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【コミカライズ企画進行中】召喚世界のアリス  作者: 天野ハザマ
混迷世界のアリス

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アイツの正体は

 ……で、いったん帰ろうと思ったんだけど。思ったんだけどなあ。

 1時間くらいたってもまだ、私は家に着いていない。


「ええ……? どういうこと?」


 なんかさっきから凄い迷ってる。おかしいぞ、流石に自宅周辺で迷うほど馬鹿ではなかったはず。

 いや、でもどうかな。よく考えると私、自宅を目印にしてるだけでそんなに道は覚えてなかった気がするぞ……?


「むむむ」


 角を曲がる。曲がって、曲がって、まっすぐ進む。戻って、曲がって、進んで。

 そこまでやって、ようやく理解する。これ、何かされてる。

 だって……さっきから、目印にしてる家に全然近づきも遠ざかりもしない。

 試しに壁に登って家の屋根を跳んでみるけど、やっぱり同じ。

 どうにもコレ、何かの魔法にかかってるっぽい。

 アレかな、相手を永遠に迷わせるみたいな……うーむ、イメージ的にさっきのアイツじゃん。

 ええ? 何、まだ私を狙ってんの? しつこ過ぎない?

 けどまあ、そうなると……此処で無駄に歩いても意味ないわよね。

 その場で立ち止まって、周囲をゆっくりと見回す。居ないように見えるけど……たぶん、何処かで見てるのよね?


「ちょっと。いるのは分かってんのよ」


 返事は無し。ふーん、シカトするってわけ? 良い度胸じゃない。


「これで私が疲れるのを待ってんなら、やめたほうがいいわよ。アンタごと全部吹き飛ばしてあげてもいいんだからね?」

「……フッ。ハッタリはよせ。この迷門八陣、生きて抜けた者は数える程しかいない」

「いるんじゃん。破られた実績ある魔法でどうしてそこまで強気になれんのよ」

「……」

 

 無視かい。別にいいけど、アイツの魔法だってハッキリしたし。

 そうなると、幾つかの選択肢があるわね。

 1つ目は、アイツをどうにか見つけてぶっ飛ばす。

 2つ目は、ボムで全部吹っ飛ばす。

 この2つは私がスッキリして気持ちいいからオススメなんだけど。

 まあ、此処は……3つ目かな?


「リターンホーム」


 私の姿はめーもん……なんだっけ。忘れた。とにかくその場から消えて、家に戻ってくる。

 うむ、リターンホーム最強。どういう仕組みで移動してんだかは、サッパリ分かんないんだけども。

 リビングにいたのは、おなじみアルヴァ。なんか暇そうな顔してるわね……。


「戻ってきたか。どうだ、どんな奴を殴ってきたんだ?」

「殴る前提で話するのやめてくれない?」

「殴ってないのか」

「殴った」


 おい、鼻で笑うんじゃないわよ。あれは正当防衛ってやつよ。


「あのねー、私を狂犬みたいに言うけどね?」

「犬なんて可愛いモノじゃないだろう。貴様は狂竜だ。しっかり自己を認識しろ」

「アンタも殴ってやろうかしら」

「そういうところだぞ」

「ぐぐ……」


 ええい、口じゃアルヴァに勝てないわ。流石ブラックメイガス。やるわね。


「今極めて不本意な評価のされ方をした気がするが」

「気のせいじゃないの? それより聞きたいことがあるのよ」


 私がさっきあったことを順序だてて話していくと、アルヴァは「ふむ……」と面白そうな表情になる。


「貴様が出会ったのは符術士だな。随分珍しいモノに会ったじゃないか」

「嬉しくもなんともないんだけど。東方の国に伝わる秘術とかそういうアレじゃないでしょうね」

「何がどうなれば東を指定することになるのか知らんが、違う」

「あ、違うんだ」


 なんかこう、東にそういう島国でもあるのかと思ったわ。今の反応だと無さそうね。

 うーん、まあいわゆる「定番」が異世界にあるはずもないか。反省反省。


「符術とは魔法における各種の所作を『魔力を籠める』という一動作だけで行えるように全ての過程を『符』と呼ばれる紙切れに封じ込める、そういう技の総称だ。符がなければ何も出来んが、符があれば最速で攻撃を繰り出してくる厄介な連中……それを符術士と呼ぶわけだな」

「ふーん、確かにそんな感じだったわね」


 つまり符さえあればどんな技であろうと、どんな状況でも繰り出すのは自由自在……ってことよね。うーん……相当面倒な相手よね。


「聞く限りだと相当便利そうだけど、珍しいとか言うからには広まらなかったんでしょ? なんで?」

「貴様にしては鋭いな」

「そういうのいいから」

「フン、決まっている。不便だからだ」


 符術。用意するのは凄い大変で、使うのは一瞬。しかも使い切れば途端にピンチ。

 その点、普通の魔法は使えるようになるまでは簡単だけど、熟練すればするほど威力も上がるし魔力さえあれば品切れもない。

 どっちも利点も弱点もあるけど、総合すれば普通の魔法を皆が選ぶ。つまりはそういうことらしい。


「まあ、戦闘中に新しい符を書いている暇があるはずもないしな。暇があっても心に焦りがあれば符の品質は下がるし作成失敗する可能性もある。要は、そこが致命的に過ぎたのだ」

「うーん、なんか納得」

「だが、充分に準備した符術士ほど手強い相手も中々いないぞ。貴様が無事に戻ってきたのは、中々の快挙と言っていい」

「まあね」


 つーかリターンホームが反則技なんじゃないかって気もするけどね。

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