44 アランとライト 誰が一番チートですか?
「そうじゃないかなと思ってたけど、アランも転移魔法を使えるんだね。アリスがリリィ様やアリシア様にチートな力で、魔宝石に転移魔法を付加して渡していたけど、アランもそれで転移して来たのかと思ったら、どうやら違うんだ」
ライトは複雑だというように、ため息をついた。
「もしかしてアランって僕よりチートじゃない?」
「なんだ、今ごろ気づいたのか?」
「やっぱりそうなのか、でも、勇者よりチートって何者?」
「そんなことより、集中しろ」
俺たちは、ライトが見たというオオアサ畑までくると、ソルト達が後からやってきたのだ。
その後、一人で森の奥へと入って行くソルトをつけてきて、今は瘴気がたち込めるダンジョンの前にいた。
「僕たちも中に入る?」
ソルトが入ってからかなりたつ。
ソルト一人くらいなら、捕まえるのは簡単だが目的が知りたい。
レアダンジョンのようだから、魔石が目的なのかもしれないが、妙に気になる。
「あ、ソルトが出てきたよ」
手ぶらだ。
魔石を取りに行ったのではないのか、何が目的だ?
ソルトは入り口を見つめて、立ち去ろうとはしない。
それから数分。
地面の奥底でドンっという振動がして、足元が揺れる。
!?
「地震?」
俺は咄嗟にライトを抱きかかえると、簡単に張っていたシールドを強化した。
「何?」
ライトの言葉をかき消して、ダンジョンの入り口から濃い瘴気が噴出してくる。
黒く渦巻きながら拡散していく霧は意思を持っているようだった。
「うわ¨Δ§*〇♦Δ!!」
俺はライトの口を両手でふさいだ。
うっぅぅぅ。
「静かに」
ライトがコクコクと頷くのを見てそっと手を放す。
「何あれ?」
「瘴気だ。どうだ、自分でシールド張れそうか?」
「うん、大丈夫そう。ありがとう。一人だったら巻き込まれてた。あれって、ソルトがわざと瘴気を発生させたの?」
「たぶんな」
アリスは魔王が魔族の貴族の仕業だと言っていたが、ソルトの仕業だったのか。
第一王子の指示か?
いくらなんても、魔の森に入り込みダンジョンを爆破するなど正気の沙汰じゃない。
一歩間違えば、魔族と全面戦争だ。
聖女の力もなく、勇者もいない今どうやって戦う気だ?
「ライト、嫌な予感がする、帰るぞ」
俺はライトと一緒にアリスの所に転移した。
アリスは中庭でアリシアとリリィ様と一緒におしゃべりをしていた。
くすくすと3人で笑いあい。隠蔽魔法がかかっているとはいえ、おしゃべりに夢中で俺とライトには気づいていないようだ。
全く無防備だな。
ほっと、ため息をついてライトの部屋に転移する。
「心配しすぎじゃない? アリスは転移もできるし、俺よりずっと強いよ」
ライトの言う通りだ、影も一人つけてあるし、学院にいる限り問題ないだろう。
「それより、ソルトは何のために瘴気を発生させているの?」
「いくつか考えられるが、魔石を捕るためでないのは確かだ。まあ、最終的にはダンジョンを攻略するつもりなんだろうが、それよりオオアサを瘴気にさらすことによって、故意に毒性を持たせているのかもしれないな」
最近、あちこちの港で出回っているオオアサは、ただ幻覚を見るだけじゃなく、凶暴性が前面に出る厄介なものだ。
品種改良したのかと思ったが、瘴気にさらした影響かもしれない。
どちらにしろ、もっと別の目的がありそうだ。
「仕方ない最悪、魔王に聞くしかないか」
そこで、ふと何か引っかかる。
「………魔王は瘴気が大量に出たら瘴気ごと魔の森に転送していると言っていたな。だが、そもそも魔界に瘴気が発生するなんて聞いたことがない」
「そうなのか?」
「もしも、魔界とダンジョンが地下深く繋がっていたらどうだ?」
何故、ソルトがそんなことを知っているのかわからないが、それなら危険をおかし魔の森のダンジョンを爆破する理由になる。
「内通者がいるかもな」
やはり、魔王と話す必要があるな。
その時、机の上に置きっぱなしだったルビーが光っている。
アリスが魔王からもらってきたものだ。
「アラン! 光ってるぞ」
「ああ」
俺は頷いたが、どうも出る気がしない。
「僕が出る?」
ライトがソワソワとルビーの置いてある机に座る。
俺は目で頷くと、ライトがそっとルビーにふれた。
「もしもし?」
「誰だお前?」
大麻の表記をオオアサに変えるか思案中です。




