48 アランフラグを立てる
魔王が部屋に現れ、リリィとライトを魔界に連れて行くと、俺は一人で朝見たオオアサ畑に行った。
濃い瘴気に覆われていたが、そんなのは無視し強硬なシールドをかける。
ソルト程度の魔術師ではもう入ることはできない。
「ついでに隠蔽魔法もかけておくか」
この辺の魔法はガリレの弟子として、得意分野だ。
詠唱もなく、さらっとかけたが誰もここにオオアサ畑が広がっているとは気づかないだろう。
それから、レアダンジョンへと向かう。
崩れかけた神殿の入り口は、長い間放置され忘れ去られていたようだ。それが朝の爆発でさらに、入るには危険な状態になっている。
俺自信にも強いシールドを張り、ダンジョンの中に入って行った。
何とか下まで降りて、瘴気の発生源を見つけ、魔界へとつながっていることを確かめたい。
本当なら、オオアサ畑もこのダンジョンも第二王子を連れてきて、貸しを作りたかったが、一緒に来たくなかった。
今は学校祭の準備で忙しそうだしな。と結局一人できたのだ。
ダンジョンの中は本当に静かだった。
あちこちに、魔石が落ちていて放置されている。
このダンジョンは、もう死んでいるな。
俺は黙々と最下層を目指した。
途中、ソルトが爆発から身を隠すために使ったであろう部屋から魔法陣の痕跡を見つけた。
体育館ほどもある。部屋の中央に魔法陣がかかれ、魔法陣の輪郭だけが残っている。その中央からすっぽりと大きな穴が下まで続いていた。
俺は穴を覗き込んでみたが、底が見えない。
ふと、背中に悪寒が走る。
深淵を覗くのは、あまり気分のいいものではない。
「最短な道を行くか」
おもむろに、俺はその穴に飛び込んだ。
真っ暗な中落ちる感覚は、意外にも怖くはなかった。
やっと穴の終わりが見える。
そのとたんスピードが倍に感じるのは何故だろう。
シールドを調節して、地面に激突しないようにする。
「相当深くまで潜ったな」
まともに攻略しようとすれば何ヵ月もかかっただろう。
「さて、ソルトは何を爆破したのかな?」
着地点を中心に瓦礫と化していたが、瘴気が濃すぎてどの位の広さなのかわからない。
うっすら目の前に山が見える。
その山はよく見ると黒竜だった。
「へー」
さすがレアダンジョンだ。黒竜が本当にいるとはな。
話でしか聞いたことがないが、実在したんだ。
だが、もう虫の息のようで、体から瘴気を出している。
何千年、いやもっと生きていたのかもしれない。
そう思い感慨にふけっていると、黒竜が目を開けて俺を見た。
真っ赤な目が宝石のようだ。
「懐かしいにおいがすると思ったら、おまえか」
黒竜の思念が頭の中に入ってくる。
「お前と会ったことはないと思うが」
「ふっ、生意気なところも相変わらずだ。5千年の昔に出逢っただろう。あの頃は楽しかった」
そんな昔に俺がいるわけがないだろう。誰かと間違っているのは確かだが、俺は話を合わせてやることにした。
死期が近く混乱しているのか、それとも本当に俺の魂とでも知り合いだったのかはわからない。でも、目の前の黒竜がやけに哀れに見えた。
「いつからここに?」
「お前と別れてからすぐだ。何もかも退屈でな。このまま朽ち果てるのもいいかと思ったが、お前に会えて気が変わった」
気が変わったって、死なないってことか?
「いや、見ての通り身体中から瘴気が発生している。もうこれは止められないだろう」
じゃあ……。
言葉を遮るように、黒竜が半身を起こす。そして、大きく口を開けたかと思うと、ゴボっという音と共に何かを吐き出した。
!
渾身の力を使い果たしたのか、黒竜は、首から崩れ落ちた。
「お前と同じ、代替わりの竜だ」
ん? 俺と同じ?
転生前の魂と一緒ってことか?
「我の子を頼む」
そう言って黒竜は目を閉じた。
「おいちょっと待て、俺に竜の子
なんて育てられないからな! それに聞きたいことがある。このダンジョンは魔界と繋がっているのか?」
黒竜は一瞬目を開けて頷いたような気がしたが、言葉にはならなかった。
ただ、頭のなかに、「楽しかったな」という言葉が響いた。
いや、俺じゃないけどね、と思ったが「そうだな」と返事した。
そもそも念話で話しているようだったから、考えていることは筒抜けのはずだが、黒竜が最期に笑った気がしたからいいか。
それにしても、何吐き出したんだ?
俺は瘴気の渦をかき分け、ひときわ黒く渦く固まりにてを突っ込んで持ち上げた。
軽く浄化すると、光沢のある黒光りした、卵があった。
昨日の投稿で10万字投稿してました。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
皆段の応援のおかげで、ここまで続けられ感謝です。
つたない文章ですが、少しでも続きが読みたいと思っていただけるよう頑張ります。
暑い日が続きますが、夏バテせずに乗り切りましょう❗




