18、嫉妬した
「うっぜー、アイツ雑魚雑魚うぜーんだよなー」
「おー、トカゲどいつだー?」
「ワニか、あれあれ」
ワニが後ろから覗き込んで来るので指差す。
何が大鷲族のエリートだ
同期の癖に高給取りになりやがって
クッソ、あの無駄にばっさばっさした羽毟って布団に詰めてやりてえ
しかも後輩の女子にモテやがるし
くっそー
僻み過ぎてムカつくので弱点見つけて脅すことに決める。
とりあえず尾行するか
「おい、ワニ行くぞ」
「トカゲどこにだー?」
「アイツの尾行だ。あんなナルシストがモテるなんておかしい、ぜってーヤバイ薬使ってモテてんだ」
「トカゲってバカだよなー」
「あ? 何か言ったか?」
城下町まで下りるのを追う。
やはり我が尾行は完璧なのだろう、全く振り返らないし気付いてなさそうだ。
ふっ、ワニも気付かなかったしな。尾行の才能があるのかもしれん
いや、どっちもバカなだけか?
お、珍しくこのケーキ屋並んでねーじゃん
てかワニどこだ
「ワニいんのか?」
「おーいるぞー」
「うお、居たのか、さっきまで何処居たんだ?」
「ずっといたぞー、気配消してたんだよ」
「はー、気配って消せんのな」
ワニの巨体ですら分からんくなるとは、気配消しってすごいようである。
まあ我が尾行の才には及ばんだろうが
てか大鷲野郎どこいった
きょろきょろ探すが見当たらない
くそ、逃げられた、ワニのせいだ
「ワニが気を逸らすから逃げちまったじゃねーか」
「トカゲ怒んなってー」
「けっ、まあいい、ケーキ食って帰ろうぜー。ワニ持ちな」
「おーいいぞー」
しゃーないので隠れていたケーキ屋に入った。
奢りなので全制覇してきた。
うまかった。
次の日、今日こそ現行犯逮捕してやらあと息巻いていたら大鷲野郎が無断欠勤していた。
それ以降姿を見ない。
どうやら我が尾行によって犯行がバレル前に逃げたようである。
「トカゲどうしたー? あくどい顔だぜー? 結婚するか?」
「しねえ。いや、雑魚にビビった大鷲を笑ってやってんのよ」
口ほどにもねえ
ふっはっはと高笑いして仕事に戻った。
今ならワニに昨日ケーキごとあーんされた腕の恨みも忘れてやさしくできそうである。
ふんふんと去ったその場でワニは呟いた。
「羽多いと食いでないよなー」
トカゲで口直し
「トカゲの視線独占とか許せねーよなー」
マジ周囲に迷惑な奴等である
ちなみにトカゲがワニいんのか?と聞く直前まで大鷲さんを食べに行ってていなかった。
残念ながらトカゲさんに尾行の才も気配察知の才能もない。雑魚なので(おい




