12、尾行してみた
「えーっと、ワニが盗人を捕まえる。食べる、と」
城下町まで尾行してみてるが、こいつ食ってばっかである。
てかよく言ってた朝飯って犯罪者のことだったのだろうか
呆れながら尾行を続ける。
どうせなら弱点を一個くらいは掴みたい。
前回の逆鱗のは反応イマイチだったしな
「お、美人がいる」
あの露出度、サキュバスに違いない。
てかやっぱキュバクラ行ってんじゃねーか
ふっ、アイツがモテるとかやっぱありえねーよな
恥ずいから見栄張ってたんだろーな
別に勝ちはしてないが勝者の余裕で生温かい目を向けていると、ワニのごつい腕にキュバ嬢が腕を絡めた。
何か言っている。客引き文句だろう
ワニならついて行きそうだ
てかうわ、何だあの脂肪、ワニ羨まし―――
嫉妬の炎を上げていると、一瞬の間にボンッとキュバ嬢が消えた。
キュバ嬢 永 眠
「はあーっ!?」
マジないわ
マジありえんわ
アイツどんだけ初心なんだよ!!
なんで照れたら食うんだよ!!
バカだろ!いやバカだったか!
尾行にもてんで気づかねーし!
私でも分かる人型の貴重な美人減らすんじゃねーよ!!
殺意が湧いてると、ご機嫌なワニがふんふんと次の場所へと歩き出した。
腹満たされてご機嫌とか、こいつの頭は花より団子超えてんだろーな
うん、モテるわけねー
とりあえずワニは色気より食い気だと掴んだので、今度は手作り料理に毒入れてみることにした。
なんか時々見るワニの部下的な鳥族も来たし帰ろ
「隊長やけにご機嫌っすねー」
「おー、あれ見てみろよ、トカゲが嫉妬して俺に着いて来てんのよ」
「ほんとだ、隊長やったじゃないっすかー」
「この前なんかトカゲから押し倒してきてなー」
「それもうイケますって。この前言ってたマンネリ化も無事乗り越えたんすねー」
「おー、血が出るくらい興奮してたぞー」
「よかったっすねー」
(鳥が戦場デートの原因)
「それよりもキュバ嬢ファンがキレますし、食うのはやめて下さいよー」
「しつこいしトカゲが貧相だとか喚くし、折角トカゲから触った腕に触ったんだぞ? 食う以外あるかー?」
「あー、じゃあ仕方ないっすねー。まあ新人だったし客も少ないっしょー。力も無いのに無知は罪、自業自得南無南無」
「お? いねーな、トカゲのとこ行ってくるわー」
「隊長押せ押せガンガンっすよー」
「おー」
(やはり鳥のせい)
鳥「鳥族は押せ押せガンガンのコマンド一択っすよー。毎年結婚と離婚するんで」
卵生らしい
ちな、キュバクラはサキュバスがキャバ嬢をしているキャバクラの意味である




