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魔界食肉日和  作者: トネリコ
魔界編
21/62

21、酸性雨

 



「いいかワニ、我々は感謝しなければならない。日々生活していられる恵みを忘れ、驕り高ぶって環境を破壊し続けているという現状に気づき今こそこの手でその悪辣なる環境破壊の負の連鎖を断ち切る一員としてだな」

「トカゲー、つまりなんだー?」

「魔界の酸性雨マジぱねーってことだ」


 じゅわーと目の前で食料予定であったウサギが雨に打たれて溶けてゆく。

 罠で捕まった時点で死んでたのがせめてもの情けであろう。

 一瞬で骨と化した。

 あ、いや骨も無くなった。

 へっていた腹がなんかもたれるぐらいにはグロかった。


 あーあ、折角の晩飯が


「天気予報死、最近ハズレばっかじゃねー?」

「トカゲあんなん信じてんのかー? かわいいなー、結婚しようぜー」

「却下。ワニは酸性雨当たっても平気だろうが、こちとら流石に死ぬからな」


 必死である。必ず死ぬのだから必死にもなろう


 ゲリラ豪雨なら即死亡。

 小雨ならギリ生きれるが、何が悲しくてゾンビの様にただれては回復してを繰り返さにゃならんのだ。


 しかもハゲ状態を見られるとか超ハズい


「あー、当分ここで待つかなー。ワニ先帰っていいぜー」

「暇だし此処にいるわー」

「隊長が暇っていいのか?」

「俺が出るとすぐ終わっちまうしなー」


 むしろ来んなと仲魔から言われているらしい。

 笑える。

 冷えてきたのでウトウトしているとずりずりと尻尾でワニの方へと引き寄せられた。


 せめて手を使え、横着しやがって

 

「ワニ、お前枕な」

「おー、了解」

「動くなよ」

「おー」


 言質は取ったのでワニのあぐらのとこによじ登る。

 毎度無駄にでけーわと思っていたが、壁枕とするには丁度いい。


「おいヨダレ雨はいらん」

「おー、すまん」


 妙にさっきから湿気ると思ったら酸性雨の方ではなかった。

 酸性雨のせいで目がパチパチするし鼻水が止まらんから気づくのが遅れたのである。


 マジどっちの雨も嫌すぎるわー

 痛いのは自分だけだが腹いせにげっしげっしと殴り、晴れた空を眺める。


 そう、今回の酸性雨の原因は、つまり九尾の嫁入りである。

 尾数が小さいほど小規模、短時間の小雨となり、尾数が増えるに従って時間と雨量が増す仕組みだ。

 ちなみに興味本位で「力使って疲れるだけじゃね?」と妖狐族の人に聞いた時の会話がこれである。


 「見栄もあるのよねー」

 「ふーん、やっぱそういうもんかー」

 「まあでも妖狐族としては憧れちゃうわよー。あれって旦那様との初めての共同作業なのよねー。尾数の少ない方に普通合わせてて、その時の雨で刈り取れた命が多ければ多いほど幸せな結婚生活になるのよー。はあ憧れちゃう」

 「え、あれって命刈り取るためにやってんの? 魔王様許可しちゃったの?」

 「そこは伝統文化でゴリ押しよ。人間界でも焼き畑とかあるでしょ。実際雑魚は適度に淘汰されるし、妖狐族は運が良ければ尾数増やせて効率よく戦力増やせるしで上手く出来てんのよー」

 「うわー、雑魚としてはたまったもんじゃねーな」


 つまり今回のゲリラ豪雨具合といい、長雨といい、九尾同士の結婚だろうなーとわかったのである。


 書物に載るレベルのレアさだが、生憎命掛かってるんで他所でやれとしか思えねえ

 本狐達は能力的には雨降らしてるだけなんだが、魔界のせいで変な化学反応起こして酸性雨になるからな

 酸性雨になると分かっていてやられるからマジたまらん

 お、光った

 雷が確かクラッカーだったか

 妖狐族の結婚式は盛大だな


「トカゲ何見てんだー?」

「ワニ見ろよ、雲に影映ってんぜ。ひーふー…、やっぱ九尾かー」

「旦那の方は知り合いっぽいなー、アイツもとうとう結婚したかー。トカゲは式は盛大な方が好きかー?」

「お前とはしねえからな。あーでも堅苦しいのは苦手だしこじんまりしたのが好みだなー」


 妖狐族のは復讐しに来た奴等と戦い合って生き残るまでが共同作業らしい。

 さすが魔界、バイオレンス


「そうかー。うまいなー、結婚」

「だからせめてまず食うのは後にしろ」


 もっしゃもしゃと髪を食まれつつうとうとする。

 もう暫く止みそうにないし、此処で少し寝ておこう


「トカゲ寝るのか?」

「ん、晴れたら起こしてくれ」

「おー、おやすみ」

「やすみ」


 疲れていたのですぐに眠気はやってきた。









 





ワニ「なー、こじんまりした結婚ってどんなだー?」

鳥「その種族の結婚式が妥当じゃないっすかー?」

ワニ「そうだなー」


蜥蜴族の結婚式:大抵のパターン:100歳差なら10人分の餌(ウサギ8、人間2でもいい)を用意して送る。(若くて健康なメスを貰うんなら常識だよな!)ただしそれぞれ10代20代30代…としていかねばならない。(バリエーションを揃えて嫁のご機嫌を取ろう!これで嫁の好きな歯ごたえ具合がわかるぜー!)しかし大抵年代のことを考えると、餌となるのは短命のウサギやら、長命ではあれど強い魔族、魔物とかよりも、弱くてわりかし長生きな人間が餌対象の場合がほとんどである。

 つまりトカゲ涙目。


次話「絶滅危惧種ぬーぬー」お楽しみに~

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