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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第三章 王族たちとの交流

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44.ヴァンの噂について 下

 ヴァンには様々な噂が流れており、それゆえに様々な人間に興味を持たれている。

 様々な人間というのは、王族、貴族、平民、全ての人々だ。ヴァンが魔法棟から外に滅多に出ないのもあって、噂は広がりつつある。

 ナディアの兄である二人と姉である二人も、その存在に対しての噂を聞いていた。

 「――――ディグ・マラナラの弟子ねぇ。兄貴はどう思う?」

 「………どうといわれても、現状ではわからないな。ただ、その少年はナディアに近づいているという話は聞いている。父上も何を考えているのか」

 第二王子であるライナスの言葉に、王太子であるレイアードはそう答えた。

 ライナスは公式の場以外では、正直平民と間違えられても仕方がないようなざっくりとした口調をしている。

 二人は正妃の息子であり、王太子と第二王子という立場のため、離れの三の宮に住まっているナディアとは違う王宮の中心部に部屋が存在する。この場には侍女たちはいない。話をするために二人が下がらせたためだ。変わりに護衛の者は二人ほど居る。二人の王子の信頼を得ている護衛であり、側近のため、二人の会話には口出しをしてこない。

 「ナディアがパーティーでいっていた、守ってくれる騎士様がいるって話も気になるよな」

 「そうだな。そもそもそのナディアのいう騎士様が何かをしているにしても、ナディアに聞いても秘密ですと言われてしまったし。悪い存在にでもだまされているのではないかと、気が気じゃない」

 「兄貴も心配性だな。ナディアは騙されるほど軟じゃないだろうに」

 「でも、ナディアはこの王宮からほとんど出たことがないんだ! 心配にもなるだろう。ライナスは可愛い妹が心配ではないのか!」

 レイアード・カインズの総合的に見た評価といえば、王太子として相応しく、彼が王位を継げばカインズ王国は安泰であろうといわれている。その見た目も美しく、完璧といわれている。

 が、そんな王太子様が妹の事を心配している。

 ――――レイアード・カインズは完璧な王太子であるが、長男という事もあって妹と弟をそれはもう可愛がっている。

 母親が亡くなっていることもあり肩身の狭い思いをしているナディアの事を一番気にかけていたりもする。他の二人の妹は母親が生きており、それなりに交流があるわけだが、ナディアはほとんど公式の場にも姿を現さずに、それでいて会う機会があまりないのである。

 だからか、レイアードはナディアに対して心配でならないらしい。

 「うーん、まぁ、しかし、ナディアにそういう騎士様が居るにしても、あのディグ・マラナラの弟子は関係していると俺は思う。ナディアによく会いに行っているって話だし」

 「……とりあえずもう少し彼について調べてみるか」

 一応、この二人もナディアに近づいているというヴァンについて調べてみた事には調べてみたのである。

 ただし、あまり詳しくよくわからないのである。

 突然、どういう経緯かわからないが、ディグ・マラナラが弟子として連れてきた王都のガラス職人の息子で、王都の人々の評価は『平凡な少年』でしかなく、新聞にも大きく載るほどの功績を残したことに驚きを隠せない様子であった。

 ヴァンの噂は出回っているものの、どれが本当でどれが偽りなのかよくわからないところがある。

 大量の召喚獣を従えているとか。

 ドラゴンを退治したのは実は別の存在で功績を上げるために成り代わったとか。

 実は大貴族の隠し子とか。

 魔法の腕はディグ・マラナラに並ぶほどとか。

 そういう噂だ。正直真偽もわからない。

 ナディアの元によくいくという話も出回っており、その理由も色々噂されているものである。

 第三王女であるナディアに懸想しているとか。

 謁見の場にいたナディアに一目ぼれしたとか。

 第三王女であるナディアの子飼いだとか。

 そういうものである。

 どちらにせよ、妹が可愛いレイアードからしてみれば、妹に近づく悪い虫がどういう人間なのか気になっていた。

 しかしディグ・マラナラは貴族たちがヴァンに興味を示していても、『まだ公式の場に出せるほどの作法が出来ていない』とそれを拒否している。もうしばらくすれば、正式に公式の場にもディグ・マラナラの弟子として顔を出すことになるだろうが、レイアードはヴァンがどういう人間なのか心の底から気になっていた。

 「ナディアの事もだけど、あのディグ・マラナラの弟子がどれだけの力を実際持っているかは把握しときたいよな」

 「そうだな。それも必要だ。私が王位についたときに使えるかどうかも見極める必要がある」

 レイアードはいずれ王位を継ぎ、王になる。

 王になる。

 何時、父である王から王位を継ぐかは現状わからないが、それでもいつかは王位を継ぐ。その時に、使える駒であるかどうかは見極める必要がある。

 使える駒であるというのならば、こちら側に引き込む必要がある。

 (……ディグ・マラナラほど使えないにしても、その弟子なのだから、それなりの戦力にはなるだろう)

 そんな風に考えているレイアードは、ヴァンがディグ・マラナラ以上の戦力である事をまだ知らない。





 ―――ヴァンの噂について 下

 (王太子と第二王子の関心も買ってたりするのです)




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