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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第九章 外交と、波乱の幕開け

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187.デートについて 2

「母さん、父さん、久しぶり」

「……久しぶりって、ヴァン……。ちょっとこっちに来なさい。ナ、ナディア様、すみませんが、少しお待ちください。私たちは息子に話があるのです」

 ヴァンがまるで友達を連れてくるようなノリでナディアの事を連れてきたため、ヴァンの両親はナディア様に一言告げて、ヴァンを奥へと引っ張り込んだ。ナディアは「わかりましたわ」とにこやかに笑った。召喚獣たちと共にその場で少し待ってくれるようだ。

「何、母さん、父さん」

「な、なに、ではないわ! 王女様と婚約を結ぶことも報告もしないで……。近いのに全然かえってこないのは、まぁ、そういう子であるというのは分かっているからいいけれど……でも、突然王女様を連れてくるとかやめなさい!」

「そ、そうだぞ。心臓に悪い! そもそも何で外で騒ぎにならなかったんだ。普通なら王女がこうして王都の街に降りてきていれば、騒ぎになるはずだろうに……」

「ああ、魔法使ってたから」

 さらっとヴァンが言うものだから、二人とも驚きすぎてどうしたらいいか分からない状態に陥っていた。

 ヴァンが英雄の弟子になり、色々と名をあげていて、それだけではなく王族と婚約を果たした。でも、自分たちは何処にでもいる平民であることには変わらない。――何よりヴァンは家族にさえそこまで関心を持たない息子であり、誰と婚約をしようがあまりこちらには関係ないといった感情もあった。

 確かに血のつながった息子だけれども、息子がやったことは自分がやったことではないのだ。

「そもそもなんでうちに連れてきたんだ」

「ナディアが来たいっていったから」

「なんで、王女様が……」

「俺の実家に興味があったんだって」

 ヴァンの両親は突然、王族を連れてこられて混乱していた。粗相を犯してしまったらどうしよう、準備も大してしていないのに。そもそも王族を迎え入れる準備なんて一介の平民である二人にはやろうとしても出来ないわけだが。

「母さん、父さん、ナディアが待っているから戻ろう?」

 そんな風に何も気にしていない息子に言われて、二人は気が気じゃなかったが、腹を据えてナディアの元へと戻るのだった。

「お待たせして申し訳ありません。ナディア様」

「いえいえ、大丈夫ですわ。ヴァンとお話があったのでしょう?」

 ナディアはヴァンの実家に足を踏み入れられた事が嬉しくて仕方がないのかにこにことしていた。美しい見目を持つナディアの笑みにヴァンの両親はなんて美しい少女だろうと見惚れてならなかった。

「それにヴァンのお母様とお父様なのでしたら、私にとっても両親のようなものですからそんなに緊張なさらなくても大丈夫ですわ」

「そ、そうはいっても……」

 ヴァンはナディアにため口や呼び捨てでいいといわれてしばらくは口ごもっていたもののすぐに対応していた。しかしヴァンの両親はそんな風に簡単には対応できないのであった。

「なれたらもう少し砕けた口調にしていただけると嬉しいですわ。私はヴァンのご両親とは仲良くしたいのです」

 ナディアが口ごもる二人にそうも告げるので、またこうして顔を出す気なのかとヴァンの両親は内心わたわたしていた。

「私は御存じでしょうか、ナディア・カインズと申します。ヴァンのご両親にお会いしてみたいと思いまして、ヴァンに連れてきていただきましたの。急な来訪になってしまいごめんなさい」

「い、いえ、大丈夫です!」

「これはお土産の品ですので、どうぞ食べてくださいね」

「は、はい」

 ヴァンの母親はそういって受け取りながらも、その袋のロゴを見て、王侯貴族が使っているお店だと気付いたのかまた心臓をバクバクさせていた。

「ヴァンは私の事をよく知っていますが、私は同じぐらいヴァンの事を知らないのです。だから、ヴァンの事を知りたいと思って連れてきてもらったの。ヴァンがどういう子供だったかとか、何でもいいから教えてくださらない?」

「ええ、っとそれぐらいならば幾らでも」

 ヴァンの両親は戸惑いの表情を見せながらも頷く。

 ナディアの言葉が何処までもヴァンへの愛情にあふれていて、両親は驚いていた。婚約を結んでいたことも、ヴァンがナディアに好意を抱いていることも把握していたが、ナディアの方も同じように愛情をヴァンに返しているかなどは分かっていなかったのだ。

(王女様相手ならばヴァンはいずれ失恋するのではないかと思っていたけれど、ヴァンは恋を実らせて……そして王女様自身もヴァンに対して深い愛情を持っている……良かった)

 息子が王女の婚約者になるなどと考えた事は欠片もなかったけれども、息子が恋を実らせて幸せそうな様子は親としては良かったと思ってならないことだった。

 だから、

「ヴァンの幼少期ですが、ヴァンは昔から———」

 ヴァンの両親はヴァンの事について、ナディアに沢山話すのだった。



 ――デートについて 2

 (デートに向かった二人は、ヴァンの実家へと到着する。そこでヴァンの両親と会話を交わす)



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