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終末世界の開拓記  作者: なづきち
第八章:凍土の彷徨える炎獄

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次にやること

 最終決戦の時が近いと判明したものの、拠点の皆の生活は変わらない。基本的にモノ作りを頑張ってもらって、神様たちの回復に努めてもらうくらいだ。つまりいつもの日常。あまり目立つことをやって、わたしたちの準備が整う前に黒幕ラグナに目を付けられて手を出されても困るし。モンスターを仕向けられるだけならともかく、本人がやってきたら勝てるビジョンが全然見えない。

 やることが変わるのはわたしとウルくらいだ。ジズーはウルも力が欲しいと伝えた時に渋ってはいたけれど、結局はウルにもわたしと同じことをするようにした。ウルの熱意に負けたせいであって、決して「断ったら食う」と脅されたせいではないはずだ。ちょっとだけ怯えていたような気がしないでもないけどきっと気のせいだ。

 そんなこんなでウルも毎日ジズーの卵を食べてアステリオス&レヴァイアサンのジュースを飲んでいるわけだけど、残念ながらすぐにすんなり飲食出来るようにはならず、涙目になるばかり。体調を崩しているわけじゃないのが幸いか。今のところは、だけど。こまめに様子を見ながら進めていかなければ。

 そしてわたしには摂取&訓練と並行して、もう一つやらなければいけないことが増えた。


「地神様……いや、メル兄さんの方が適切なのかな……? 隕石が落ちた場所とか知っていたりしません?」

「あん? 隕石?」

「また唐突だねぇ!」


 神様ズハウスに赴き、ちょうど折よく滞在していた地神と風神に尋ねる。地神は目を瞬き、風神は無駄に元気に反応してきた。石に関することだから地神に、風で世界を知っていそうな風神に、とのチョイスだったけど……この様子だと二柱ふたりとも知らないかな。


「悪いがアタシは知らないねぇ。創造神(プロメーティア)に顔を出すよう声を掛けておくが……対応がいつになるかはわからんさね」

「僕も知らないかな。少なくともこの近くにはないよ!」


 確かに創造神が一番世界のことを知っていそうだけど、この前のわたしの心臓の件で力を大幅に使ってしまったことで神様たちの声すら届きにくいらしく。ぐぬぬ。

 そして風神の風を利用した探知範囲内にもないとのことで、アテがなく捜索が難航しそうな気配に肩を落とす。


「あ。神気隠蔽のスカーフを装備していれば気付かれないんだし、いっそメル兄さんに付いてきてもらってそこら中で――」

「この辺りは受動的に、時間を掛けているから知っているけど、そこまで派手にやるといくらなんでもバレそうかな。ごめんねぇ」

「……あっはい……」


 神気隠蔽布は装備している本(にん)の神気は隠してくれても、探知のために能動的に放出する神気までは隠してくれない。当たり前と言えば当たり前か。

 世の中そんなウマイ話はないわけで、結局自分の足を使って探すしか……ゼファーに乗せてもらえばある程度は短縮出来るか。隕石なら埋まってはいないだろうから空からだと探しやすそうだし。


「しかし隕石か。確かに最も硬い鉱石だから防具強化には良いがねぇ」

「あ、いえ、地神様。防具に使うわけじゃないです」

「? じゃあ何に使う気なんだい」


 それはですね――と答えようとしたわたしを遮る声が横から滑りこむ。


「……転送門、かな……?」

「っと、その通りです。闇神様」


 実はこの闇神、最初からずっとこの場に居た。普段から隅っこが好きで自己主張が弱い引っ込み思案なので、あまり会話には加わろうとしない(無理に加えようとしなくても大丈夫な)のだけれど……珍しいな。

