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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第五章 砦での生活

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109.見た事のない魔物について 1

 「フロノス姉、そっち行った」

 「私が片づけるわ」

 その日も、ヴァンとフロノスは二人そろって森の中で魔物退治をしていた。

 召喚獣の力に頼ってばかりでも自身の力が鈍るかもしれないという事もあり、今回は召喚獣を呼び出してはいない。

 それなりに魔物退治に慣れた二人の実力はポリス砦の中でも有名になっており、付き添いはもういない。

 ヴァンもフロノスも下手な大人よりは断然実力がある。その事実をポリス砦の騎士達は認めていた。いや、認めたくなくても認めざるを得なかったというべきだろうか。

 最初、二人が魔物退治に出掛ける度にはらはらしていた騎士達もけろっとした顔でかえってくる二人を見続けてその実力を認めたのだ。

 「結局魔物の増加の原因も、見た事ない魔物も……わかんないな」

 「そうね。まだ両方わからないわ。でも本当に魔物は多いわね。ここまで多いと何か理由があるのではないかと思うのだけれど」

 「まだ師匠もその理由がわからないみたいだしなぁ。俺早く帰りたいのに」

 「……仕方ないでしょう。お仕事をちゃんと出来ない男なんてナディア様に嫌われるわよ? これからもこうやってナディア様の隣に居られない場合もあるのだから、慣れなさい」

 ヴァンは口を開けばいつもナディアの事ばかり口にしている。

 それを聞きながらフロノスがヴァンを諌めた。

 「んー、頑張る」

 会話を交わしながらヴァンとフロノスは、あたりにいる魔物たちを倒していく。

 幾ら倒しても魔物が存在する――そういえるほどに魔物の量は多い。ヴァンは何も考えずにとりあえず魔

物を倒している節があるが、フロノスは魔物退治をしながら色々考えていた。

 (国境付近でこういう事が起きているとなると、何か作為的なものも考えられるわ。こうやって魔物を退治しているけれど幾ら倒してもわからないし、原因となるものをどうにかする必要があるけれども……)

 とはいっても何が原因かというのが現状わからないのも問題であった。

 「フロノス姉、難しい顔しているけどどうしたの?」

 「……この魔物の増加の原因が何か考えていただけよ」

 「そう。俺には全然見当もつかない」

 「私にもつかないわ。何かしら原因があると思うのだけど」

 森の中を二人は歩く。この魔物の増加の原因はなんなのだろうかと思考する。正直言って考えても原因なんてものにたどり着けないというのが正直な感想である。

 そうやって歩いているうちに、聞いた事もないナニカの鳴き声を二人は聞いた。

 「……今の声って」

 「何か手がかりになるかもしれないけれど……。どうする?」

 「どうするって手がかりなら行った方がよくない?」

 「……私とヴァンで手に負えないのならディグ様に報告したほうがいいじゃない」

 「念のため召喚獣たち呼び出して様子見に行かせてみる?」

 「それがいいわ」

 「じゃあ、呼ぶ」

 ヴァンはそういうと《イエロードラゴン》のクスラカンを呼び出す。

 『ご主人、また呼び出しー? なにー?』

 「ちょっと変な鳴き声したから見てきて」

 『了解! 俺行ってくる』

 小型化しているクスラカンは、その言葉に頷くと声のしたほうへ向かって飛んでいった。

 ヴァンとフロノスは、クスラカンが戻ってくるまで待つ。

 「空を飛べる召喚獣は便利そうね」

 「うん。結構便利だよ。フロノス姉ならまだ契約できると思うから次の奴狙ってみたら?」

 「……ヴァン、貴方軽く言っているけれど私はまだ一匹と契約したばかりで、次が出来たとしても考えていないわ。それに特定の召喚獣を狙って呼び出すというのはとても難しい事だわ」

 「そう? 結構簡単だよ?」

 「それはヴァンだからよ」

 ヴァンは《クレイジーカメレオン》のレイを呼び出した時、その特定の召喚獣を呼び出す行為をやっていた。適当な呪文で、軽く呼び出していたがそれは普通の魔法師からしてみれば難しい事である。

 そんなこんな話していたらクスラカンが戻ってきた。

 『ご主人! なんか変なのいたよ』

 「変なの?」

 『うん! なんか色々混ざったみたいなやつ。少なくとも異界であんなの見た事ないかな』

 クスラカンはそんなことを言う。

 「少し聞いてもいいかしら」

 『いいよ。ご主人の姉弟子だしなー』

 「……色々混ざったというのは」

 『なんか、翼はあるけど顔が犬みたいな感じだったりとか、尻尾は蠍とかそんな感じで色々混ざってたよ』

 「それは……」

 フロノスがクスラカンの答えに何とも言えない表情をしながら問いかけようとした時、今度は先ほどの鳴き声がもっと近くで聞こえた。それと同時に響いたのは、人の悲鳴だ。

 「誰か襲われてるわ!」

 フロノスは声を上げてそちらへと駆け出した。その後をヴァンとクスラカンもついていく。

 自分たちで手におえるものか見極めなければなどと言っていたフロノスだが、誰かが襲われているとなると話は別で、その存在の元へと飛び込んで行った。

 そして駆け出したフロノスとヴァンが見たのは――――クスラカンの言っていた外見のものとは違う、人をかみ殺している異形の化け物であった。






 ―――見た事のない魔物について 1

 (ヴァンとフロノスは、それに遭遇をした)



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