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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第5章 崩壊する日常
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第157話 学園祭3


「皆、集まってくれ」


 俺は皆を呼んで作戦を考える事にした。

 戦場とか、討伐クエストの本番だったらまず間違った行動だけど。今はそうじゃないからそうした。


 サーちゃんはまだ動けない。美羽とステラもまだ影の球体の中。クロとピノはアリスに倒されたけど、美羽達を出すことが出来れば回復させてまた参戦する事が出来る。

 問題はアリスだ。アリスを突破しないと、カズに近付けねえ。

 今までのやり方でじゃまったく意味がねえし、成長出来てるって言えねえ。

 だったらここはイチかバチか。()()()()()()()()


 話し合いが終わると、全員が作戦決行の配置に立つ。


「……作戦はまとまったか?」


「正直、この状況をどう打開したら良いのかまだ解らねえよ。でも、せっかく大勢の人達が俺達を見に来てくれてんだ。カッコ悪いまま終わらせられるかよ」


「クククッ。んじゃ、せいぜい頑張れ。アリス、来い」


 トッカーの攻撃を簡単に(かわ)しながら、ずっと俺達がどう動くのか見ていたアリスを呼び戻す。


「お前達はいつも、俺()()()相手をしてやってたよな」


「それがなんだって言うんだ?」


「クククッ」


「……ん?」


 よくよく考えればなにか引っ掛かる……。でもそれがなんなのかがまだ理解出来ていなかった。


「んじゃ、改めて始めるとしようか。」


 先にカズが狙ったのはサーちゃんだ。でもサーちゃんは心臓が悪いから、流石のカズも殴ったり蹴ったりはしない。ただ、気絶してもらおうとしていた。

 嫌な言い方をすると、サーちゃんは足手まといになる。だって心臓が悪いって言うのに、どうして危険な場所に飛び込もうとするのか訳が話からねえ。

 最初はそう思ったけど、それこそ差別してるみたいで嫌になっちまった。

 だから、考えを改めることにした。

 サーちゃんの防御力は美羽より紙以下だけど。俺達にとって……。最高戦力で最強の切り札だ。


「沙耶!」


「"F2"!」


 俺は沙耶に、真後ろから竜巻系魔法の"F2"を放ってもらった。


「ヤッさん!」


「はいよ!」


 ヤッさんの大盾、"ゴーレム・シールド"を借りて俺はスノボーみたいに滑って真っ向から突撃した。


「愚策にも程があるぞ?」


 カズがなに言っても今は無視だ! 俺達の狙いはただ1つ!

 サーちゃんの救出!


 俺は"炎の弾丸(ファイヤーブレッド)"で弾幕を張る。

 それをカズは魔眼、"瞬炎(しゅんえん)"で俺の弾幕を爆発。

 マジで凶悪過ぎるスキルを発動させたカズに向かって、それでも俺は打ち続けた。


「お前らの狙いはサーちゃんだろ? だったら、そのサーちゃんを完璧に無力化させちまえば、お前らの行動は全部無意味になる」


 そう言うと思ったぜ!


「一樹!」


「"水の牢獄(ウォータープリズン)"!」


 サーちゃんを完成に無力化させるわけにはいかない俺達が取った行動は。わざと一樹の水魔法でサーちゃんを逆に守ることだ。

 そして。


「ヤッさん!」


 ヤッさんは沙耶の"F2"で空高く飛ばされてる状態だ。


「何したいんだお前ら?」


「それが聞けてよかったぜ」


 カズの真後ろにヤッさんが落ちてくる形になったけど。どうにか体勢を整えると足から着地。同時に、スキルを発動させた。


「"大地の波(アース・ウェーブ)"!」


 ヤッさんの"大地の波(アース・ウェーブ)"で、カズとアリスの動きを封じることなんて簡単じゃねえよ。でも、落ちてきた衝撃を利用すれば、今のヤッさんでも強力な"大地の波(アース・ウェーブ)"を発動させて、少しでも動きを封じることが出来るんじゃねえかって思った。


