第322話 再びやってきた学園祭
11月が終わろうってしてるって言うのにこの日、学園都市で祭りがおこなわれることになった。
理由は3つ。
1つ、カズがアルガドゥクスとして向こうに行っちまったから。
2つ、カズが隔離して守っていたヤバいモンスター達を解き放ち、そのおかげで日本がおかしくなったから学園都市から応援が来て一緒に対処してくれたりしてくれてるから。
3つ、その2つの理由から異世界でも大きな動きがあり、学園都市は祭りを今回は見送ろうとしていたけど、学生や近隣国から「なんでやらないんだ」って苦情が殺到して、時期外れだけどする事になった。
まぁ、やらなかったら暴動が起きそうだったしな。
俺はと言うと、クラスの連中と一緒に喫茶店をする事になった。
「いらっしゃいませ、3名様ですか? お席まで御案内致します」
男は皆、執事服。女は皆、メイド服。
着なれないから違和感を感じてはいるんだけど。
「はい……、3名様ですぅ……」
「あうぅ、カッコいい……」
「憲明君が私達の専属ですか?! 専属ですよね?!」
「あっはは……、とりあえずお席へ御案内致します」
3人同時に言われたら何言ってるかわからねえよ。それに、そんなに俺変か?
俺を見るたびに女子連中が騒ぎ、店に吸い込まれるようにして入ってくれる。
入ってくれるのは良いけど騒ぐたびに俺の自信が減っていく……。
「憲明、3番テーブルにこのオムレツとポテトお願い」
「はいよ」
ヤッさんに頼まれ、オムレツとポテトを3番テーブルに持っていく。
その3番テーブルには。
「ちゃんとやってるみたいだな」
「当たり前じゃないっすか」
周りから"狂犬"と呼ばれる。"蛇埜目組"組長、"柴田右京"と、そこの組員数人が座っていた。
てか、今日は珍しく眼鏡かけてるんだな。
「あまり周りを威圧しないで下さいよ?」
「ありゃ、威圧してたか? はははっ! すまねえ!」
もうぅ……。
話しをしてみりゃどってことは無い。
凄く気さくな人で、俺が知ってる狂犬って感じじゃない。
けど、周りを警戒してるのか威圧感が出ていてちょっと周りがビビっていたから、俺は軽く注意した。
それと柴田さんとは別に。"黒鶴組"組長の"新山鳳仙"も一緒に来ている。
この人はこの人で寡黙な人で、部下を連れずに柴田さん達と来ていた。
「すまない。兄貴は別に威圧したくて威圧感を出してる訳じゃないんだ。だから許してやってほしい」
「いや、それは言わなくても解ってるから仕方無いっすよ」
「ふふっ、だが詫びついでにコレとコレを貰おうか」
「了解っす」
そう言われて注文されたのはメロンソーダとパンケーキ。
……なんでこんな可愛いの注文するんだこの人。
「オーダー、3番テーブル、メロソ1つ、パンケ1つ」
「はーい、了解」
ちなみに、なんで夜城組傘下の組長2人が来てるのかと言うとだ。
理由は1つ。
純粋に俺達が今通っている異世界の学園都市がどんな所なのか、この学園祭を機に知りたくて来たってのが理由だ。
「ねぇねぇ、あの席にいる人、なんかカッコよくない?」
「わかる~、それにあの顔の傷跡ってさ、きっと凄いモンスターと戦った証だよね~」
え? なんか……、鳳仙さん人気ある?
「よう鳳仙、オメェ随分とモテてるじゃねえか」
「よして下さい。自分、誰かに好かれるような顔をしちゃおりやせんから」
「テレるなって。10代……、でも10代かぁ……。手ぇ出すなよ?」
「出しませんよ」
なんだろ。とても強面な顔で話すような内容とは思えないような気がする。
「しっかし、せっかくの学園祭だって言うのに美羽は戻って来ねえのか?」
「みたいっすね。まっ、俺の影に八岐大蛇の分身が入ってるし、今こうして話してる内容とかアイツに筒抜けでしょうけどね」
「あぁだったらよぉ、せっかくの学園祭ぐらい戻ってきても良いんじゃねえか? 毎日気を張ったってよ、そんなにすぐ若がどこにいるのかなんて解るわけでもねえんだしよ」
「それもそうですね。たまには帰ってきて自分がどこをどのようにして、どれだけ調べたのかぐらい報告をし、少しは休んでも良いでしょうね」
まったく、2人の言う通りだ。
「ですよねぇ」
な~んて3人でそんな話しをしてると。
「だからこうして戻ってきたんですけど~」
「おっ、なんだ戻ってきたのか」
どこか気まずそうって顔で美羽が戻ってきたんだけど、そこから学園中が大騒ぎになった。
美羽は歌手だし、そのルックスは友達の俺が言うのもなんだけど超絶美人で可愛い。
「来るのがおせえよ」
「これでも急いで来たんだからいいでしょ」
するとどこからともなくイリスがやって来て、長い尻尾で美羽を捕まえると美羽は、「ちょっと! そんなことしなくても行くから離して!」って騒ぎながらどこかへ連れて消える。
「イ、イリスは相変わらずだな」
「それに、下手に怒らせると怖いですからね」
……イリスの奴、2人に何したんだ。
しばらくした後、美羽がメイド服に着替えて出てくると周りが余計騒ぎだした。
意外と似合ってんなアイツ。
「もう、無理やり着替えさせなくても1人で着替えられるわよ」
「ダメ~、そう言って美羽姉が逃げるかもしれないし」
「逃げないわよ……。ただでさえ出席日数が足りなくて、こっちに来る前に先生から怒られて来たばかりなんだから」
あぁ、そりゃそうか、言ってみりゃ無断欠席してるんだし。下手すりゃ留年だろうしな。
ん? それを言うならカズも一緒になるのか?
「はいはい、だったら憲明達と一緒に頑張って仕事しましょうね~」
「他人事だと思って、もぉ……」
美羽が参戦した途端、店がこれでもかって言うくらい忙しくなる。
嬉しい悲鳴なんだろうけどさ。
店が忙しくなって手が回らなくなったから休憩してた奴や、まだ交代する前の連中とか集まって店を回す事になった。
とは言っても店をする事になったクラス自体がそこまで大きくねえから、クラスの皆が集まっても逆にすることが無くなっちまう。
と! 言いてえけど、クラスを代表してレイナが学園長に直談判しに行き、外にある俺達用の休憩スペースを使ってカフェテラスにし、待っている人達をそこに座らせて営業することになった。
そんな中、なにもそこまでしなくてもって思っていると。
「ぼんやりしてる暇はありませんよ?」
「す! すいません!」
マスターに注意される。
どうしてマスターが出てくるのかって言うと、俺達がやってるカフェはマスター監修のもとでやってるからだ。
もちろん、そんなマスターが実はあのサタンだってことはクラスの連中はとっくに知ってるさ。
だって、オルカルミアルの討伐の時に来てくれてたんだし。
……それにしても。
「お待たせしました、メロンソーダとパーケーキです」
「ありがとう」
「おっ、オメェのそれも旨そうだな」
「……食べてみます?」
「いやいいよ。よー憲明、俺にアイスコーヒーとチョコケーキ頼む」
「は~い」
……この人達はいったいいつになったら出て行くんだろ。
そう思えるくらい、鳳仙さんと柴田さん達が長いこと居る気がした。




