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魔界食肉日和  作者: トネリコ
魔界編
50/62

50、発情期五:激しい感情はお前だけ

 

 



「トカちゃん大丈夫…?」

「んあ、めー子か? おう…、もふらせてくれたら元気でる」

「トカちゃん顔真っ青だよぉ。触る前にお布団行かなきゃだメェ!」

「…んー、おー…、でもこれだけ運ばんと燃やされる…」

「やっとくよぉ! ほら、一緒にいこ」

「めー子天使か…、結婚しよう…」

「トカちゃん正気に戻ってぇ」


 減らず口を叩いているが、正直視界がぐわんぐわんと揺らいでいてやばい

 部屋の方向に一歩踏み出したつもりが逆方向だった程度には頭も体もだるい状態である。


 天使なめー子がいつの間にか荷物を持っていてくれたが、幾ら身長が低い方とはいえ更に小柄なめー子がトカゲを担ぐのは無理なことで。


 案の定トカゲと一緒にすってんころりんと転んでしまっていると、何処からともなくひょいっと担がれた。


 うえ、だれだ…?


「羊ちゃん大丈夫っすかー? 後は運んどくんで、その荷物任せたっすよー」

「めぇ? た、助かります~」

「あー、鳥か…?」

「そうっすよー。トカゲさんマジ死にそうっすねー」

「おーやばいわー、お前が三羽に見える」

「それはウケルっす」


 どうやら鳥に担がれているらしい。

 ぐてんとしつつめー子にヘルプを頼むとめー子は快く引き受けてくれた。 


 マジ天使である。後でハーブ買いに行こう

 米俵方式で担がれてるので、余計頭に血が上る。

 あー、胃がむかむかする。吐きそう


「ちょ、トカゲさん吐かないでくださいよー!?」

「たぶんでーじょーぶ…うえ、やっぱ吐きそう」

「ダッシュしていいっすかー!?」

「それは余計吐く」


 コントしつつ部屋への道を指示しようとしたが、指示する前にすたすたと鳥が歩くもんだからイラッとする。


 ここ最近寝不足だしやけに落ち着かない気分で胸糞悪ぃ状態が続いているのだ。

 呪いのせいか変なのにも絡まれるしな、まぁお陰で無傷だけどよ


 気分悪いとかんに障りやすいんだよ。あと、勘も働きやすい。あー、しゃくに障る

 

「おいクソ鳥ー」

「いきなりなんすかトカゲさん。置いていきますよー?」

「乙女の家を勝手に知ってるストーカー鳥に言われたくねぇなぁ…。てめぇ、最近絡まれるたんびに都合よく遭遇しすぎなんだよ。どうせワニから頼まれでもしてるんだろ。てめぇが吐けこら」

「へー、呪いが進行してる割には判断能力鈍ってないんすねー。まぁ隠してないですしそうっすよー。俺も仕事じゃなかったら傍観楽しみたかったんすけどねー」

「発言がクズいな」


 相変わらずのクソ鳥発言にいらつくし、視界は回るし胃は逆流しそうだし階段上るたんびに腹に肩が刺さるしで体調は絶不調だ。


 だから、こんなに腹が立ってるに違いない。


「で、肝心のワニはどこ行ったよ」

「さぁ? 俺も里帰りとしか聞いてないんすよねー」

「あいつ、マジであの腕だけ残して消えとくつもりか」

「へぇ?」


 腐ってはないが血臭の凄い腕を思い浮かべつつ吐き捨てると、何故かにやついた鳥がこちらを見下ろしてきた。その顔見てると今すぐ嘴折りたくなるから元気になったら覚悟してろよ


