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36 アリス無事見つかる

「あれ?」


 私は魔王の城から薔薇園に転移すると、当然だがそこにはもう誰もいなかった。

 シン、としている薔薇園を見回し、もしかしてアランにばれてない? とほっと息をする。


 レオン様探してるよね。

 あちこち言いふらしてることはないと思うけど。


 とりあえず部屋に戻ろう。




「げっ」


「……………。」


 そこにはアランが腕組みをして、目をつぶり身動きせずに座っていた。


「アラン来てたの」


「……………。」

 うっ、怒ってる。


「えっと、ごめんなさい。心配かけるつもりじゃなかったんだけど、転移されそうだと咄嗟に思ったら、つい、本当につい手が出ちゃって。薔薇だけ持って行かれるわけにはいかないし。ほら、そのおかげで薔薇の所在は分かったし、もしかしてお手柄?」

 あ、最後のお手柄は余計か。


 口に手を当てて、アランを窺う。

 アランは目を開けると、私をまっすぐ見つめる。


「アリス、僕が一番恐ろしいことは何だと思う?」

 え?


 アランの恐ろしいこと?

 まじまじと見ると、アランの瞳には怒りは浮かんでいなかった。

 疲れているのか、妙にやつれた顔に萌えちゃいそうです。

 心配かけたんだろうなぁ。


「お金が減ること?」


 ごめんなさい。怒っていないようだし、この緊張感に耐えきれなくて、ちゃかしちゃいました。

 アランの瞳に一瞬、怒りの色が浮かび、下を向いて反省する。


「以前に、アリスが前世の僕のことについて話してくれたのを覚えていますか?」


 ん? また話が飛ぶの?

 アランには珍しく,回りくどい。

 怒っていないと思ったけど、実はめちゃ怒っている?


「えっと、前世のと言うと………何回目の前世? アランに話したとしたら、商会を譲渡して現代に戻ったけど、運命に負けてそれまでいたアラン達の世界に戻れなかったっていう話?」

 あの時の話は、今思い出してもつらい。

 あの時のアラン元気かな?

 逢いたいな。


「そうです。その話を聞いて僕がどんな気持ちだったかわかりますか?」

 

アランの気持ち?

 う~ん。その時の商会の取引相手が欲しい。もしくは顧客名簿が欲しい。


「違う」

 あれ、声に出してないけど、なんでわかるの?


「この世界では、絶対にいなくならないで欲しいと思ったんです。僕が怖いのはアリスがいなくなることです」

 そうなんだ。

 ちょっとジーンと来るかも。


 それで、わざわざ出不精なアランがイスラまで探しに来てくれたんだ。


「大丈夫、今回の転生では前みたく運命を変えようとか思ってないから。できるだけ、日本には帰らないで最後の日を迎えないようにしているし。それに、万が一また私が戻ってこれなくても、もう商会はアランに譲渡してあるし私がいなくても………」

「アリス!」

 アランが珍しく声を荒げると、私の言葉をさえぎって怖い目をして近づいてくる。


 顔を見るのに見上げなくてはならないほど近くに来て、アランは「はぁ」と深く息を吐き言った。


「アリス、僕の、僕たちの前からいなくならないでくれ。僕を拾った時から僕たちは家族だ。そう言ったのはアリスだろ。絶対にいなくなるな」

 強い口調で言うアランは本当に心配させちゃったんだな、と反省した。


「うん、わかった。ごめんね。心配かけて」

「わかればいい」

 アランは私の頭をくしゃくしゃに撫でまわすと、また椅子に座った。


 その時廊下の向こうから近づく気配がある。

 アリシアだ。

 そう思うと同時に部屋の扉をノックする音が聞こえる。


「アリス!」

 返事をする前に扉が開き、アリシアが入ってくるなりギュッと私を抱きしめ、頬をスリスリする。

 目には一杯涙がたまっている。

 アリシアにも心配かけた。スリスリは許そう。


「心配した」

「うん、ごめんね」

 アリシアの後ろには、リリィ様もいる。


「あっ、リリィ様。私魔王に合ったんですよ。討伐に行く前にお城に入れたなんて、すっごくラッキーじゃないですか?」


「いえ、魔王討伐は全力で拒否してますから。それよりアリスさんをさらったのは魔王なの? 魔王の城がどこにあるか分かったのね。でもいったいどうして伝説の薔薇を盗んだのかしら」

 リリィ様は驚いている。

 第一王子より先に魔王に会えたのはラッキーだ。今回城内に入れたことはすごい貴重な体験だった。


「さらわれたのとは違うけど、お城に転移したの。魔王のお城はね。崖というか峰の上にあったわ。でも、イスラ側からはシールドがかけられていて見えないの。しかも、魔王の城からは魔界に通じて、大きな町があった」

 へーとリリィ様は感心している。



「これは想像だけど、王女の恋人は、魔王からガラスの薔薇を奪って王女にあげたんじゃないかしら」

 魔王はずっとガラスの薔薇を探していたが、魔法使いの張ったシールドで見つけることができなかった。

 そこに、私とレオン様がシールドから宝石を持ち出したので、場所が特定でき、取り戻しに来た。


 城のお墓とか、まあ、確認することはいっぱいあるけど。


「なるほど、でも、それだと薔薇を奪われたのに、魔王は何故イスラに攻め込んでこなかったんでしょう? 何百年も必要に探していた割に攻めてこないって、なんだかしっくりしないような。魔王は薔薇をどうしたんですか?」

 確かに、どうして魔王はもっと力ずくで薔薇を取り返そうとしなかったのかな?



「アラン、あなたアリスが魔王にさらわれたの知ってたわね」

 それまで黙ってリリィ様と私の話を聞いていたアリシアが、悪役令嬢の顔をしてギロリとアランを見た。


今回のアランはちょっと拗らせぎみ。

今日は投稿はじめて、ちょうど一ヶ月です。

よく続いたなぁ、と自分でも思います。

これもひとえに応援してくださる皆様のおかげです。

ありがとうございます。

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