15、強制冬眠
「おーい、ワニ寝てんのかー? 死んでんのかー?」
「トカゲかー、生きてるぞー」
「ちぇー」
どうやら冬眠させ作戦も失敗のようである。
折角わざわざ見に来てやったのに甲斐のねぇ奴だなぁ
てかおい、寝起きで腕食うんじゃねえ
ぶっしゃーと治していると、ベッドに篭もったワニはまた布団に潜った。
どうやら地味に効いていたらしい
得た金で魔術師買収して部屋の温度さげさせて良かったぜ
めっちゃ魔件費高かったがな! あいつら足元見やがって目ん玉飛びそうな位高かったがな!
三日雇ったからまた金欠になったがな!
だがこの鈍さなら当分静かになるだろう
ひゃっほい!
「ワニ、大人しく寝とけよー」
「トカゲ心配してくれるのかー。おー、そーするわ」
しめしめと思って今後の平穏ハッピーライフを妄想していると、音も無くワニの尻尾が腰に絡まった。
なっ、やめろ離せ!
「おいワニ、離せ! 何だこれ!」
「んー、おー」
「おい寝るな! 起きろ! 立つんだワニ!」
「んー、うまい」
「食うんじゃねえ!」
結論を言うと寝起きのワニに踏まれるわ食われるわ散々だった。
解放されたの三日目だしな
飢えすぎて死ぬかと思った
もう二度とやらん
バカが更にバカになる
ワニは好きに食って寝たからツヤツヤしてるしよ
気に入ったのか、それ以来時折腰に伸びてくる尻尾を本で叩き落しつつ思うのであった。
「ワニ離せ」
「んー、かわいいなー」
「うっぜー」
するりと衣擦れの音と腹への圧迫感
無視して本に集中した




