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ダンジョン協会をクビになってものすごいレベルが上がったけどヒーローにはなりたくないのでなんとかしたいと思います  作者: ほすてふ


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045.幹部?会議

いつも誤字報告ありがとうございます。非常に助かっています。

今後ともよろしくお願いいたします。

「R・ダンジョン支援合同会社幹部会議ー!」

「わー」

「わぁ」

「わ、わあ」

「わーわー」

「え? わー?」


 リュウイチ(代表)

 ミイナ(他社からの出向)

 マリカ(バイト社員)

 カミエ(経理事務)

 リンゴ(期間契約従業員)

 コウジ(事務)


 というメンバーで会議が始まった。

 あまり幹部感がしない肩書が多い。


 場所は事務所。時間は夕方。

 パーティションを端に寄せてスペースを作り、キャスター付きのホワイトボードをどんとおき。

 近所の総菜に強いスーパーでオードブルとパック寿司、ほかいくつかのおかずを買ってきて机に並べてある。


「急だったからこんなものしかないけど、好きに食ってくれ。にしても遠慮するなとは言ったがすごい量だなあ。食いきれるのかこれ?」


 買い出しはコウジが中心となって行われた。

 唐揚げ、カツ、やきとり、コロッケ、ポテトサラダ、マカロニサラダ、揚げタコ、イカリング、アジフライなどなど。

 定番のスーパー総菜がずらりだ。多くが揚げ物である。


「ビールお酒飲みたくなるすね」

「飲みたいなら今度どっか行――」

「ごちになります!」

「食い気味!」


 さすが体育会系は反応が早いし飲み会めんどいとか言わない。というのはリュウイチの偏見だが。

 リュウイチはホワイトボードにきゅっきゅと文字を書きつつ。


『言っておいてくれれば作ったのに』

『まあまあ。ミイナも忙しかったろ』

『大量に揚げ物作る機会を逸したので責任取ってくださいね』

『どんなよ』


 指輪の力でミイナをなだめていた。



 ・ダンジョン氾濫対策

 ・サポーター育成

 ・『健康』取得

 ・『疫病のダンジョン』混雑

 ・他のダンジョンへの派遣

 ・新人探索者研修マニュアル作成

 ・幹部希望者がこない

 ・新人従業員育成

 ・内勤従事者雇用育成

 ・ダンジョン協会への対応

 ・web対応

 ・自衛軍への対応

 ・国への対応

 ・サポータークラス取得、うち所属でもできるんじゃないか問題


 ホワイトボードに羅列されたのは、R・ダンジョン支援合同会社が抱える問題の数々である。

 並べてみると厄介ごと多すぎだなとリュウイチはへこんだ。楽したいのに。


「えー、まず一番下のはカミエさんとコウジくんから提起されました。ちょっと面白い考えだな」


 ダンジョン協会御用達といわれている『サポーター』。

 しかし、所属しなくともこのクラスに就ける者も存在する。

 個人が選べるクラスは、気質や経験によるといわれており、学生時代に部活のマネージャー経験者であったり、応援団に所属していたりという経験を持っているとサポーターになれるとも噂されていた。


「所属がクラスを決めるなら、R・ダンジョン“支援”合同会社で、しかもサポーターをサポートしている会社のうちならサポーターになれてもおかしくないんじゃないか、という思い付きです」

「もしそうなら何かの役に立つかもと思ったす」


 ダンジョンに係る物事は謎が多い。

 というより、ダンジョン出現以前に人類が培ってきた自然科学が通用しないことが多々ある。まるでゲームのように唐突で理不尽なことがあったり、逆にご都合主義的なことがあったり。

 燃料も酸素もなくとも消えない魔法の炎などがいい例だ。可燃物に接触し延焼した部分は以降地球の法則にしたがう。

 リュウイチとミイナが身に着けている愛の絆の指輪だって謎の物体だ。

 これらの理屈はわからないがとにかくそうなるというものを、一部ではダンジョンの『仕様』と呼ばれている。


 クラスについても仕様を研究されてはいるが、実際に試してみればわかることでもあり、今まではクラスチェンジするのも苦労していたので正確な情報はあまり出回っていない。おそらくこうではないかという推論ばかり。


 所属する組織によってクラスが増えることはわかっているし、ダンジョン協会所属でサポーターになれることもわかっているが、新しくできた組織に所属してクラスが増えるか、どんなクラスか、いつから増えるか、などは、少なくとも広く知られるレベルで研究されてはいない。


 改めてR・ダンジョン支援合同会社を考えてみる。

 所属人員はすべてサポーター適性があり、業務内容も他の探索者のサポートといっていい。名前にも支援とある。

 確かにいかにもサポーターになれそうな組織だ。


「ダンジョン協会の臨時職員となった私の仲間はサインした日からサポーターになれましたね。勤務時間0秒から」


 リンゴがピーチガールズの例を挙げる。


「条件ガバガバでは?」

「今はサポーターしか採用していないですから、結果はどっちでも同じですが、今後は結果次第で状況がまた変わりますよね。調べますか?」


 リンゴの言葉に呆れるリュウイチの脇でミイナが顎に人差し指を当てて小首をかしげる。

 調べなければ状況は変わらないし調べてクラスが増えなくても変わらない。

 クラスが増えるとするとサポーターである。

 なぜなら、今のところR・ダンジョン支援合同会社入社前後でクラスが増えたという報告はないしリュウイチたちも確認していないからだ。

 なので増えるとすればすでに持っているクラスということになる。


「でも、さすがにすぐには実験できませんよね」


 マリカの言う通り、だからといって実験するのは難しい。

 なぜなら簡単に協力してくれそうな相手は皆サポーターだからである。

 R・ダンジョン支援合同会社の職員ではだめ。

 ダンジョン協会の職員も皆サポーター適性持ち。

 自衛軍? 民間に出向してもらうことはできるのか。実験する意味はあるかもしれないができるかどうかリュウイチは知らない。あとで聞いてみてもいいかもしれない。

 その辺の探索者を捕まえるか。変に情報が伝わって予想外のことになっても困る。


「口が堅くて義理堅くて場合によってはそのまま働いてもらってもいいような都合のいい知り合いいない? できれば探索者か兼業OKのところで」


 リュウイチは雑に都合のいいことをつぶやいた。

 直接口に出していないがこの場合重要なのは信用だ。


「警備員さんはどうでしょう?」

「訊いてみてくれるか」


 リンゴの提案。すでに警備を任せている相手であれば信用は十分である。

 仕事に支障が出なければ試してもらいたい。

 リュウイチはゴーサインを出した。


 結論から言うと、出向、アルバイトで試したところ、いずれも書類にサインした時点でクラスが増え、一度サポーターにクラスチェンジしたら退職しても再クラスチェンジ可能なままだった。


「やばいな」

「やばいですね」


 みんなでうんと頷いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] では架空会社として勇者部や魔王部を作ってみるか(棒読み
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