「なるほど、そうきたか」


「まだだぜカズ!」


 沙耶の"F2"で飛ばされていたのはヤッさんだけじゃない。


「ん?」


 ヤッさんと一緒に、一樹のダークスも一緒に飛ばした。そのダークスはヤッさんから降りて、動けない状態にしたカズによじ登って、猛毒の針を持つ尻尾をカズの首筋に当てた。


「なるほど、今回はそれなりにいいアイディアだったな」


 その瞬間、ダークスの針がカズの首に突き刺さった。


「……初めて、初めてカズに一撃入れることが出来た……」


 俺はそれだけで嬉しくて、舞い上がっちまいそうになったけど。とりあえずサーちゃんをその場から移動させると、すんなりと動けるようになった。


 後は、美羽をどうにかしないと。


 その瞬間、影の球体に亀裂が走って内部から眩しい光が溢れ出ると、美羽とステラが出てきた。


「やっと出れたあ! ……あれ?」


 今の現状を見て、美羽は不思議そうな顔になった。


「あれ? じゃねえよ。今のうちにこっち来いよ。ヤッさんとダークスのお陰でお前を解放することができたんだからよ」


「……え?」


 怪訝そうな顔でまったく納得していそうになかったけど。とりあえずこれで美羽とステラ、サーちゃんの解放を成功させられたから、これからどうするかまた悩んだ。

 そして、ヤッさんとダークスも戻って来ると。


「ねえ、私とステラはステラのスキルで脱出することが出来たんだよ?」


「は? なに言ってんだよ。ヤッさんとダークスのお陰だろ?」


 俺と美羽は納得出来なかった。

 美羽はステラが持つ、光魔法でどうにか内部を破壊して脱出してきたって言う。

 俺達はその事で軽く口論になりそうになってると。


「これが戦場だったらお前らは間違いなく死んでるぞ?」


 不適な笑みを浮かべるカズにそう言われた。


 ……あれ? まだ動けないでいるのか?


 何もしてこないから俺はそう思った。


「そろそろ()()()()()()()


 けど違っていた。

 俺はその瞬間、とんでもないミスをしていたことに気がつくと。

 ……カズは。


「んじゃ、そろそろ終わらせるか」


「……はは」


 カズに、ヤッさんの"大地の波(アース・ウェーブ)"やダークスの毒なんて、全然効いていなかった……。


 そこから先はいつもの地獄……。

 俺達全員、カズとアリスにあっさり敗北した。

 しかも、あのサーちゃんでさえ手も足も出せないまま。


 クッソ……、この化け物が……。


「まぁ、今回初めて俺に一撃入れたんだ。だからダークス。お前だけに後でプレゼントを用意してやる」


 チクショウ……、俺達にもなんかくれよぉ……。


 一樹の(かたわ)らで、ダークスはカズにそう言って貰えて嬉しいのか、両手のハサミを何度も上げて喜んでる。

 その一樹は白目を向いて、口から魂が抜けそうになって倒れてるし……。

 一樹だけじゃなく、俺達全員だけど……。

 まぁ、そんなこんなでその日の学園祭は終わって。

 残りの時間はそれぞれ好きなように学園を回って楽しんだ。

 ……けど、学園祭はまだ完全に終わった訳じゃない。俺達の元母校って言えるこの学園の学園祭は。珍しく3日間続く。

 つまり、その間またここに来るって事だ。

 ……それを考えたら、その間またカズにボコボコにされるのかなって思うと憂鬱(ゆううつ)になる……。



 2日目



 俺達 (俺、美羽、沙耶、一樹、ヤッさん、サーちゃん、志穂ちゃん) VS ゴジュラス


「ぎゃあぁぁ!!」


<どうした? それで(しま)いか?>


 ゴジュラス戦 全員敗北


「つ、強すぎるよ~……」


「お前、よくあんな奴に認めて貰えたな……」


 そう言うけど、俺だってまさか全員で挑んだのにあっさり敗北するなんて思ってねえよ……。


 沙耶と一樹にそう言われて、マジでゴジュラスの強さを痛感した。

 サーちゃんはゴジュラスに対して健闘してたと思うけど。カズみたいに動けなくされた後、俺達がいくらどんなに頑張っても攻略できなくてギブアップ。

 結果、その後直ぐに敗北したんだ。

 ゴジュラスのバトルフィールドは俺の時よりも複雑になってるし、重力を自由自在に操ってマジで誰も手も足も出せない状況だった。


 ははっ……、マジでノワールを(たく)された時って奇跡だったんだな……。


「ねえ! 憲明君!」


「はっ、はい!」


 突然サーちゃんが怒った感じで声をかけてくると。


「絶対反則だと思わない?! 重力を支配する力なんてさ! どう攻略しろって言うの?!」


 はい、サーちゃんの(おっしゃ)る通りですね……。


「だいたいなによ! 私に対して重力でただ動けなくされただけじゃない!」


 そんでその他の俺達は重力を利用して、いわゆる無重力状態で宙に浮いた後、地面に叩き付けられて今度は動けなくされたりしました。


「もうそんなのギブアップでもしない限り! まともに動けないじゃない!」


 んで俺達はその後、ゴジュラスに重力で引っ張られてサンドバッグ状態にされました。


「酷くない?! もう重力操作されたら私達なんて勝ち目がないじゃない!」


 痛い程よく分かります……。


 それからも、俺は怒ったサーちゃんの愚痴を聞かされつづけた……。

 解放されたのはそれから40分後……。ようやくまともに動けるようになった志穂ちゃんが助けに来てくれた。


 ……疲れた。


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