運命の全校集会
初めて結花ちゃんに僕の痴態(かなちゃん)を晒してから数日後。プロポーズの日からちょうど一週間経った月曜の朝。
ついに全校集会の日がやって来た。やって来てしまったというべきか。
体育館には全校生徒が集まり、今は壇上で校長先生が話している。
僕は緊張で全身がこわばり鼓動が早まり呼吸も浅くなっていることに気づいた。
しかし、気づいたところでどうすることもできない。深呼吸するが一向に落ち着かない。
今僕は女子の制服(綾音にかりたものだ)を着て舞台の脇に控えて居る。ウィッグやメイクも完璧、、、のハズ。
全然落ち着けないまま僕の名前が呼ばれ舞台に上がることに、、、
僕が登壇すると、生徒たちはざわざわし始めた。
僕がマイクの位置を自分の喋りやすいように調整すると、ハウリングが起こって、それで生徒たちは静かになった。
静寂の中僕は覚悟を決めて話し始めた。
「皆さん、おはようございます。桜井叶太と申します。僕は来年2月に開催される、女装のオーディションに参加したいと思っています。オーディションを勝ち抜くには学校と生徒の皆さんの協力が必要不可欠です。どうか僕に力を貸しては頂けないでしょうか。よろしくお願いします」
僕は頭を下げる。
相変わらず静寂は続いている。
失敗した、と思った。
が
ぱちぱちと音が聞こえた。
顔を上げると綾音と結花ちゃんが、拍手を送っていた。それに田中君も続いた。それは徐々に広がっていき、遂には体育館全体に広がった。
僕はもう一度、頭を下げるとステージから降りたのだった。




