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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第12章 悪魔の仮面
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第325話 占いによる恐怖


 クレープを食べ終わった後、俺達は学園の3階にある休憩(きゅうけい)スペースまで移動して休んでいた。

 3階は食い物とかを出してはいないんだけど、学生が作った彫刻(ちょうこく)油絵(あぶらえ)とかを飾っていたり、占い、休憩(きゅうけい)スペースなんかがある。

 学園は広い。これでもかって言うくらい広い。

 だからこそ、学園の(いた)る場所に休憩(きゅうけい)スペースが(もう)けられていた。


「そういやイリス、アイツは今どうしてるんだ?」


「ん~?」


 ん~? って、そんな可愛い顔で俺の太ももの上で返事をされても……。

 可愛いから許す!


「今日も元気いっぱいに遊んでるよ」


「そっか。まっ、クロ達が一緒にいてくれてるから安心か」


 なんの話しかって言うと、イリスがテイムする事になった"デスタニア"の子供、"トワ"の事だ。

 イリスが引き取ってから(しばら)()つけど、まだそこまで大きくなっていない。せいぜい柴犬(しばけん)ぐらい、っと言っても解らないだろうけど、だいたい40センチあるか無いかってくらいの大きさになる。

 臆病(おくびょう)人見知(ひとみし)り。いつもイリスの影に隠れて周りを気にする。だけど()れたらほんと、犬みたいに寄ってきて可愛い。


「あのつぶらな(ひとみ)でさ、遊んでって来られると可愛くてたまらねえよな」


「そうなんだよ、アイツ、ボール遊びが好きでさ。それに意外と走るのも好きみたいなんだ」


「もうコウモリの姿した犬だな」


「うん、だけどまだ戦闘訓練(せんとうくんれん)とか出来なくてさ。やっと少しは飛ぶ練習に入ったけど」


「まだ小さいし無理しなくていいんじゃねえか?」


「だけどよ、……どうにか(かたき)を取らせてやりてえし」


 イリスの気持ちは確かに分かる。

 だけど、肝心(かんじん)のルークは先生が連れていったからそう簡単に会えなくなったし。

 それに……、先生が本気になった時のあの羽。

 まるでルークと同じ、"デスタニア"みたいな羽だったな……。

 いや、でもまさか、さすがにそこまでしないだろ。


 この時の俺は最悪な事を考えて不安を感じた。


「まっ、そう心配すんなよ。今はトワの事を大事に育てる事だけ考えればいいだろ」


「まぁ……な」


「それよりちょっと気になるとこ行かねえか?」


 休憩(きゅうけい)をやめて向かった先は(うらな)いをしてくれる場所。

 見るからに怪しい雰囲気(ふんいき)(ただよ)っているけど、面白そうだから入ることにした。

 入ると左右(さゆう)から(かこ)まれるような形で数人の連中が持ってる蝋燭(ろうそく)に火を(とも)し、顔を黒い(ぬの)で隠した奴らが俺達を出迎える。


「「ようこそ、"占いの(やかた)"へ」」


「良い意味で雰囲気(ふんいき)出てるじゃねえか」


「そうだな」


「どうぞこちらへ」


 1人の生徒に案内されて奥に進むと、そこには3人の生徒が並んで俺達を待っていた。


「ようこそお()(くだ)さいました。只今(ただいま)の時間、"運命"、"失せ物"、"現在"、この3つを占っておりますが、どちらに致しましょう」


 "運命"、"失せ物"、"現在"か。

 んじゃここは"運命"かな。


「"運命"で」


「わかりました」


「ちゃんと占えるのか~?」


 イリスが(うたが)ってかかるけど。


勿論(もちろん)に御座います。ではこちらへどうぞ」


 担当してくれる眼鏡女子に案内されると、中央に水晶玉(すいしょうだま)が置いてある空間に入った。


「ではどうぞお()け下さい」


 イリスは占いに興味無いって感じで俺の後ろに立ち。取りあえず俺は椅子(いす)に座ってこれからの"運命"を占ってもらうことにした。


「では質問致します。まず、お名前と生年月日(せいねんがっぴ)をお願いします」


 俺は名前と生年月日(せいねんがっぴ)(つた)えた後、俺はこれから先の未来の運命が、占いでどう出るのか興味(きょうみ)があったから聞いた。


「未来、ですか。元々(もともと)"運命占い"は、これから先の未来を占うものですから可能です。ですが先にご説明させて頂きますね。ーー 私は"運命"を専門に(まな)び、他の生徒より鮮明(せんめい)な映像を、出来得(できう)る限りこの水晶玉(すいしょうだま)(うつ)し出す事が出来ます。ですが、(うつ)し出された映像が、「何時(いつ)」、「何処(どこ)で」、と言うものは解りません。それに映し出されたものがどれ程の時間なのかさえ(さだ)かではないため、(あらかじ)御了承(ごりょうしょう)下さい」