「何だよ」

「別に、隊長が居ようがいまいがトカゲさんには関係ないじゃないっすかー。むしろ居たら毎日食べられるだけなんすし、喜んだらどうっすかー?」

「ふん、その通りだが、こちとらあの置き土産の腕を引き取ってもらわにゃならんのよ。そこら辺に捨てたら魔界生物保護管に殺られそうだしな」

「ふーん? まぁそういうことにしときましょうかねー」

「何か言いたそうだな鳥。むかつく、尾羽よこせ」

「いたッ! トカゲさん酷いっすよー!?」

「トカゲ様に毟ってもらうんだぞ。誇りに思うがいい」

「俺は隊長みたいなドエムじゃないっすー!!」


 惜しげもなくぶっちぶっちと毟っていると、涙目の鳥に部屋に放り投げられた。病人に対してなんたる酷い扱いである。


 べちゃっと布団にボッシュートされて思わず呻いていると、「大人しくしてるっすよー」とドアを閉められる。


 このクソ鳥め、絶対いつか焼き鳥にしてやる…


 もごもごと悪態を吐くも、とっくに鳥は去ったようだ。逃げ足も速い奴である。

 けっと思いつつひとりきりの部屋でもぞもぞと布団の下へと潜っていると、匂いのせいか段々と頭がぼうっとしてくる不思議だ。

 

「くそ…。はぁ、眠気に転じりゃ勝ちなんだが…、あーだりぃ。これだから部屋に戻りたくなかったんだよ」


 取り敢えず布団で匂いの閉め出しを試みるが、ワニの血の匂いが部屋どころかまで布団に染み付いている。朝に少し干したのに全く効果無かったようだ


 あのばかワニ、ここまで見越して対処しろよな……


 鈍く痛む頭を押さえながらため息を吐けば、湿った熱い呼気がでた。

 どの発情期の症状が一般かは分からないが、風邪を引いた時に似ているように思う。芯から冷えていた身体が、ワニの血臭に反応して転じて熱に浮かされる。


 身体を冷まそうとした汗がこめかみや首筋を通る感覚は気持ちわりぃ

 汗が出過ぎたのか干乾びそうな喉の渇きに耐えかね、纏わりつく布団を蹴って諦めてふらふらとコップを探した。

 

「ワニのこれのせいで理解力のある強い奴等は来ねーけどよ、お陰で仕事場では臭い言われるわ哀れみの目で見られるわ、肉食系の雑魚がめっちゃ来るわで損な気しかしないんだが」


 生ぬるく感じる水を片手に、胡乱な目で無造作に袋に入れられているワニの片腕を見る。

 汚れと血の匂い漏れ防止のためという、当初の発情期の匂い消しという目的は何処へやら。一応袋に入れたが、この匂いを弱めるためにはもう一袋重ねる必要があるだろう


 あー、分かっちゃいるんだが…

 

 頭だりぃ、もっと冷えた水用意しときゃあよかった

 つか最近まともに食えてねぇ、飯…、でも食欲湧かねぇ…


 腕に巻いた宰相のミサンガを撫でると少し頭の霞や熱が和らぐ気がする。ワニの鱗は未だ使えてない

 

 どうせこのままだとお隣さんから苦情来るか、職場で臭いと怒られるか、匂いで頭がばかになるかのジリ貧だ。少し冷静になった頭で計算し、諦めて袋を用意する。


 正直、鈍った頭でも働く程度には自分でも近付いたらやばいと防衛本能が警鐘を鳴らしている。


 いけるか? いや、いくっきゃねぇか


 意を決して数日ぶりにワニの腕に近付く。むわりと香る血の匂いに、頭がぼんやりする。生温い水を飲んでも余計に渇きが酷くなった喉がごくりと鳴った。

 

「いやいやいや、腹が減ってるとはいえこれが美味そうに見えるとかないわ…、呪いマジクソが…。袋ふくろ…」

 

 目を瞑りながらガサゴソと袋を被せることに集中する。何度か指をもつれさせつつも何とか袋を結べた時には、思わずほう…と深呼吸してしまった。すぐに咽たが


「おっしゃ、これで何とか保ちそうだな。…うぇ、最悪、零れてたのか」


 ふと見たら袋を結んでいた指先に青色が付着している。目を瞑っていたから気付かなかったようだ。自分のでもあるまいし、ワニのだろ

 ふーんと舌先を伸ばして


「って、あっぶねえ!? 待て待て待てどうした自分、落ち着けおい」


 慌てて服で拭う。いやいやいや何自然に舐めようとしてんだよ、どうした大丈夫か!? いや大丈夫じゃねぇか! ワニじゃあるめぇし、お腹空いてるからにちげぇねぇ! 飯、いやその前に水ッ