 そう、わたしが作らなければいけないのは転送門トランスポーターである。もちろん目的は冥界ではない。冥界に行きたければすでに作成してある転送門を使えばいいからね。


 わたしの目的地は――異界アザーワールドだ。

 予想が正しければ、そこに……破壊神の封印石がある。


 ゲームにおいて、ウロボロスドラゴンが異界に居たから。

 ……というのもあるけれど、実際には今も、いやある意味以前以上に強固に繋がった破壊神との縁により、そこに居る(・・・・・)のだという感覚がある。


 その異界に行くのに転送門が必要なのだ。しかも冥界と繋げる時とは違い、転送門の作成素材に隕石メテオライトが要求されるゆえ、使い回しが出来ない上に作成難易度が高くなる。まぁ隕石以外の素材は同じなので、アステリアに来てから取得した分離セパレーションスキルを使えば素材集めの短縮にはなる。ただ必要素材総数は冥界用転送門の二倍だから、どのみちもう一門作るくらい集めないとダメだけどね! 冥界で作成した鉱石探知機が再活躍だね! ……後でカミルさんにディメンションストーンが余ってないか聞いておこう。

 わたしが隕石を求めて転送門を作る理由に、地神が感心したように頷いた。


「……なるほど、破壊神ノクスを探すのか。いい手じゃないか」

「破壊神様本(にん)がそう教えてくれただけで、わたしが思いついたわけじゃないですけどね」

「あはは、それプロメーティアに言わない方がいいかも。拗ねちゃうからさ!」

「……えぇ……?」


 ……創造神もちょっと面倒な神だったりするの……? うっかりではあってもまともな神様だと思ってたのに……。そのうちわたしの心臓のことで何か言われたりするのだろうか……さすがにないよね……。


「その隕石だけど……心当たりがあるんだ」

「えっ!? 本当ですか闇神様!?」


 珍しく会話に加わってきたかと思えばそれが理由か。ありがたい! 「封印前のことだから記憶が曖昧だけれど」という前置きはあったものの、ノーヒントよりは全然マシです!


「僕の領域のどこかに落ちていた、はず」

「えぇと……闇神様の領域というと……」

「ずっと北の方だね」


 水神の領域の更に北が闇神の領域だ。光神が封印されていそうな地と予想していたものの、何故か光神アイティは冥界で封印が解けた状態で彷徨っていて。訪れる必要はなくなったと思ってたけど……まさか他に理由が出来るとは。

 しかもこれから真冬に突入する。一年で一番寒くなる時期に、一番寒い場所に行かないといけないだなんて……ガッデム。時間があまりないから夏まで延期!とかも出来ないしなぁ。


「ちなみに、領域のどの辺り、とかは……」

「そこまでは記憶に残ってないかな……や、役立たずで申し訳ない……」

「いえいえいえ、役立たずだなんてとんでもない! 十分です!」


 膝を抱えてじめじめとキノコを生やしそうな気配を纏い始めたので慌ててフォローを入れる。ウソでも誇張でもない事実だし。あ、鬱陶しいと地神に頭を叩かれた……なんかごめんなさい。

 神様ズのじゃれあいはさておき、当面のやることは確定した。寒さ対策をしてから闇神の領域で隕石を探す。帰還石でちょいちょい帰ってきてはジズーたちの力を摂取する。合間に訓練もする。ってところかな。もちろん精力的にモノ作りをして位階レベルを上げることも忘れてはいけない。まぁこれは意識せずとも勝手にやってるか。

 急ぎだからゼファーに乗せてもらうとして、連れていけるのはウルとフリッカくらいかな。アルバはよろよろ飛べるようにはなったものの、まだまだ不安定で人を乗せて飛べるほどではないからねぇ。リーゼはともかくレグルスなんかは悔しがりそうだけど、絶対についていくというワガママを言うタイプでもない。


 ……アルバといえば、ウェルシュは元気にやっているだろうか。トラウマ?とつい最近まで世界樹の件でごたごたしていたこともあって、未だに冥界に再度足を踏み入れてないんだよねぇ。

 冥界用の転送門を分離したらしばらくは冥界との繋がりが途絶えるから、分離前に一回くらいは会いに行ってみようかしらん……? 都合良く転送門の近くに居てくれればいいんだけども。

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