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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第13章 荒れ狂う東京
343/344

プロローグ


 憲明(のりあき)(たち)(まえ)にミルクが(あらわ)れて(しばら)(とき)()った(ころ)


 ーー 冥竜(めいりゅう)(じょう) ーー


「どうやらミルクが(うご)()したようだ」


「それなら一旦(いったん)(だれ)様子(ようす)()()った(ほう)()いんじゃないかしら」


「そうだな。では(だれ)()ってくれないだろうか?」


 ゼストは心配(しんぱい)して(だれ)()ってくれないかと()くと。


<ならば(わたし)()こう>


 すかさずバランが名乗(なの)()た。


「いや()てバラン。お(まえ)にはこれまでに何度(なんど)()ってもらったりと、迷惑(めいわく)をかけているのだ、ここは(べつ)(もの)()ってもらって(しばら)くは(やす)んでてくれ」


<いや、それでも(わたし)()こう>


「……何故(なぜ)だ? 何故(なぜ)(まえ)はそうやって(うご)いてくれる?」


<……ミルクは()こうで(あば)れているのだろう? ならばあのミルクを(いま)()める(こと)出来(でき)るのはゼスト、お(まえ)とパンドラ、そして(わたし)(ぐらい)なものだろう>


「……(たし)かにそうだが」


<それにミルクが(うご)()したと()(こと)は、きっとそこには憲明(のりあき)(たち)もいる(はず)だ。そして、親父(おやじ)殿(どの)もいる(はず)。その親父(おやじ)殿(どの)相手(あいて)出来(できる)るのも(われ)三人(さんにん)ぐらいなものだろ>


 バランの()親父(おやじ)殿(どの)とは、和也(かずや)でありアルガドゥクスの父親(ちちおや)守行(もりゆき)()す。

 (かれ)らもまた()っている。

 守行(もりゆき)尋常(じんじょう)ではない(ちから)(かく)している事実(じじつ)を。


「お父上(ちちうえ)殿(どの)か……。(いま)、あの(かた)のお相手(あいて)をする(こと)出来(でき)るのは(たし)かに(われ)三人(さんにん)。……下手(へた)交戦(こうせん)をしてしまえば、流石(さすが)のナンバーズと()えどあの(かた)(ころ)される危険性(きけんせい)(たか)い……」


「だがそうは()っても相手(あいて)人間(にんげん)だぞ? (ちから)()(もど)した(われ)らであれば()てる(はず)だ」


馬鹿(ばか)(こと)()うな。……あの(かた)兄者(あにじゃ)のお父上(ちちうえ)であり、(わたし)やパンドラの……いや……、とにかく、下手(へた)()()すな。()いな? これは命令(めいれい)だ」


 ゼストとしては(かる)はずみな発言(はつげん)(かん)じ、発言者(はつげんしゃ)であるヴィシャスを(つよ)(にら)むと(ほか)凶星十三星座(ゾディアック)(たち)忠告(ちゅうこく)する。


「……では(もう)(わけ)ないがバラン、(たの)めるか?」


<(たの)まれた>


 (しろ)絶対零度(ぜったいれど)支配者(しはいしゃ)、バランが(うご)く。


 バランが東京(とうきょう)(あらわ)れた(こと)水没(すいぼつ)した東京(とうきょう)(こおり)(ほのお)世界(せかい)へと一変(いっぺん)する。


 ゼストは()っている。

 守行(もりゆき)互角(ごかく)(わた)()える、数少(かずすく)ない(もの)の1()がバランであると。


「バラン!」


<ん?>


 そんなバランが出撃(しゅつげき)する(まえ)に、アズラエルの()まれ()わりである沙耶(さや)()()めた。


<どうした?>


「……ごめん、なんでもない」


<……(なに)心配(しんぱい)(ごと)でもあるのか?>


心配(しんぱい)……、それとは(ちが)うんだけど……、もし……、もしだよ? ()っておじさんがいたら……」


<……大丈夫(だいじょうぶ)だ、だが(たし)かに親父(おやじ)殿(どの)(つよ)い>


 そう、バランの()(とお)守行(もりゆき)(つよ)い。

 (ゆえ)守行(もりゆき)美羽(みう)よりも警戒(けいかい)されている。

 ベヘモスが(はじ)めて(かお)()わせた(とき)本当(ほんとう)人間(にんげん)なのか(うたが)われる(ほど)(ちから)見抜(みぬ)き。その情報(じょうほう)(すで)(ほか)凶星十三星座(ゾディアック)(たち)共有(きょうゆう)されていた。

 そしてゼストが()った(とき)

 (かれ)はとある(こと)確信(かくしん)していた。


「バラン……、あの(かた)(あい)まみえる(とき)()をつけてくれ」


<……()かっているよゼスト。だがな、(わたし)(たの)しみでならんのだ>


「なにがだ?」


 ()われたバランはそこで、邪悪(じゃあく)(かお)微笑(ほほえ)むと()える。


<(ちから)()(もど)し、全力(ぜんりょく)()してもこの(わたし)対等(たいとう)か、それ以上(いじょう)(ちから)()つであろう親父(おやじ)殿(どの)手合(てあ)わせ出来(でき)(こと)がだよ>


 その言葉(ことば)、その微笑(ほほえ)みにゼスト以外(いがい)(もの)(たち)戦慄(せんりつ)した。


正気(しょうき)か?! お(まえ)(なに)()ってるのか理解(りかい)しているのか?!」


<理解(りかい)してるさ。それともなにか? お(まえ)はあの(かた)(まえ)にした(とき)大人(おとな)しく尻尾(しっぽ)()いて()げるつもりか? ん? ルシスよ……。馬鹿(ばか)め、それでも(ほこ)(たか)凶星十三星座(ゾディアック)の1()か? そんな(こと)をし、もしもあの(かた)逆鱗(げきりん)()れでもしたらどうなるか()かっているんだろうな?>


「ぅぐっ……」


<それにあの(かた)陛下(へいか)のお父上(ちちうえ)。そんな(かた)を、(ぎゃく)にそんな()めた態度(たいど)(せっ)するのは感心(かんしん)せんな>


「だ、だがバラン、相手(あいて)はあの(かた)父君(ちちぎみ)であらせられる。お(まえ)()ってる(こと)はよく(わか)る、それでも下手(へた)()()すべき(かた)でもない(はず)だ」


<ルシス、その認識(にんしき)間違(まちが)っていると何故(なぜ)()づかない>


(わたし)間違(まちが)ってるだと?」


<(われ)らの()()()()? (われ)らの(おう)であり(あるじ)はこの()でただ1()(はず)だぞ>


 その言葉(ことば)にルシスは()(おお)きく見開(みひら)き、(だま)ってしまう。

 事実(じじつ)凶星十三星座(ゾディアック)(あるじ)であり(おう)はアルガドゥクスただ1()だからだ。


<敬意(けいい)(ねん)(いだ)くのは当然(とうぜん)。だがしかしだ、それが(だれ)であれ、陛下(へいか)(てき)となるならばそれは(われ)らの(てき)(ちが)うか?>


「……すまない、その(とお)りだ……」


<()かってくれたのなら以後(いご)()をつける(こと)だ>


 そうして(しろ)氷帝(ひょうてい)はゲートを(ひら)き、東京(とうきょう)姿(すがた)(あらわ)す。


<さて、(わたし)()ぜてもらおうか>


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