 ばたばたと生温さも気にせず水をがぶ飲みし、布団に潜る。


 こうなりゃ寝るっきゃねぇ、疲れてるからだろ

 寝て起きたらこの熱も引いてる筈だ…。くそ、ワニが帰ってきたらぜってぇ一発殴ってやる…


 宰相のミサンガをお守り代わりに握った。

 白山羊さんの獣臭い匂いがふぅっと眠りに誘い込む。


 ワニの鱗は使わない

 使えない

 まだ、まだ―――



 眠りに落ちたトカゲの机上で、その時ひときわ強くワニの鱗が瞬いた。





 びちゃっと足元で音がした。

 

 ……音? 


 不思議に思い目を開ける。


「んあ? 目を開ける? 寝てた筈だよな、何か可笑しくねーか…って、はぁ!? 何じゃこりゃ!?」


 目を開けた瞬間、開けたことを後悔する。って何じゃそりゃ!?


 何故か寝てた筈の自分は普段着で外につっ足ってるし、魔界の紫のお空の下にほっぽり出されてるのはまだいい。気付かなかったのは不思議だが、まあそこはいいだろう


 周りを見渡してこの悪趣味さに思わず顔を顰める。匂いは感じねぇが、人形か? それにしては自棄にリアルだが…


 足元に転がった”自分の顔をした死体”から一歩遠のいた。

 左を見たら左側の無いトカゲの死体。上半身しか無いトカゲの死体。右を見たら腹に穴の開いたトカゲの死体。頭部だけない綺麗な死体。手足や身体の向き、服の有無などお構いなしに、山となし、壁となす。


 死体死体死体が両脇にうず高く積まれ、悍ましい血みどろの光景を作り出している。匂いが無いのが救いか。とはいえ気持ちのいいものである筈がない。


 びちゃりと足元で鳴ったのは、泥か、血溜まりか

 濁った黒目で天を仰ぐ自分の死体を見てため息。


「あー、胸糞悪ぃ、天を仰ぎてぇのはこっちだっつの。ったく何処のどいつだ? 見つけたらとっちめてやりてぇが、正直関わりたくもねぇしなぁ。つーか、よく見たら全部微妙に似てねぇし」


 最初は気分が悪いので目を細めて見ていたが、魔界で死体慣れしているので適応は早いと言えば早い。

 よく見たら顔の造作や目や髪の色や体型が微妙に全部違うようだ。

 ふん、と鼻で笑う。


「このトカゲ様をマネるならもっと美少女にして丁重に扱えよな。つーかこの状況、とうとう本物呼び出して殺す気か? こいつらと同じ様に殺されたくねぇが…さて、どうするか」


 胸糞悪い血だまりを蹴るが感触はない。変な世界に連れ込まれたもんである。

 ここで動きがあるまで待ってもいいが、時間制限で戻れるのかも分からねぇし、飢えて死ぬのかも分からない。何よりまずこんなこと仕出かしてくれた奴を一発殴らにゃ気が済まねぇ


 しいて幸運なことを述べるなら、体調だけは久しぶりに全快という点か。気分は最悪だが


「よし、探し出して後ろから顔を見る。雑魚そうなら殴り飛ばす。強そうなら後でワニにチクる。ヤバそうなら死体のフリする。完璧だな」


 完璧なる作戦方針が決まったので、自画自賛しつつ歩を進める。


 正直こうでもしなけりゃやってらんねぇ

 恨みも買うようなことはそりゃあったが、ここまで恨まれるとはなぁ

 自分の死に顔なんて見るもんじゃねぇな

 マジ気の重くなる赤い景色ばかりだ


 延々と続く自分の死体ばかりの道を歩いていると、ドオオンという轟音と共に地面が揺れた。

 

「うげ、潰れるッ」


 両脇の死体の壁が崩れ、どさどさと降ってくる中に押しつぶされる。


 重くはないが動けんっ、あーもう自分邪魔だ!!


