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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第五章 砦での生活

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114.不審な人影と召喚獣たちの報告について 1

 「はやく原因突き止めて城に戻りたいなぁ……」

 『そうですね。はやく突き止めましょう!!』

 『ニアトンのテンション高いな! ま、おいらもご主人様と一緒で嬉しいけど!』

 さて、ヴァンは森の中を探索していた。あの異形の化け物と魔物の増加の原因を調べるためである。すぐに原因が見つかるとも思ってはいないが、ヴァンはさっさと解決をしてナディアの元へ行きたかった。

 ディグの弟子になるまで遠くから見ているだけでも十分と思っていたというのに、いざ傍に居るのが当たり前になってくるとこうして離れているのが嫌だったのである。

 そしてはやく城に戻りたいというヴァンの声に同調するのは、《グリーンモンキー》のニアトンと《ブルーマウス》のエレである。

 二匹はヴァンと一緒に何か出来る事が嬉しいようで、応える声が弾んでいる。

 一人と二匹は、そうして森の中をぶらぶらしている。そして見つけた魔物を葬る。

 ヴァンはそれを淡々とこなしていく。魔物は幾ら葬っても減らない。どんどんわいてくる原因を突き止めなければ、いずれ狩るのが追い付かなくなる事だろう。

 『変な魔物見つけたら特攻していいかしら?』

 「いいけど……負けないならな。死なれても困るから」

 『ご主人様とおいらたちでやるなら大丈夫だよ!』

 戦闘狂の節があるのか寧ろあの異形の魔物が出ないかなとうずうずしているニアトンにヴァンが返せば、それを聞いていたエレも自信満々に言う。

 そんな言葉にヴァンは苦笑を浮かべて、

 (まぁ、本当に死にそうなぐらいやばかったら召喚獣おいて逃げるか……)

 などと思考するのであった。


 それからヴァンたちは森の中を徘徊する。





 ヴァンのほかの召喚獣、ディグの召喚獣も森の中を見て回っているはずだが遭遇する事はなかった。

 フロノスは召喚獣が一匹しかいないのもあって、砦にいる。

 ヴァンは軽く幾らでも出現させたままでいけるなどといっていたが、本来ならそれは難しい。フロノスは一匹しか召喚獣と契約していないが、それでも出現させっぱなしは出来ないのである。

 「何かおかしな所あるか?」

 『今の所ないですの。あればすぐにどうにでもするのですが』

 『ニアトン、超暴れたそうだなー。ま、おいらも暴れたいけど』

 ぶらぶらしながら何か異変がないか探しているが、そう簡単に見つかるわけもなかった。

 何かしら異変を見つける、それか異変に繋がる何かを見つけるという事をしたかったのだが、見つからない。それにヴァンは少しイラついていた。

 (師匠は自然にこんなことが発生するわけがないって言ってたけど。となると、誰かが何かをしてこの結果になっているってわけで……。でもこんなことが人為的に起こせるかっていうと……普通に考えて一人でってのは無理だと思うし)

 ニアトンとエレと共に森の中を駆けながら、ヴァンは思考する。

 (国境を隣接しているシザス帝国が何かしているのかもって師匠は知っていたし……。でも国が何かやっているっていってたし……。ナディアの元に戻れるのいつになるんだろうか……)

 相変わらずナディアの事ばかり考えているヴァンであった。

 はやく城に戻りたいなーといらいらしながら考えていたヴァンは憂さ晴らしに魔法を近くに発射してみた。

 炎だと森の中だから燃え広がってしまう恐れがあるため、出現させたのは氷である。鋭くとがった無数の氷を前方に向かって放つ。

 ただ何気なく放ったそれに、反応するものが居た。

 「うわああ」

 それは人の声である。誰かが居たらしく、ヴァンは「あ、失敗した」と思いながらその人影に近づこうとする。

 が、その人影は声をかけながら近づくと逃げて行った。

 「逃げた……?」

 『逃げたって事は見つかったらまずいって事でしょう』

 『何か手がかりかもしれないから、追いかけようぜ! ご主人様!』

 砦の人間であったなら、ヴァンの事を知っている。だから逃げる事はまずない。だからこそ、逃げたのであれば見つかったらまずいという事だ。

 ヴァンはニアトンとエレの言葉を聞いて、逃げて行った人物を追いかける。

 召喚獣たちと共に、ヴァンも魔力を込めて、全力で追いかける。

 しかし、全力で追いかけたというのにその人物を見失ってしまった。

 「……そんなに遠くには行ってないと思うんだが」

 追いかけてたどり着いた場所は、花畑だった。一面に広がるのは色とりどりの花。隠れる場所はないかと探してみるものの、見つからない。

 「あー、くそっ、逃した」

 折角の発見だったかもしれないのにとヴァンは悔しそうに声を上げる。

 「ニアトン、エレ、俺はひとまず師匠にこの事言ってくる。だからさっき逃げた奴探しといて」

 『わかりましたの。私は全力を持って探しますわ』

 『おいらたち、ヴァンが戻ってくるまでに見つけるぜ』

 ニアトンとエレの言葉を聞いて、ヴァンはディグの元へと向かうのであった。





 ―――不審な人影と召喚獣たちの報告について 1

 (森をぶらぶらしながら見つけた人影。全力で追いかけても見つけられなかったその人物は何処に消えたのか)



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