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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第5章 崩壊する日常
156/348

第155話 学園祭1


 10月7日


 10:00



「準備は良いか?」


「いつでもOKだ」


 暗がりの中、俺とカズが短い会話をした後。カズは無線で「出せ」と伝えるとエンジンがかかる音が聞こえてきて、ゆっくりと動き出す。

 勿論そこには美羽達も一緒だ。

 そんな俺達はとある大きなトラックの荷台に乗っていた。


「皆んな、どんな反応するか楽しみだな」


「馬鹿が。俺は正直まだ早えって思ってんだぞ。下手に見せれば大混乱になんぞ」


「そう言ってもよカズ。これでようやく()()()行動させられると思うと、俺は嬉しいんだけどな」


 トラックの他には数台の黒いバンが付いてきていて、一緒に目的地へと向かう。



 10:25 目的地到着



 トラックの荷台にいても、周りがざわざわしてて騒いでいるのが分かる。

 トラックが目的の場所に到着して停車すると。


「若、お待たせ致しやした。今開けやす」


 御堂さんが荷台の扉を開けてくれたから俺達は降りた。

 すると周りが更に騒がしくなった。


「キャー!! ミーーヤーー!!」

 「こっち向いてーー!!」


 美羽はVメイクをして、MIYA(ミーヤ)になっている。

 そんな美羽は笑顔で応えると手を振って、銀月とステラを呼んだ。

 俺や他の連中もそれぞれのパートナー達を呼んで荷台扉の前に立ち。最後にカズがアリス達と一緒に現れると、更に黄色い声援が増した。

 俺達がやって来たのは。



 ーー 都立聖十字学園 ーー



 ついこの間まで通っていた日本の学校。母校とも言えるかな?

 俺達は組員の人達や警察、それに元同級生の奴らに道を作ってもらって、学校のグラウンドに作られた特設会場に向かう。

 そこで俺達がどんなモンスターをパートナーにしているのかを、特別に公開する為にやって来たんだ。

 勿論。それは俺達がいたクラスの()()()としてな。

 その日は学校の学園祭で、元クラスメイトの連中に連れて来てくれって頼まれてさ。だから俺達はそれぞれのパートナー達を連れて来たんだ。

 そうなったのはやっぱり。

 俺達がパートナーモンスターを連れて門へ入って行く姿がニュースで流れたのが大きい。

 しかも世界中の政府機関が異世界にはモンスターが存在する事を説明したのもあるし、異世界の学園に転入する話しを正直に話したからってのもある……。

 個人的には良いんじゃね? って思うんだけどな。

 それに、日本政府は夜城組が表向きはヤクザをしているけど。実際には国民を守るため、日夜、侵入して来たモンスターを討伐、又は捕獲をしている事実まで公表。

 お陰で夜城組は各メディアに取り上げられて。連日、夜城邸の前には多くのテレビ局が押し掛けてきているけど、それを組員の人達や警察の人達が警備に当たり。しかも自衛隊まで出動して警護に当たってくれている。

 まさか……、そこまで大事になるとは思ってもみなかったのはここだけの話だ……。

 そして今日。俺達はパートナーを連れて学園祭に現れると聞き付けた多くのメディアが押し掛けて来ていた。

 その中に美羽までいると知って、メディアは驚いていた。


「来てくれてありがとな!」


「気にすんなよ。隠してた俺達が悪いんだからよ」


 元クラスメイトの奴に感謝されると、俺は早速会場の中に入った。

 そいつの名前は"東海(とうかい)秀一(しゅういち)"って言って、クラスの委員長もしてる。

 んで、会場となるグラウンドの周りには階段状の客席が設けられていて、そこでモンスターを見る事が出来るようにしてあるし、会場外の周りには他のクラスが色々な店を出していた。


