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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第181話 レーヴァテイン


 11月1日


 7:00


「皆さんおはようございます」


 朝起きて集まると、そこに満面の笑顔を振り撒くエルピスの姿があった。


「やっぱ泊まっていったんだ……」


「はい、久方ぶりに兄と話せることが楽しく、気がつけば深夜2時を過ぎておりまして。そしたら兄がせっかくだから泊まっていけと」


 うん、アイツなら普通にそう言う奴だよ。


「でも、アンタにはアンタの仲間がいるんだろ? 連絡とかしなくて大丈夫だったのかよ?」


 アンタって呼んだら礼儀知らずって感じだけど、それが自然と出ちまっていた。


「それには心配及びません、既に連絡してありますので」


 いつの間に連絡してたんだよ。


「……それで? 初めて来たこの部屋はどんな感じ?」


「……やはりお兄様らしいと言ったとこでしょうか。兄は昔から自然を愛し、あらゆる命から愛された方ですから」


 愛し愛されか。

 でも……、時折カズが矛盾したことを言ってるのは……、たぶんもう1人の人格が影響してんのか?


「お兄様が作られたこの部屋は本当に綺麗です。他の方が同じ様に真似をしても、きっと失敗するだけでしょう」


 確かに、そうかも知れないな。


「なぁエルピス、昔のアイツってさ。今とほとんど変わらなかったのか?」


「昔のお兄様ですか? ……そうですね、変わってないですね。ですがもっと(おだ)やかな話し方をする方でしたね」


(おだ)やか?」


「はい、もっと優しく、親切で丁寧な話し方をしておりました。……変わられたのは、戦争の引き金になったあの悲劇の時からです……」


「その悲劇って、なにがあったのか教えてもらえないか?」


 するとエルピスは、それがいったいどれだけ悲しかったのかを物語ってるような、暗い顔になって黙りこんだ。


「話せないなら良いんだ。でも、過去に何があったのか俺は知りたいんだ。どうして昔のカズがそこまで変わって、戦争になって、……世界の敵になったのか」


「……申し訳ありませんが今はまだ」


「ごめん、そうだよな……、事情を知らない俺達が下手に聞ける内容じゃないよな」


 俺がそう言えたのは、それだけツラく悲しい事があったって、エルピスの顔を見ただけで解っちまったからだ。


「それに……、今は近くにお兄様がおります」


「あぁ……、それもそうだよな」


 確かに、当の本人が近くにいたら話しにくい。


「それよりも皆さんが集まるでしょうし、朝食になります。……お兄様の話はいずれいたしますので今は」


「了解」


 そう言ってエルピスは朝食準備の手伝いをするために、カズの所へ行った。

 つーか、まさか神様が朝食の手伝いをするなんて……、普通ありえねえよな……。


 取りあえずその後、全員が起きて集まると朝食になり、カズは早速とばかりに自分の工房に行って俺達の為に武器の強化や製作に入った。


 さてと……、俺のフレイムバードがどんな風に強化されるのか楽しみだな。


 俺は一旦、フレイムバードをカズに預けたから手持ちの武器が無い。だからやることと言ったら筋トレか、イリスとの追いかけっこぐらいなもんだ。

 まっ、取りあえずイリスと美羽の2人でゼオルクの街を2周ぐらい走ることにした。



 13:00


「んで? なんでお前らまでいんの?」


「今日はノリちゃん達と合同って言うから~」


 沙耶に志穂ちゃん、それに佐渡と澤崎に岩美まで一緒になって走っていて、テオやリリア達までいた。


「カズはずっと工房に引きこもってるし~」


「しゃーねーだろ。アイツは今、武器の強化と製作に入ってるんだからよ」


「でもいいな~、ノリちゃんは強化で、美羽とヤッさん、サーちゃんに御子神のおじさんが専用の武器を作ってもらえるなんてさ~」


 沙耶の言う通り、俺の武器は強化して貰えることになって、美羽達は改めて新しい武器を作って貰える流れになった。

 でもまさかじゃんけんに御子神のおっさんが勝って、専用の武器を作って貰えることになるなんてな。

 カズはサーちゃんとおっさんが、どんな武器に適正があるのか話し合うと、なにか閃いたって顔でそれが何か2人に話した。聞いた2人はニヤッとした顔で喜ぶと、ミルクと一緒に何処かへ出掛けて行って今は留守だ。


