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【コミカライズ企画進行中】召喚世界のアリス  作者: 天野ハザマ
境界線上のアリス

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ショップに行こう

 そんな騒動もあるにはあったけど、とりあえず私は少し疲れたのでソファで休むことにする。

 ゆったりと座って、紅茶を飲んでホッと一息。はー、癒されるわあ。


「……若さが足りないな」

「そうですわね。うちのおばあ様みたいな感じですわね……」

「失礼な。私はめっちゃ若いわよ」


 それこそ前の私だって若いっての。具体的に何歳だったか、全然思い出せないけど。

 ……ま、どのみち今の私には関係ないからどうでもいいかしらね。

 ていうかこいつら、なんでついてきてんのよ。暇なの?


「めっちゃ若いって……そういえば何歳ですの?」

「美少女」


 即答する私から視線を外して、リーゼロッテはアルヴァと顔を見合わせる。


「……私、年齢を聞いたつもりでしたのよ」

「安心しろ、俺もそう判断している」

「アリスさんのお国では美少女って年齢を現す言葉だったのかしら」

「こいつがアホなだけだ」

「ですわよねえ……可哀想に……」

「全部聞こえてんのよねえ……」


 私は紅茶のカップをソーサーに戻すと、立ち上がり、びしっと可愛いポーズをキメる。


「いい⁉ 美少女は……永遠に美少女なの! 具体的な年齢とかを出すと色んなところが煩かったりするから!」

「色んなところって何処ですの……?」


 色んなところは色んなところよ。世紀末なアクションゲームで美少女が剣持って戦う設定にはそういうのも必要になったりしたらしいのよ。詳しくは知らないけど。


「まあ、それについてはいい。外見年齢では13ほどに見えるから、そう自称すればいいだろう」

「そういえばアルヴァは何歳なの?」

「200を超えたあたりから数えてはいないな」

「ふーん。リーゼロッテは?」


 そういえば聞いたことないな、と思ってリーゼロッテに話を振ると、リーゼロッテは微妙に視線を逸らしてくる。


「え、えーと……」

「うん」


 まさかこう見えておばあちゃんだったりするのかしら。魔女だから不老不死とかありそうよね。

 そんな事を考えてリーゼロッテを見ると、リーゼロッテは「きゃぴっ」とでも音が出そうなポーズをとって笑みを浮かべる。


「び、美少女……ですわ!」

「……」

「……」


 私は黙ってアルヴァと見つめあい、頷きあう。


「ごめんアルヴァ。私が間違ってた……すっごいムカつく」

「ああ、構わん。人は成長するものだ」

「ひどくありません⁉」


 ぎゃあぎゃあと騒ぐリーゼロッテをいなしながら、私はこの後どうしようかなー……なんてことを考える。

 とりあえず、あのナジムとかいう奴の事は棚上げ。考えてもどうしようもないし。

 けど、何もかも忘れて寝るにはかなり早い。ならどうするか、なんだけど……うーん、そういえば何か思い出しそうで思い出せてなかったような。


「大体アリスさんだって、そんなフリフリの恰好でキメキメなポーズで!」

「あ、それだ」

「どれですの⁉」

「うん、フリフリの恰好のところ」


 そう、それだ。思い出した。ていうか、どうして今まで忘れてたんだろ。


「ショップよ! いやあ、すっかり忘れてたわ!」

「……お買い物するんですの?」

「するのよ」


 ま、リーゼロッテが考えてるやつじゃないけど。


「開かない部屋の話だな」


 お、流石にアルヴァは想像ついたみたいね。

 そう、ショップ……ショップ機能。拠点にあったはずなのに封印されてたその機能は、今は解放されてる。鉤鼻の時に急速レベルアップした上に取り込み中だったせいだったのも、忘れてた要因なのかも。うん、ていうか、きっとそのせいよね。おのれ鉤鼻。


「この家の中にお店があるんですの……?」

「あるんですのよ」


 ちょっと、私の頬をつねらないでよ。お金取るわよ。


「えーと……確かこっち……だったはず」

「なんで分かんないんですの……?」

「だってリアルで行くのは初めてだもん」

「意味が分かりませんわ」


 分かるのは前世とゲームについて説明したアルヴァくらいだと思うな、私。

 そうして見つけた扉に触れると、カチッという音が鳴り響く。


―ショップへ移動しますか?―


 はい、いいえ、という選択ボタンも表示されている。

 当然選ぶのは「はい」だけど……あれ、そういえばこの選択だと……。


「あ、やっぱり」


 私の後ろにいたはずのアルヴァとリーゼロッテを元の場所に残したまま、私は何処かのお店の中っぽい場所に移動していた。

 うーん、分かってはいたけど……私の為「だけ」の家なのよね、此処。

 たぶん一緒に連れてくるには手をつなぐとか、そういうことしないとダメなんだと思う。

 そんな事を思いながら見回すと、そこにはゲームのものがそのまま再現されたような風景が広がっている。

 武器も防具も雑多に並んだ店内と、お店のカウンター。そして……気だるげな、おじさん店主。

 いかにも頑固一徹って感じの人だ。


「……おう、いらっしゃい。今日は買うのかい? 売るのかい?」

「うん、とりあえずは……友達連れてくるわ」

「そうかい。またな」

「うん、すぐ戻ってくるけど」


 そう言って私はショップを退出する。

 そうして私の姿は元の場所に戻って……瞬間、リーゼロッテに思いっきり抱き着かれた。

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― 新着の感想 ―
[一言] アホは伝染する
[良い点] ずっ友!
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