13、手料理
「トカゲ好きだー、結婚してくれー」
「断るがこれはくれてやる」
「まじか!?」
特大おにぎりを投げつける。
うおおーと喜んでいるワニ。
ふっ、尾行によってお前の食い意地の悪さは完全にわかってんだよ!
ん? 尾行せずとも知っていたか?
ま、まぁいい
呑気に浮かれてやがる。
まあ初の手料理だしな。毒入りだが
それに見た目は綺麗だしな。毒入りだが
ちなみにこれでも料理は上手い方である。
ほら、我が消化器官よりも食材の方が大抵強いからな
上手くならないと日々の食事に困るのだ
「ワニ、残さず食えよ」
「トカゲもちろんだ!」
威勢のよい声と共に一呑みで消えるデカにぎり。
五十cmはあったのにコイツマジやべーな
その食欲の旺盛さにビビりつつもほくそ笑んだ。
ふはは! 腹の中から腐敗していくといいわ!!
ハーピーの毒の爪と超凶悪な墓場の番人ことドクロさんイチオシのゴースト入りだぜー!
呪詛られろ!
「トカゲこれまじーぞ」
「ワニ、命乞いか? ふっ、流石のワニもヤバイか」
腹を撫でているワニ。
もう付きまとわんと約束するなら解呪してやってもいいぜ?と言おうとした瞬間ワニがゲフーと白い煙りを吐き出した。
その煙りからぎゃああーという悲声が聞こえ、やがてぽふんと消える。
は?
思わず自分の目と耳を疑い、呆気にとられながらワニに呆然と聞く。
「ワニ何したんだ?」
「おー、間違って入ってたから消化しちまった」
「お前聖属性持ちかよ! 魔族だろ!」
「龍入ってるしなー」
おかわりーとうるさいワニの前に膝をつく。
クッソ、万人殺しの癖に聖属性持ちとかクッソ! 何で腹の中でゴーストを浄化出来るんだよこのバグワニめ!!
私なんて無属性だぞクッソ! 一個位能力わけろよ!
あ? てことはワニが言った「まじーぞ」って味のことか?
ムカツクわー
「トカゲ結婚したら俺が作ろうかー?」
「ワニうっぜ、私のが美味しいですからー、うっぜー」
「確かにそうだなー」
くっそー、次はもっと毒入れてやると思っていたら目の前にワニが立った。
嫌な予感しかしない
「トカゲ口直し」
「ワニマジやーめーろーあー」
「トカゲ自分のがうめぇって勧めてきたろー?」
「意味ちげーわこのバカ!」
今日も今日とてはいぶっしゃー
やっぱりもう二度と作らねーと思った。
が、味をしめて催促が定期的に来るようになった。
ワニうっぜー
「ドクロさんごめーん、前の消化されたわ」
「ん? 聞き間違いか?」
「ガチ。ワニだし」
「ワニか」
「てことで更に凶悪なんない?」
「それなら…」
ドクロさんが骨の手を横に振った。
途端にズラリと人玉に取り囲まれる。
「前のより弱くね?」
「こいつらさっさと浄化されたがってんだよ。落ちこぼれだし頼むわー」
「1魂1魔円ね」
「金取るのかよ。てか高けーわ、半額な」
「オケ」
トカゲは雑魚魂をゲットした。やったね!