 恐らく2人はミルクと一緒に、自分専用の武器製作の為に何か、素材を集めに出掛けたんだろ。


 その時はどんな素材が必要なのか解らなかったけど、きっとまたとんでもない物なんだろうなって考えていた。だけど、帰ってきてからそれを見た俺達は、その素材に意外だなって思った。



 16:00


「ただいま」


「お帰りなさい桜ちゃん。どんな素材を集めに行ってたんすか?」


 そう聞くと、サーちゃんとおっさんは笑顔でその素材を出した。


 "魔鉱虫(まこうちゅう)"、"魔鉱石"、"鉄鉱石"。

 この3種類だ。

 "魔鉱石"と"鉄鉱石"は時々売られているのを目にしているから知ってるけど、なんでわざわざ取りに行く必要があるんだ? って感じだし、"魔鉱虫"は初めて見るからよく解らない。


「なんでわざわざ?」


「だって、カッちゃんが店に出てるのを買うよりも、自分達で良質なのを取りに行けって。そうすることによって自分達の武器に愛着が湧くだろってさ」


 あぁ、確かにその通りだ。苦労して集めるんだし、それだけ大切に出来るよな。


「カズの言うことには一利ある。だから俺達は取りに行ったんだが、それはそれでなかなか楽しかったな」


 楽しかったのかよこのおっさん……。


「では、私はこの素材をにぃにの元へ届けて参りますので」


 そう言ってミルクはカズがいる工房へと向かった。


 でも"魔鉱虫(まこうちゅう)"ってなんだ?


 見た目はどちらかと言うと、芋虫みたいな小さいモンスターだ。だから俺は2人にどんなモンスターなのか聞いてみた。


「あのね、これはミルクに聞いたんだけど"魔鉱虫(まこうちゅう)"って言うのは、"魔鉱石"を食べるモンスターなんだって」


 "魔鉱石"を、食べる?


「でね? その"魔鉱虫(まこうちゅう)"が吐き出す糸はけっこう固くて頑丈なんだって」


 固くて頑丈ねぇ。


「カッちゃんは今、"創造"や"変換"の能力を使うなって言われてるでしょ? だから今は必要があるから捕獲してきてくれって頼まれたの」


 なるほど確かに。今のカズは政府のお偉いさんから使うなって言われてるしな。


「でもそれがどう繋がるんすか?」


「んっふふ~、それは出来上がってからのお楽しみだよ憲明君~」


 よっぽどその武器のことを気に入ったんだな、この人。


「んじゃ、私達もその武器が扱える様になる為に、頑張りましょう」


「そうだな、せっかくの武器が扱えないようじゃ恥ずかしいからな」


 サーちゃんとおっさんはお互いニコッと微笑み合うと、夕食の時間までお互いトレーニングを始めた。


 どんな武器なのかめちゃくちゃ気になるな……。



 19:00


 全員風呂に入って、大水槽前ホールに集まると。そこにカズが待っていた。


「夕食の前に憲明、まずは先にお前の"フレイムバード"の強化が終わったから返すぞ」


 そう言われて剣を見た瞬間、俺は驚いた。

 前の(さや)もカッコよかったけど、強化し終わるともっとカッコよくなっていた。


「すっげえぇ……」


 剣を受け取るともっと軽く感じる。

 そして(さや)から剣を抜くと、そこには生まれ変わった姿になっていた。

 正直言ってめちゃくちゃカッコいいとしか言いようが無い……。それに、ガード ((つば)) とボンメル ((つか)) は元々、炎の翼をイメージされていたけど、俺がグリップ (握り) を持っているとそれが本当に燃えてる様に揺らめきながら、大きな炎の翼を広げる。


「……マジか」


「気に入ったか?」


「気に入るも何も……、マジでこれ、凄すぎだろカズ……。手に馴染むし、持っただけでこれが物凄い剣だってことが伝わってくる……」


「それでも武器評価はようやくAってところだ。あとはお前がその剣を大切に育てるんだな。それに、その剣はエルピスの羽が仕様されてる。ってことは、例え折れても自動的に修復されるってことだ」


「さすがエルピスの羽……、フェニックスって呼ばれてることだけあるな……」


 炎の中に、煌めく光が見える。

 カズはとんでもない武器にしてくれたことに俺は嬉しくて、なんだか泣きそうになった。


「お前が名前をつけてやれ」


 そう言われて俺の頭の中に、ふと、とある名前が浮かび上がった。


「炎剣……、"レーヴァテイン"!」


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