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終末世界の開拓記  作者: なづきち
第二章:森奥の餓えた叫び

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他の神様の行方

 その後創造神は長居し過ぎたと慌ただしく帰って行った。

 うーん、また中途半端にしか質問出来なかった気がする。と言うか、衝撃の新事実を知って……いや単にわたしが気付いてなかっただけか。


「えーっと……わたしはただの人間ヒューマンじゃなかったっぽいデスケド……」

「だから何だ、と言う話であるな」

「リオン様はリオン様ですので」

「よ、よくわからない、です」


 三者共から「ふーん」ってくらいの軽い返事が来たよ! わたしが考えすぎなだけかしらん……。

 まぁわたし自身もあまり実感湧かないし、何か不都合が起きたらそれはそれ、その時考えよう。


「しかしどうしよう。創造神様、次の指針出してくれなかったなぁ」


 まだ行ってない場所はたくさんあるけれども、そこまで余裕があるとは言えない現状で、行かなくても大丈夫そうな場所まで行ってもなぁ。

 ゲーム時代はマップを隅々まで埋めたい派だったんだけども……あれ、そう言えばマップアイテム使えるのかな。紙が作れるようになったらこれも試さないと。

 南の海沿い……廃棄大陸は当面無理だし海を渡る手段がまだないのであっちに行っても駄目だな。

 西のグロッソ村の先の大河を越え……うーん、さすがにキマイラを作り出すような所に行くのはまだ怖い。資源はありそうなんだけどなぁ。

 となると、残りは……アルネス村のあった森を更に東に抜けるか……北か?


「リオン様」

「ん? 何?」


 わたしが今後の方針で唸っていると、フリッカから声が掛けられた。


「創造神様の余裕がないのでしたら、他の神様を探してみては?」


 神様かぁ。

 創造神が世界を運営するにあたり、補助的な役割として生み出された火水風地光闇の六神。その六神が現在封印されているのだから、創造神に掛かる負荷はかなりのものだろう。

 六神の封印を解いて好転させようにも、創造神は日々の務めに手一杯で動けない感じですかね……悪循環だなぁ。

 まぁそれを何とかするのが神子の役目だけども。……残り二人の神子は何処で何してるんだろ?


 ゲームでは火神は火山、水神は海底、と言った具合に、それぞれにとって縁深い場所に封印がされていた。炎熱ダメージを喰らう火山ダンジョンをクリアした後に火耐性の加護をもらっても遅いよ!とか思った記憶があるなぁ……。素材のために何度も行ったので結局はありがたかったのだけどもね。

 しかしアステリアではどうなんだろう? そもそも封印場所に目星が付くようなら創造神が教えてくれそうな気もする。ゲームみたいに『自分で探せ!』とかはないと思うけど……実は試練とか課せられてたりするのかな。


「んー、神様の封印場所を探す所からだから、結局はまだ行ってない、現状で行けそうな場所に行くしかない、かな」

「リオン様の気は進まないかもしれませんが……村の長老達に尋ねてみては? あの神子から何か聞いているかもしれませんし」

「……なるほど」


 後で行っておくか……。特に神子の子である長老トリオ……カイナは口を開かなさそうとして残り二人には話を聞いてみたい所ではあるけれども……素直に協力してくれるかなぁ。

 でも今はその前に。


「フリッカ。……ここに神子の墓を作っていいかな」

「……墓、ですか?」


 フリッカは即座に止めて欲しいとは言わなかったが、歓迎と言う程でもないようだ。微妙に眉根が寄っている。


「いや……わたしがこの神子みたいにならないよう、戒めとして、さ」


 神子は大切なモノを壊されたことで心が壊れた。

 わたしも……同じようなことになる、かもしれない。

 ならないようには気を付けるけれども……それ程の悲劇を経験したことがないから言えることかもしれなくて。

 大丈夫だ!と言い切れる程の確固たる精神があるなんて、とてもじゃないけれど言えない。むしろグラグラですよ。

 だから、拠点に居る間は毎日来るここに墓を作り、毎日目にすることで、戒めにしようかな……と。


「ごめんね。きみからすれば不快だろうけれども」

「いいえ。それが貴女のためになるならば構いません。……それはもうただの骨ですから」


 フリッカは納得した表情を見せているけれど、割り切ったからなのか隠しているのか、わたしには判別が付かない。むーん、そのうちお詫びに何か作るか。

 と言うか思い出したけど、魂アイテムの方はどうしようかなぁ……。


「一緒に埋めてしまっても良いのでは?」

「どうしてそう思うの?」

「貴女が直接管理するこの聖域で悪さ出来る悪霊が居るとは思えません。そのうち浄化されるのではないでしょうか」


 ……なる、ほど?

 まぁこの祭壇周辺は拠点の中でも一番聖属性に溢れている所だからねぇ。浄化はともかく、ここで再度悪霊化して襲撃されたとしたら神子失格間違いなしですな。


 そうして、花壇の一角に墓石が増えることになったのだった。



 その後、ウィーガさんを通して誰か神様のことを知らないか情報収集を頼んだのだけれども、やはりと言うか何と言うか、アシュとオルトが情報を持っていたらしい。

 しかしウィーガさんは情報ではなく、伝言を持ってきた。


 『知っていることは教えるので、交換条件として一つお願いを聞いていただけないでしょうか?』と。


 調査を進めて行くうちにカイナ一人の企みだったと言う結果が出つつあるとは言え、彼らだって連座で罰を受ける身だ。面の皮が厚くないですかね……さすが兄弟、と思ったのだけれども。

 その内容が……『父上との思い出の品を直せるようなら直して欲しい』と言うもので、バッサリ斬り捨てるのも無情すぎる気がして。


「確かに良い父親ではなかったのかもしれません。それでも……私共にとっては、何でも出来るすごい父上だったのです」


 軟禁されしょぼくれた顔でそう言われると、わたしには断りきることは出来なかった。……甘いなぁ。

 しかもそのアイテムが……意外にも、オルゴールだった。

 効果は特にない、ただ曲が流れるだけのシンプルな物だ。

 直接彼らがもらった物ではなく遺品であるとのことだが、神子はたまにオルゴールを静かに聴いており、子どもたちがひっそり聴いていても邪険にせずに居たらしい。

 あの恨みに凝り固まった神子は、自分の子に一体何を思っていたのか……。


 修理にあたり素材が少し足りなかったのだが、派閥の者に必要な物を探させると言われたので何とか対応できた。

 おかげで少量だけど鉄がもらえました。他にも色々もらおうと思えばもらえたけど、わたしの在庫にないのはそれだけだったからね。あ、ついでに料理のレシピももらったよ。

 更に余談であるが、このオルゴールを聴いたことで頑なだったカイナが少しずつ口を割り始めたそうだ。

 ……何がどう繋がるかわからないもんだね。


 そうして得られた情報はそれほどは多くなかったけれども、ざっくりまとめると以下のようになる。

 アルネス村から北、森を抜けて大河を渡った先にある平原が風神の領域だったらしい。

 神子の故郷がその近くで、風神に会った事があるとか何とか。多分変貌する前の話だろう。

 三百年経ったから様変わりしているだろうけれど、風神の手掛かりがそこにあるのではないか、と。

 まぁ、風神の領域とか創造神が真っ先に探していそうだけれども……他に優先すべき場所もないからね。


 うん……次に向かうのは、北だ。

これにて第二章は終わりです。ここまで読んでいただきありがとうございます。

ブクマ、評価、感想などありましたら是非お願いします。励みになります。


章間にいくつか挟んでから第三章の予定ですが、今後また少し更新速度が落ちるかもしれません…ご了承ください。

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