「なるほど、了解だ」


「では、貴方(あなた)の血が必要になりますのでコレを使って指に軽く刺し。血を一滴(いってき)水晶(すいしょう)(たら)らして下さい」


 金の(はり)手渡(てわた)された俺は、軽く人指(ひとさ)(ゆび)に刺して血を水晶玉(すいしょうだま)()らした。


「では始めます。ーー あまねく運命に問う。()(もの)の運命をこの水晶(すいしょう)(うつ)し。如何(いか)なる幸福(こうふく)如何(いか)なる困難(こんなん)如何(いか)なる運命だろうと()(もの)の前に(うつ)()さん」


 水晶(すいしょう)に両手をかざしてそう言うと、水晶玉(すいしょうだま)の中心に黒いモヤが出てきて広がる。

 この時の俺は正直言うとワクワクしてた。

 だけどそれは直ぐ無くなる。


「見えてきました!」


「ん!」


 すると、黒いモヤの中から俺が誰かと戦ってる映像(えいぞう)が広がる。

 それも、全身から血を大量に流してボロボロになりながら。


「の、憲明……」


 誰だ……、これは誰と戦ってるだ……?


 しかもそこに(うつ)し出されたのは俺だけじゃない。

 美羽、一樹、ヤッさん、その他の連中が誰かを前にして満身創痍(まんしんそうい)の状態だ。


 …………やっぱお前なのか?


「おい! 憲明!」


「黙っててくれ、イリス……」


「クッ…………」


 出てこい……。どうせお前なんだろ? ……カズ。


 予想通り、水晶(すいしょう)(うつ)る俺達の前には静かに(たたず)む……。

 ーー 夜の(ごと)漆黒(しっこく)の魔竜になったカズがいた。

 (うつ)ったその瞬間(しゅんかん)から強烈(きょうれつ)()()(おそ)ってくる(ほど)の、()(いう)()恐怖(きょうふ)絶望感(ぜつぼうかん)はハンパじゃない。


「な……、なんですか……コレは……?!」


 映像(えいぞう)()てきただけでなんなんだよこの恐怖(きょうふ)……。

 はっ!


 その時の俺は気づいた。

 占ってくれている生徒とイリスの他に、近くにいる連中までもが恐怖で(うめ)いている。

 それに俺自身も体をガタガタと(ふる)わせ、体中(からだぢゅう)から大量の汗を()き出させながら(うめ)いている。


 ヤバい……! 本当になんなんだよ! 映像(えいぞう)だけで感じるこの恐怖(きょうふ)は?!


 この時の俺はその映像(えいぞう)だけでもどれだけ危険(きけん)な事だったのか、全然(ぜんぜん)思考(しこう)が追い付いていなかった。

 ーー 竜になったカズの目がゆっくりと見開(みひら)かれ…………。

 全身(ぜんしん)の血が逆流(ぎゃくりゅう)して口から吐き出しそうな程の、純然(じゅんぜん)たる"死"の感覚が襲う。

 ……同時に、水晶(すいしょう)()れて(おお)きく(はじ)()んだ。


「ここここ……、怖い…………」


 カズが怖い。

 "()"、"恐怖(きょうふ)"、"絶望(ぜつぼう)"、"虚無(きょむ)"。

 まったく容赦(ようしゃ)の無い圧倒的(あっとうてき)なまでの、……純粋(じゅんすい)な"悪意(あくい)"。


 無理だ……、どう考えても勝てる見込みが無い……。

 なんだよアレ……。なんで映像(えいぞう)だけでここまでの恐怖(きょうふ)()()ける事が出来るんだよ?!

 おかしいだろ!!


 何度も感じた事のある、カズから(ただよ)っていた"()"や"恐怖(きょうふ)"。

 ……映像(えいぞう)を見た後の俺が言える事は1つ。

 今までのその感覚(かんかく)はまるでその力をもっと(おさ)えていたんじゃねえのかってくらいで。言うなら今まで感じた恐怖(きょうふ)は何十分の1にまで(おさ)えてたんじゃねえのかってくらいだった。


馬鹿(ばか)げてるにも(ほど)があるだろ……!」


「の……、憲明……」


「イリス! 大丈夫か?!」


 あのイリスさえその場でうずくまって泣き、吐いていた……。

 イリスがそこまで(ひど)状態(じょうたい)になるのは初めてだ。


「む……無理だ……、勝ち目なんて……無いよ……」


 それに弱気になってもいる。

 ()をガチガチ()らし、カズを裏切(うらぎ)った事を後悔(こうかい)してるって顔だ。


 ありゃ……"直視(ちょくし)()魔眼(まがん)"だったのか……?


 見るもの全てを殺す事が出来るカズの力。

 おそらく、"魂沌(こんとん)()魔眼(まがん)"だろ。

 その目に(うつ)る全ての命を一瞬(いっしゅん)で殺す事が出来るって言っていた目。

 でも俺達は生きている。それはきっと、水晶玉(すいしょうだま)を通してって事もあるんだろうし、俺達の代わりに割れて粉々(こなごな)になったからなのかもしれない。

 でも解らない。本当に映像(えいぞう)(うつ)った瞬間(しゅんかん)の目が、その"直視(ちょくし)()魔眼(まがん)"なのか。


「のりあきぃ……、(こわ)いよぉ……」

 

 それでもこれだけは解る。

 解ってたつもりだけどそれは解っちゃいなかったって、……事をな。


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