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魔界食肉日和  作者: トネリコ
魔界編
13/62

13、手料理

 



「トカゲ好きだー、結婚してくれー」

「断るがこれはくれてやる」

「まじか!?」


 特大おにぎりを投げつける。

 うおおーと喜んでいるワニ。


 ふっ、尾行によってお前の食い意地の悪さは完全にわかってんだよ!


 ん? 尾行せずとも知っていたか?

 ま、まぁいい


 呑気に浮かれてやがる。


 まあ初の手料理だしな。毒入りだが

 それに見た目は綺麗だしな。毒入りだが


 ちなみにこれでも料理は上手い方である。


 ほら、我が消化器官よりも食材の方が大抵強いからな

 上手くならないと日々の食事に困るのだ


「ワニ、残さず食えよ」

「トカゲもちろんだ!」


 威勢のよい声と共に一呑みで消えるデカにぎり。


 五十cmはあったのにコイツマジやべーな


 その食欲の旺盛さにビビりつつもほくそ笑んだ。


 ふはは! 腹の中から腐敗していくといいわ!!


 ハーピーの毒の爪と超凶悪な墓場の番人ことドクロさんイチオシのゴースト入りだぜー!

 呪詛られろ!


「トカゲこれまじーぞ」

「ワニ、命乞いか? ふっ、流石のワニもヤバイか」


 腹を撫でているワニ。

 もう付きまとわんと約束するなら解呪してやってもいいぜ?と言おうとした瞬間ワニがゲフーと白い煙りを吐き出した。


 その煙りからぎゃああーという悲声が聞こえ、やがてぽふんと消える。


 は?


 思わず自分の目と耳を疑い、呆気にとられながらワニに呆然と聞く。


「ワニ何したんだ?」

「おー、間違って入ってたから消化じょうかしちまった」

「お前聖属性持ちかよ! 魔族だろ!」

「龍入ってるしなー」


 おかわりーとうるさいワニの前に膝をつく。


 クッソ、万人殺しの癖に聖属性持ちとかクッソ! 何で腹の中でゴーストを浄化出来るんだよこのバグワニめ!!


 私なんて無属性だぞクッソ! 一個位能力わけろよ!

 あ? てことはワニが言った「まじーぞ」って味のことか?


 ムカツクわー


「トカゲ結婚したら俺が作ろうかー?」

「ワニうっぜ、私のが美味しいですからー、うっぜー」

「確かにそうだなー」


 くっそー、次はもっと毒入れてやると思っていたら目の前にワニが立った。

 嫌な予感しかしない


「トカゲ口直し」

「ワニマジやーめーろーあー」

「トカゲ自分のがうめぇって勧めてきたろー?」

「意味ちげーわこのバカ!」



 今日も今日とてはいぶっしゃー


 やっぱりもう二度と作らねーと思った。

 が、味をしめて催促が定期的に来るようになった。



 ワニうっぜー







「ドクロさんごめーん、前の消化されたわ」

「ん? 聞き間違いか?」

「ガチ。ワニだし」

「ワニか」

「てことで更に凶悪なんない?」

「それなら…」


 ドクロさんが骨の手を横に振った。

 途端にズラリと人玉に取り囲まれる。

 

「前のより弱くね?」

「こいつらさっさと浄化されたがってんだよ。落ちこぼれだし頼むわー」

「1魂1魔円ね」

「金取るのかよ。てか高けーわ、半額な」

「オケ」


 トカゲは雑魚魂をゲットした。やったね!



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