 じたばたもがいていると、上から影が差す。

 不思議に思い動きを止めて見上げると、逆光の中いきなりぐいっと引っ張り上げられた。


「どんくさいトカゲだなー」

「んお!? 助かった…ってワニか?! 久々に会ったっつーのに、いきなりてめぇなんつー言いぐさだ」

「お―よく出来てるなー」

「? てめぇ、ワニ何言って…」


 危ねぇ敵も居るし、会って言ってやりてぇこともあったから引っこ抜いてくれたのがワニなのは助かったが、随分な言いぐさである。


 文句でも言おうとしたが、いつもと態度や雰囲気が違う。うすら笑い? なんだ?様子が…


「ちょっと待っててくれなー」

「お、おう?」


 思考途中で担がれてワニが跳ぶ。胃の上がる感覚は無いが、つい反射で目を瞑ると、次いで目を開けたら白い花畑の中にゆっくりと降ろされていた。

 

 周りを見渡すと、先程までの死体の山や血だまりの光景が嘘に思える。


 んあ?この花何でこんなとこに咲いてんだ?

 不思議に思い毟っていると、ワニが歩き出していた。


 ぶちぶち毟ったのを手に持ちつつ、慌てて後を追う。普段は勝手に付いてくるのでワニの背中を見るのは変な感じだ。


 変な気分を抱えつつ視線の先を見ると、そこにはこの花畑の中部屋の様な大きさの違和感抜群のでかい鳥籠があった。

 

 なんだありゃ


 異様な雰囲気に立ち止まるが、ワニは気にせずどんどん近付いていく。

 近寄れずに遠目で伺うと、中で何かが動いた。

 鳥籠の中に入ったワニに近寄る人影。


 んあ? な、まさか


「ワニおかえりー。何してたんだ?」

「おー、ちと野暮用でなー。トカゲは何してたんだー?」

「ワニのこと考えてた」

「そりゃ嬉しいな」

「だろ?」


 おいおいおいおい


 目の前の光景に一瞬で鳥肌が走る。

 トカゲと似たような人型が、トカゲが浮かべないような笑顔で、トカゲが吐かないようなセリフを吐き、トカゲが出さないような猫なで声でワニにすり寄るのだ。

 

 悪夢の様な気味の悪さと、今の現状が繋がる。

 純白の衣装を纏う自分。

 ワニが尾を一つ打ち鳴らした。


「トカゲー」

「何だワニ?」

「その衣装はどうだー?」

「気に入ったぞ。早く結婚しようぜ?」

「…そうだなー」


 まるで心から望んでいるかのような笑顔でトカゲがワニに抱き着く。

 手を下ろしたままのワニが、抱きしめ返さずに小さく尾を揺らした。 


「ワニ好きだぞ」


 ワニがまた小さく尾を鳴らす。

 自分じゃ絶てぇ浮かべない笑顔の前で、ワニが俯く。ここからではワニの背中しか見えない。


「トカゲー」

「何だワニ?」


 こてりと小首を傾げたトカゲの頬へとワニが手を伸ばした。

 鉛を吐く様に、零す吐息と共に小さく紡がれる。


「愛してるぜー」


 何故、聞いてて胸が痛いのか

 思わず目を逸らしたくなっていると、伸ばされたワニの手に軽く手を添えたトカゲが笑顔で軽やかに答えた。


「おう、勿論愛してるぞ」

「…そうかー」

「そりゃ当然だなー。なぁワニ、今日はどんなん持ってきたんだ? 何でも喜ぶぞ」


 可愛らしく両手を広げたトカゲの前で、ワニが首を振った。

 

「いや、今日で終わりだ」

「そうなのか」

「そうだ」


 そんなワニの前で、反論するでもなく不気味なほど静かに納得するトカゲ。

 瞬間、先程までの親しい笑顔が貼り付けた仮面だったかの様にストンと消え失せた。

 

「何だ、貢いだら貢いだだけ笑顔を見せる素直なトカゲはもういらないんだな」

「…」

「新しいワニを慰める生贄が見つかって何よりだよ。で、次はどんな自分トカゲ自分てめぇを慰める」


 無表情から一転してケラケラと侮蔑の笑いを零すトカゲ。

 目が合った気がした。

 反響し歪む様な高音が空間を侵食して響き渡る。

 ケラケラ、ケラケラケラケラ――――…


 赤い血飛沫が周囲に飛び散り、鳥籠が一瞬で砂と化して風に溶けた。

 ころころと首だけが足元へと転がってくる。

 指先を赤く染めたワニが振り向いた。

 一歩引いた足元で白い花びらが舞う。

 