「おいカズ、そういやゴジュラスは?」


 姿が見えないから聞いてみると。


「ん? アイツは今、空にいる」


「は? 空?」


 見上げるとそこにはテレビ局のヘリが数機飛んでるだけで、全然見当たらない。


「もっと上空だ」


「ん~?」


 でもどれだけ目を凝らしても解らない。


「後で呼ぶ。いきなり現れた方が面白いだろ」


「ビックリさせる気かよ、悪い奴め」


 そう言ってる間。会場内に大型モンスターの"バウ"が入って行くと、皆その大きさにビックリしていた。

 その他にも大型トラックが入り、そこから"エンシェント・フォレスト・ドラゴン"の"ガイア"まで現れたからもう、周りは歓喜の声が鳴り響く。


「あれ……、ドラゴンかよ?」


「本物?!」


「アイツらが偽物を連れてくる訳ねえだろ!」


「ヤベェ……、感動でチビりそう……」


 ドラゴンは他にも銀月、ジークっているけど、その迫力が違い過ぎる。

 集まったモンスターは。


 クロ、ソラ、カノン、ノワール、ステラ、バウ、アクア、銀月、ピノ、ジーク、ダークス、トッカー、ガイア、アリス、ヒスイ、ダリア、ベリー、レモン、メロン、カシス。そして"クレッセント・ビー"数匹と、上空にいるゴジュラス。


 もうそれだけで十分だろって思えるけど、カズは更に、他にも数体連れてきていた。


 "ペルトフログ"、"コマンドウルフ"、"ウッドエント"、"ディラルボア"と言ったモンスター達が檻に入れられて運ばれてくる。


「お前マジか……」


 どれも知ってるモンスターばかりだし。ペルトフログ、コマンドウルフ、ウッドエントは今の俺達なら1人で簡単に倒せる。

 でも、ディラルボアはそう簡単じゃねえ。

 成長すればする程、ディラルボアはより強力なモンスターになる事を教えられているし、簡単に手を出したくないって思えるモンスターだ。


「安心しろ。今のコイツならお前らでも倒せるレベルだ」


「ランクは?」


「Dランク」


「そ、そうか……」


「ネイガルに聞いたら丁度コイツらがいてよ。だから連れてきてもらった」


「……買ったのか?」


「買った。しかもテイムしてねえ。ほしけりゃテイムすると良い」


 相変わらず豪快な事をする奴だ……。


 でも、逆にこれはこれで面白いと思った。

 テイムされたモンスターとされていないモンスター。その違いを目にする機会が出来るんだからな。



 11:00  入場



 入場時間になると、待ってましたと言わんばかりに人の波が押し寄せてきた。


「皆様、大変御待たせ致しました。只今より、僕達1年3組によるイベントをどうぞお楽しみ下さい」


 おっ、司会は秀一か。


 客席はものの数分で満席になり、そこでジュースやフランクフルトを口にしながら見物する者人や、座ってじっと見ている人って様々だ。

 そんなお客を元クラスメイト達が誘導したり、ジュースやパン、他にも色々な食べ物を他のクラスの連中が販売しに来ている。

 外は外で案の定、組員の人や自衛隊の人達で警護してるし、警官は不審者がいないか警備に当たっていた。


「では先にこちら。早瀬 憲明君のパートナーを紹介してもらいたい思います」


 司会を勤める秀一に紹介してもらい、先に俺が出ることになった。

 その次の順番は、一樹、ヤッさん、沙耶、美羽、カズって順で紹介してもらい。カズには色々と話しをしてもらう予定を組んでいるらしい。

 でもはっきり言うけど。どのモンスターも物凄く人気だ。

 特に銀月とノワールの人気ぶりは凄まじかった。

 銀月は美羽が連れてるモンスターだし。その見た目と美しさから、皆の心を奪った。

 ノワールは恐竜って言うこともあるんだけど、ただの恐竜じゃなくてハイブリッド恐竜のモンスターだって言うことが大きいかな。

 でも何気に同じくらい人気があったのがアクアだったりする。

 アクアは何にでも好奇心旺盛で、カメラが近付けばわざわざ自分から行ってどアップで撮されたり、誰にでも遊んで遊んでって積極的だ。


 お前はモササウルスの姿をした犬なのかな?


 でもそれがたまんなく可愛い。

 現在は全長約2メートルを越えてるし、やっぱり爬虫類ってこともあって最初は皆怖がってたけど、その愛嬌で皆の心を鷲掴みにしていた。


 ーー しかし。


 それですら度肝を抜かす程のモンスターを連れているのがカズだ。


「さあ! 皆様御待たせ致しました! 彼こそがチーム"夜空"を率いるリーダー! 異世界ではその強さが認められた者にしか与えられないと言う二つ名を持ち! その二つ名は"悪竜"! なんとも恐ろしげな二つ名を持っております! 彼の名は夜城 和也! あの夜城組組長の息子であり! 僕達クラスの良き友人でもあります!」


