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気まずい
学校に到着すると校門前に佐々木さんが待っていた。
「おはよう、佐々木さん」
「おはよう、桜井君」
僕らはお互いに挨拶をするとそのまま黙りこんでしまう。
気まずい。僕がプロポーズして佐々木さんはそれを了承した。お互い好き同士だって分かってるのに、いや、分かっているからこそ何を話せばいいのか全く分からなかった。
今までどうやって話してたっけ?
「「あの」」
二人の声が重なった。
再び沈黙が訪れる。
二人でもじもじしていると後ろからやって来た綾音が声をかけてきた。
「結花先輩、おはようございます!」
「あ、おはよう、綾音ちゃん」
「どうしたんですか、二人して固まっちゃって」
「そ、それは、その」
「あー!もしかして、お兄ちゃんのプロポーズ受けたんですか?」
佐々木さんは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。そんな佐々木さんを見ていたら僕まで顔が熱くなってしまう。
そんな僕らを見て綾音はニヤニヤしている。
この空気に耐えきれなくなった僕は佐々木さんの手を取って校舎へと逃げ込んだ。




