さんサポーターですしね」


 肩を落とすリュウイチに、そっけなく告げるリンゴ。

 愛しの奥様はくすくす笑っているし他の者は残念な人を見る目を送っていた。


 これくらいがいい。


「まあ1か月たってないからな。きっともうすぐ誰かが来てくれるんだ。やりますよーってなかんじで」


 自分が前に出て主力になるというのはサポーター気質ではないようだが、やるべきだ必要だと思えば穴を埋めようとするのもサポーター気質である。

 そう考えれば希望が持てる。


 リュウイチは希望を胸に、皆の視線を浴びながら次の話に進んだ。


「混雑問題。これは派遣で緩和できるな。100階攻略でお帰り願う案もやるべきか」

「もめごとが起きそうになって自衛軍の方にいさめてもらうケースが出ていますから、早いほうがいいでしょう」


 モンスターの奪い合いになるのはよろしくない。

 速やかな解決が望まれる。

 他人事のように思考を流しつつリュウイチはうなずいた。


「マニュアル作成は自衛軍のノウハウをもらいに通う。どうせ事態が落ち着くまで完成はしないから、当座のものを随時更新する、と。幹部は誰か来て。……次」

「新人従業員育成ですね。これはちょっと現状がひどすぎるというか」

「なにもしてないからな……」


 初出勤の翌日からワンオペ! という状況はだいぶ減った。まだあるということだ。

 だが2日目からも3日目からも同じだ。

 できるなら数カ月接客や企業の方針などを仕込みたい。だがそんな余裕はない。

 やむを得ない。

 とはいえ、しかし、と板挟みである。


「ダンジョン協会のパーティメンバーに接客を教えてもらうよう依頼する。経験者も教えられるなら。マニュアルはダンジョン協会のものを手直しして渡そう」

「すぐできるのはそのくらいですね。今は相手も探索者なので職員と自衛軍の存在力で押さえてもらっていますが、今後は探索者ではなかった人が来るようになりますから」

「存在力って何ですか」


 リンゴの謎語にマリカが引っかかったのはさておき。

 『健康』の情報が広まりつつあり、ダイエット目的や健康目的で探索者資格を取ろうとしているものが各地で大勢現れている。

 彼女ら彼らが来るようになると一般向けの接客技術が必要になるかもしれない。


 とはいえ教育に時間をとる余裕がない。ダメだとはわかっていても。


「班長に頑張ってもらおう」


 そういうことになった。


「ところで内勤は足りてるか?」

「経理部を作りましょう」

「総務部も欲しいす」

「一般に募集出してるけどまだ来ないんだよな。まあ来ないよな、新興の怪しい会社だし」


 カミエもコウジも手が足りていないのか、今後足りなくなると考えているのか、増員を求めてくる。

 とりあえずトップと意思疎通できていれば何とかなるので、二人をトップに応募者が現れたら組み込んでいけばいいだろう。

 現れたら。


「探索者やサポーターじゃなくてもいいから、二人が付き合いやすい人材誘ってくれてもいいよ」

「代表、探索者に一般人の知り合いは紹介できるほどいないと思うな。やりますけど」

「声だけかけてみるす」


 リュウイチは二人にも人材集めの責任を負わせることに成功した。


『やったぜ』

『やりくちがせこいですよ』


 ミイナが苦笑していた。

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