 紹介されてカズが出て行くと、多くの女性達から物凄い声援が飛び交った。


「皆様御初に御目にかかります。中には久しぶりに顔を見る連中もいるな、元気にしてたか? あ?」


 中には久しぶりにカズを見れた事が嬉しいからか、泣き出す女子までいる。


「クククッ、なに泣いてんだよ? そんなに俺の顔見れて嬉しいか?」


「「嬉 ーー」」

  「あっそ。クククッ」


 冷たい言い方をするのに、女子達にしてみればその態度がまた嬉しいみたいだった……。

 その後、カズはちゃんと自己紹介した後に指を鳴らすと、そこへラプトルのアリス達やガイア、それとクレッセント・ビー達が集まって行き。それぞれの紹介をしていった。


「彼女達は恐竜です。しかしモンスターでもある。その彼女達がどの様にして生き残ったのかはまだ研究が全く進んでおりません。ですが、現実に今、ここにいる。それは疑うことが出来ない事実。疑いたければ疑うが良い。そしてここにいるアリスは、先に紹介されたノワールの母親です」


 そこで再び指を鳴らすと、今度は上空から勢い良くゴジュラスが舞い降りてきて、地上まで残り20メートルになるとスピードを落としてゆっくりと降り立った。


「コイツの名はゴジュラス。種族名は"ティラノス・グラビティム"。ノワールの父親です。コイツは元々、れっきとしたティラノサウルス・レックスでしたが。とある事で進化し、この様な姿へと変わりました。まっ、モンスターと言ってもその姿は最早、怪獣と言っても良いでしょう」


 そこから先はカズの独壇場だ。

 進化の話しや詳しい生態、解っている範囲の事を話し始めた。

 そして、自分がどの様にしてノワールを生み出したのか。

 本当なら批判されてもおかしくない内容を話すんだけど、誰も批判するどころか熱心に耳を傾けていた。

 誰かが質問すれば真面目に応えたり、会場内は大いに盛り上がった。



 13:00 ふれあいタイム



 昼過ぎはモンスター達とのふれあいタイムで、多くのお客がそのふれあえる事を楽しんだ。


MIYA(ミーヤ)ちゃん、この子はどんなモンスターなんですか?」


「銀月は"カラミティー・ドラゴン"って種族で、珍しい白変種と呼ばれる子です。この子の仲間は既に絶滅してしまい、この世で最後の生き残りかもしれないって聞いてます。真ん中の子が千月(ちづき)。右の子が夕月(ゆづき)。左の子が葉月(はづき)って名前で、3匹の子をまとめて銀月って呼んでます。ほら、ご挨拶して」


<クルル>

<キュルル>

<フルルッ>


 礼儀正しく挨拶すると、皆が可愛いと口にする。

 その銀月は美羽の両肩を使わないと乗せて止まれないくらい成長しているけど、それでもまだまだ子供。


「なあ憲明。お前のクロってモンスター、カッコいいな」


「だろ? 出会った頃は子犬みてえだったんだけど、最近益々大きくなってよ。でもまだ成長途中なんだよ」


「へ~、でかくなったらどれだけになるんだ?」


「どこまで成長するか実は知らねえんだ。でも、カズの話しだと超大型犬以上にはなるってよ」


「マジでっ?!」


 クロの他に、悪魔みたいな見た目をしているソラや、カノンも人気が高い。

 しかし、それ以上にノワールの人気がとても熱かった。

 その凶悪な見た目とは裏腹に、かなり甘えるからかな。


「……良い。めっちゃノワールカッコよくて羨ましすぎんぞ憲明!」


「俺もノワールみたいなカッコいいモンスターが欲しい!」


「恐竜は反則だろ! しかもハイブリッド!」


 ノワールは特に男連中の人気が高い。


「んでノワールの種族名ってどんなの?」


 そう言われてみれば聞いてなかったな。


「カズ。ちょっと良いか?」


 カズを呼ぶけど、その周りにはとんでもない人が集まっていて身動きが出来そうに無い状況になっていた。


「……なんか、すまん」


 するとスマホが鳴ったから見ると。相手はカズからだった。


『あ? なんだ?』


「すまん。実はノワールの事なんだけどよ。種族名をまだ聞いてなかったなって思ってさ」


『あっ、悪い。すっかり忘れてた。一応、ノワールの種族名は"メトゥスラプトル"。メトゥスはラテン語で「恐怖」を意味し、ラプトルは「略奪者」。だから「恐怖の略奪者」って意味だ』


「ん、分かった、ありがとな」


 お礼を言うと電話が切れ、カズは忙しそうに集まる人達と話しを再開した。


 思ってたより忙しいな。


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