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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第四章 ナディア様の誕生日

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70.プレゼントについて話す二人について

 さて、ヴァンがディグの弟子になってからそれなりの月日が経過し、あと二か月ほどでナディアの誕生日――ヴァンの社交界デビューが訪れようとしていた。

 「ねぇ、フロノス姉、女の子って何をもらったら嬉しいの?」

 そんなある日の事だが、フロノスとヴァンはいつものように『火炎の魔法師』の弟子として自身を磨いていた。そんな中でヴァンの口から飛び出てきたのはそんな言葉であった。

 「……それって、ナディア様にあげるものってこと?」

 「うん。師匠が、今の俺の立場ならナディア様にプレゼントあげてもいいって。寧ろ社交界デビューがナディア様の誕生日パーティーの時だから上げない方がおかしいって言われた」

 「そうね。ディグ様の弟子としてあげても問題はないわ」

 フロノスはそう答えながらも思考する。

 (ヴァンには話はいってないけれど、ディグ様と陛下の間ではナディア様とヴァンを結婚させるっていっているし。だったら……、仲の良さを見せておく方が良いだろうし)

 ヴァン本人には伝えていないらしいが、ほとんどそれは決定事項となっている。ナディアも満更ではない様子であるし、ヴァンはナディア以外興味ないのだからそんな風に収まるのが一番良いだろうというのがフロノスの見解である。

 「それで、何をあげたら喜ぶかな?」

 「ヴァンが心を籠めて選んだものなら何でも喜ぶと思うわ」

 「……それ答えになってない」

 「そうね、アクセサリーとかも良いと思うわよ?」

 と、答えたあとでフロノスは王女という身分で高価なアクセサリーももらいなれているナディアにそんなものをあげてもという考えにも至った。

 「んー」

 フロノスの言葉にヴァンは悩んだ様子を見せる。

 「どうしたの?」

 「……アクセサリーをあげるなら、手作りでもいいかな?」

 「手作り?」

 「うん。ガラス細工のものなら実家に帰れば作れるから」

 「あー……そういえばヴァンってそういう家の生まれだっけ」

 そういう話をディグから聞いてはいたが、正直フロノスからしてみればこんな規格外な存在が平然と王都で暮らしていたといわれても実感がわかないものである。

 フロノスにとって現在、ヴァンという弟弟子の存在はいて当たり前となっていた。つい最近までただの平民として、ガラス細工職人の息子として生きていたなどとはどうしても信じられない。

 「俺、ちょっと、師匠のとこいってくる!」

 「え、なんで」

 「実家かえっていいか聞いてくる!」

 「行動はやいわね!?」

 「だってナディア様にあげるものを作るっていうなら、最高のものをあげたいから」

 ヴァンは全くブレない。ナディアのためなら相変わらず他はどうでもいいらしい。そしてナディアの事に関してのみを言えば、妙に行動力がある。

 「ディグ様は出かけているでしょう。帰宅するまでは待ちなさい」

 「え、でも師匠の場所はわかるから乗ってけば……」

 「……召喚獣に乗っていくなんて目立つ事はやめなさい。そして落ち着きなさい。焦っても仕方がないでしょう」

 はやくナディアへの誕生日プレゼントを作りたいのだろう。急いでディグの元へ向かおうとするヴァンの事をフロノスは止めた。

 第一、ヴァンを一人で行かせてしまえばどれだけ目立つことか。そしてただでさえ、ヴァンへの関心が高まっている中でそんなことをすれば、貴族たちに囲まれてしまうことであろう。

 姉弟子としてそういう事態は避けたい。

 「でも、ナディア様への――」

 「……それはディグ様がかえってきてから考えればいいでしょう。とりあえず私たちが今すべきことはディグ様に言われた事をこなすことだけよ」

 「………今いくのダメ?」

 「ええ。ダメよ。それにそんなことをしたらディグ様に怒られるわ。ナディア様にも迷惑をかけることにもなるかもしれないわ」

 「……ん、わかった。師匠がかえって来てから聞く」

 フロノスはヴァンの扱い方が上手になっていた。圧倒的な力を持っており、王族とも懇意のヴァンにこんな扱いを出来るものはそうはいない。

 (っていうか、ヴァンって今まで実家が近くても一度も帰る気配なかったのにナディア様の誕生日プレゼント作るためだけに帰るとか……。本当にどれだけ周りに興味がないのか)

 ヴァンは周りに対する関心が薄すぎる。

 至近距離に実家があるのに、帰ろうと考えた事はなさそうだ。加えてヴァンが実家の話をするということも全くと言っていいほどフロノスは聞いたことがなかった。

 「フロノス姉、ナディア様にどんなアクセサリーがいいかな?」

 「……自分で考えなさい。そして集中しなさい」

 そんなわけでディグがかえってくるまでの間、ヴァンはフロノスに色々相談を持ちかけるのであった。



 そしてディグが帰ってきた途端、「師匠、俺実家かえっていい?」と説明もなしに問いかけ始めるのであった。





 ――プレゼントについて話す二人について

 (ガラス職人の息子は王女様への誕生日プレゼントについて姉弟子と話す)




四章開始です。



逆お気に入りユーザー5000人突破記念というわけで、活動報告でリクエスト募集しています。

リクエストのものかけるのは大分先になりますが、やってみたくなったので。

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