「似過ぎたのは作らねーようにしてたが、似過ぎてねぇのも空しくなるだけだなー」

「ワニ、お前…」


 何かを言おうとして、何も言う言葉が見つからずに口をつぐむ。


 虚ろで、それでいて焦がれる様な余裕のない目。

 混乱する。


 何でだよ、何でお前がそんな目をするんだよ

 混乱させんなよ


 うろたえた瞬間足元の切り取られた筈の生首から哄笑が響いた。

 耳障りな高音だ。それでいて、よく響く。

 首だけの自分がケラケラと笑った。


「そりゃそうだろワニ、この人形トカゲはてめぇの分身なんだからお前が望むなら耳障りの良くて腹で腐る言葉しか吐かねぇよ。いや、吐かせねぇ、か? そりゃ本物にはどう足掻いたって拒絶されるだろうしなぁ!」

「おーそうだなー」

「開き直るなよワニ。こんだけ夢で犯して喰らって縋って弄んで好きにトカゲで遊んでる癖に、しけたツラとは舐めた態度だなぁ。てめぇの発情期と不甲斐なさの発散に付き合わされるトカゲが哀れに思わねぇのか? 減るどころか増え続けやがって一体何人てめぇのエゴで殺した?」

「所詮俺の作った偽物だろー? 俺のトカゲはトカゲだけだからなー」


 目を細めたワニが答えれば、トカゲの生首がハッと鼻で笑う。

 悪夢の様な光景に、鈍い頭がようやく理解した。


 そうか、ここはワニの夢の中か


「愚かなワニめ、誤魔化せると思ったか? この人形もワニだぞ? 積み上げた死体を消せもしねぇ罪悪感の塊抱えながらスカしてんじゃねーよ」

「今日のトカゲはよく喋る方だなー」

「喋らせてる、だろ? 冷静になりてぇからってトカゲの力借りてんじゃねーよ。薄汚ねぇ手でトカゲに触って狂って壊す前に死ね。夢と現実が混ざり始めてるてめぇに未来はもう見えてるだろ」

「おー言われずともなー」

「ハッ、分かってんならいい。一緒に居れるなんて夢見んじゃねぇ、堕ちるのが早くなるだけだ。トカゲの呪いだけ解いたらガタのきたお前はお役御免だ。保った方だろ、全部終わったらこの死体にしたトカゲも、本物のトカゲも最期くらい笑顔でよくやったって褒めてくれるだろうぜ」

「そうか、それなら…いいなー…」


 足元で囁く生首の目が光を失い沈黙する。

 天を仰いだワニがぽつりと呟いた。


「あー…、トカゲに会いてぇなぁー…」









 ああーっっもう!!! クッソ!!!


 内心で地団駄を踏みたくなる。

 わっかんねぇ、わっかんねぇけど

 毎度毎回何でこいつは腹の立つ事ばっかすんだ!?


 何に腹が立ってんのかすぐに分かんねーけどこれだけは分かった。


 拳を握る。

 ぐしゃりと花が潰れる。



「おいワニ!!」


 最初は小走りに、次いで勢いをつけて


 きょとんとワニがこちらを見る。


「言いてえことは多々あるがよ、まずは――――一発殴るって決めてたんだよ!!」


 高く飛んで怒号と共に右拳を叩きつければ、今日、初めてまともに目が合った気がした。








 




 

 トカゲさん渾身のフルスイングでした☆


 最初はトカゲさんが襲われるルートもありましたが何故か最終殴ってました(あれー?←


 現実ワニさんは地味に全然ぶっちゃけてくれないので、ワニの両親さんに外から見たワニの内情ぽろりルートもありましたが、トカゲさんをワニさんの赤い夢へご招待ルートに

 不意打ちなのでワニさんはもう少し喋ってくれそうですよ☆

 

 えろ?なにそれおいし…(以下略

 次話もよろしくでさ☆主導権はどっちが取れるかな


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